植物由来の名字の中でも「松」のつく名字が多い理由とは?

植物由来の名字の中でも「松」のつく名字が多い理由とは?

名字の謎を解き明かす

 NHK「人名探究バラエティー 日本人のおなまえっ!」に出演する森岡浩氏は、姓氏研究の第一人者であり、これまで研究されてこなかった庶民の名字の歴史や意味を解明した功績で知られる。

 近著『名字でわかる あなたのルーツ』を上梓したばかりの森岡氏監修の下、日本人なら知っておきたい名字の常識を紹介する。

 高い建物がなかった時代、大きな木は家を特定する目印だった。

 名字の全国ランキング16位の「松本」以下、48位「松田」、87位「松井」、92位「松尾」、104位「小松」など、「松」のつく名字は200位までに10個も入っており、植物由来の圧倒的チャンピオンである。

 里に松の木が多かったのが最大の理由だろうが、門松に使われるなど、冬でも葉を落とさない松には「聖なる木」という意味合いもあったと思われる。名字には縁起の良いものを使うのが基本だ。

「松」に次いでは「杉」を使うものが多く、81位「杉山」、98位「杉本」と100位までに2つ入る。その他では「栗」「桑」「竹」「萩」「榎」「柳」「榊」「桜」「梅」「梶」などが多い。

 植物に比べ、移動する動物は家の特定にはあまり適さないため名字も多くはない。現代人に最もなじみのある動物といえば犬・猫だろうが、犬では1100位台の「犬飼」が最多、猫は2万位にやっと入る「猫田」が最多で、名字界ではマイナーである。

 農村に関係が深い牛・馬もそれほど多くない。牛は1000位以内には1つもなく、5000位以内だと「牛島」「牛田」「牛山」「牛尾」「牛丸」「牛嶋」「牛込」「牛木」の8つ。

 馬の場合は「相馬」「有馬」「対馬」など、「馬」が下についた地名由来のものが多い他、「駒井」「駒田」など「駒」という言葉も使われた。馬を調練する「馬場」や、放牧場を指す「牧」も馬関連の名字だ。

 それらを抑えて動物由来名字で最多登場するのが「熊」だ。164位「熊谷」、767位「大熊」、850位「熊沢」、884位「熊田」、956位「熊倉」などがある。

 その他の哺乳類では「鹿」「猿」「猪」がよく使われる。鳥では「鷲」「鷹」「鴨」「鷺」が多い。魚は少なく、5000位以内に入るのは「鮫島」と「鯉沼」のみ。

※週刊ポスト2017年8月4日号

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