危機管理専門家 「4月全休日化」など4つのコロナ施策提案

危機管理専門家 「4月全休日化」など4つのコロナ施策提案

コロナショックで大幅下落する日経平均株価(AFP=時事通信フォト)

 新型コロナウイルスの感染拡大による政府の対応策は、後手後手で場当たり的なものばかり。日本経済に与える影響や国民生活の混乱は一層深刻さを増している。そこで、危機管理コンサルタントでリスク・ヘッジ社長の田中優介氏が、「いま決断すべき4つの施策」をズバリ提案する。

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 いま、安倍政権はコロナ対策で『後手』という批判に晒され、それを躍起になって否定しようとしています。野党やマスコミの質問に、「これまでの対応は適切だった」と回答し、「これからも先手先手の対策を打っていく」と力説しました。

 しかしこうした言葉よりも大切なことは、未来を見据えて具体的な施策を打ち出すことでしょう。

 多くの優良企業はいま、『社員および顧客の感染防止』と『極端な業績悪化の回避』の両立を考えています。前者が7割で後者が3割くらいの比重でしょうか。前者が崩れると、後者も崩れてしまうために、大きな戦略として『上期の業績に固執せずに下期の業績で取り戻す』を前提に動き始めています。

 そのための戦術として、夏以降の施策と、夏までの当面の“凌ぎ策”を模索しています。凌ぎ策の中心は、徹底的な無駄の排除と、自社の資産やインフラの流用の推進です。こうした民間企業の方策は政府にも参考になると思われます。

 企業の危機管理を専門とする当社が、国家の危機管理を語るのは、決してふさわしい事とは思いません。しかし、生き残りを目指すための戦略と戦術には、多くの共通点があります。この緊急事態を乗り越えるために、4つの具体的な施策を提案します。

 第一は【東京オリンピック・パラリンピックの延期をIOCに打診する期限と条件の明示】、第二が【カレンダーの変更】、第三は【軽症患者の受け入れ施設の確保】、そして第四に【社会インフラの転用】です。

 まず、第一の【オリ・パラの延期を打診する期限と条件】は、このまま感染拡大が収まらず、ズルズルとオリンピックを開催しても、海外選手を含めた多くのメダル候補者たちが出場を辞退し、レベルの低い大会になるのは目に見えています。そのために、日本が自ら延期を決断するタイムリミットを決めておく必要があるのです。

 もちろん、延期するにはさまざまな障害があります。IOC(国際オリンピック委員会)も簡単には応じないでしょう。過去に都知事や組織委員会の確認に、否定的な見解でしたから。しかし、できない理由を排除して、できる工夫をするのが危機管理です。

 企業では必死になって工夫をし、社内外イベントの延期や中止、株主総会の延期までも検討しています。こうした民間の努力を考えれば政府にだって必ずできるはずですし、拒否されても先手を打とうとした姿勢は示せます。いま決断しておかないと、待っているのは『オリ・パラの中止』という最悪の事態なのです。

 第二の『カレンダーの変更』とは、4月を全部休日にするための施策です。すべての都道府県にコロナ感染者が出るのは、もはや時間の問題です。となれば、患者数の拡大が掛け算式になる。すなわち、4月からの学校の再開も、企業の正常化も、極めて望みが薄いということです。

 ならば、2020年に18ある祝日を、すべて4月に移動させる。そして学校は夏休みを1週間短縮して、これも4月に移動させるのです。すでに今年はオリンピックのために、3つの祝日を移動させていますので、できないことではないはずです。これにも、さまざまな障害があるでしょうが、できる工夫をするしかありません。

 第三の『軽症患者の受け入れ施設の確保』とは、病院以外の入院施設を準備することです。患者数の増加に伴う病床の不足は目前に迫っています。これ以上、感染拡大をさせないため、病院には重症患者を入院させ、軽症患者は最近廃業した宿(蒲郡市の冨士見荘など)などに入ってもらう。閑古鳥が鳴いている観光地の大規模な宿を全館借り上げるなどしてもいいでしょう。そうすれば、温泉に浸かって免疫力を高めることもできるでしょう。

 あるいは、企業が所有する避暑地の保養所や、公務員の保養所なども候補として考えられます。一番やってはいけないことは、クルーズ船のような悲惨な隔離です。あれこそが、国民の不安を高めた最大の原因です。もちろん、リフォームや医療スタッフの確保が必要ですが、こんな時こそ自衛隊や警察など公的組織の出番でしょう。

 第四の『社会インフラの転用』は、余剰になってしまった学校給食の転用が考えられます。このまま小中高の臨時休校が長引けば、農業や酪農業の足腰を弱めてしまうばかりです。いま、各地で余った給食食材を地域住民に販売するなどの取り組みも進んでいますが、時差を用いて、学校給食をテイクアウトにするなどの施策もできると思います。

 交通インフラという点では、開店休業状態の観光バスを、都心部への通勤の足にして、電車の通勤ラッシュを緩和することも考えられます。前述したホテルや旅館の病院化の移動手段としても、また観光バスが使えます。

 いま、観光バスやタクシーといった業界はコロナショックで窮地に陥っていて、このままでは倒産する企業も続出するでしょう。そうなれば、観光のインフラが乏しくなり、その結果、アベノミクスの柱である観光立国への道が閉ざされてしまいかねません。

 これらの提案は政府の方々から見ると、稚拙で実行不可能なものと映るでしょう。門外漢が乏しい情報の中で書いているのですから当然です。しかし、“他山の石”にはできるでしょう。

 危機管理の手法で一番やってはいけないことは、「一縷の望みに賭ける」ことです。なぜなら、手遅れになって打つ手がなくなるからです。そこで、「戦略を立てた上で戦術を立案する」という姿勢や、「100%を狙わない」とか「最大限の流用をしていく」という考え方が必要になってきます。

 そんな視点をもって、この国難を克服してもらいたいものです。中国から1か月遅れて来た危機は、突発的に発生した原発事故よりも、決して難しくないのですから。

●たなか・ゆうすけ/1987年東京生まれ。明治大学法学部卒業後、セイコーウオッチ株式会社に入社し、お客様相談室や広報部にて勤務。2014年に株式会社リスク・ヘッジに転職し、代表取締役社長に就任。現在、岐阜女子大学特任准教授も務める。著書に『スキャンダル除染請負人』(プレジデント社)、『地雷を踏むな』(新潮新書)がある。

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