橋本市議 今井議員と「一線超えたか」問題を会見から読む

橋本市議 今井議員と「一線超えたか」問題を会見から読む

橋本市議の会見を分析(公式HPより)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になった著名人をピックアップ。記者会見などでの表情や仕草から、その人物の深層心理を推察する「今週の顔」。今回は、不倫騒動の渦中にある、橋本市議の会見に注目。

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 元SPEEDの今井絵理子参院議員との不倫疑惑を報じられ、先週、急きょ会見を開いた橋本健神戸市議。「4~5年前から婚姻関係は破綻」「一線は越えていない」と釈明したものの、レポーターからの追及に大粒の汗を流していた。さて、この会見の真相は?

 たくさんのカメラが待つ会見場所に現れた橋本市議は、緊張した面持ちながらも落ち着いて謝罪し、ゆっくりと頭を下げた。不倫、略奪、不貞など、自分にとって好ましくない言葉を口にする度に瞬きが多くなる。だが、新幹線での手つなぎ写真について聞かれると、その時の情景を思い出そうとしたのか目を閉じ、「手をつないだのは私」と素直に認めた。

 瞬きは心の動きや無意識の感情を表しやすい仕草だ。自信がない時に瞬きが多くなる人もいれば、緊張している時に瞬きが多くなる人もいる。隠し事をしている時に瞬きが多くなる人もいれば、じっと目を見開き瞬きせずに嘘をつく人もいる。心の動きと瞬きの仕方や回数との関係は、人によってそれぞれ特徴がある。

 会見を見る限り、橋本市議は、自分にとって重要な事柄や感情が揺さぶられる言葉には、一瞬だが目を閉じたり、瞬きの回数が多くなっていた。婚姻関係について説明した時は「お恥ずかしい話」と言いつつ目をつむり、今井議員に「間違いなく恋愛感情を抱いていた」と言った時も目を閉じた。だが「不貞行為には当たらない」や「パジャマ姿で勉強会をした」と釈明した時など、自分はこう思っている、こうなのだと強く主張したい時は、瞬きが少なくなっていたようだ。

「本当に一線は越えていないのか」と聞かれ、「はい、越えていません」と言い切った時も瞬きはないが、額からはどんどん大粒の汗が噴き出していく。彼の中の緊張感も、汗と共にどんどん高まっていた感じだ。

「申し訳ないが…」と前置きした後、「私は嘘をついております」と言いだした時も、瞬きすることなくじっとレポーターを見つめた。週刊誌の取材時に否定したものの、実は今井議員に恋愛感情があったと釈明したのだ。

 それにしても、彼はなぜ「嘘をついております」とわざわざ言ったのだろう。取材時についた嘘を謝罪するつもりなら、「嘘をついておりました」と過去形になるはずだ。それをわざわざ現在形で言ったのは? 意地悪に捉えれば、この場でも嘘をついているということを抑えようとした無意識の欲求が、そう言わせたのかもしれない。

 さらに不倫の真相について突っ込まれると、汗を拭って「越えていません」と答えたものの、今度は口元をきつく結ぶと口先をやや尖らせてふくらませた。言ったところで信じてもらえないという困惑とかすかな怒りが、この仕草から見て取れる。

 ところが、「今井議員も一線を越えていないと強調しているが?」と言われた瞬間、表情は一変する。スーッと大きく息を吸うと、首をすくめてあごを引き、おでこにシワが寄るほど眉を上げ、下まぶたを緊張させて目を大きく見開き、眉間にシワを寄せたのだ。このように短く強烈な表情は、その人が感情を隠していることを暗にほのめかしていると、心理学者のポール・エクマンは言っている。

 これは驚いた時によく見られる表情だが、首をすくめてあごを引いたのは、心配や恐怖に対して身構えようという無意識の仕草だ。下まぶたが緊張したまま目を見開いたのも、眉間にシワが寄ったのも、心の底に動揺や恐れがあったからだと思われる。

 事実がどうであれ、今井議員もFAXで報道各社に宛て、一線は越えていないと強調していた。橋本市議がそれを知らないわけがない。それに会見前に、今井議員とどう釈明するのか話をしたと考えるのが普通だろう。

 いったい橋本議員は何を恐れ、何に動揺したのだろう?

 推測にすぎないが、もしかすると、今井議員の心が今回の騒動で離れてしまうかもしれない、そんな不安が市議の心をよぎったのではないだろうか。他人の口から「今井議員が、強調している」と聞いたことで、自分の存在が否定されていくような、遠ざけられていくような感覚が、にわかに現実味を帯びたのではないだろうか。

 そう考えると、「こんな事態になったがこれから先の関係は?」と聞かれ、下唇を噛んで唾を飲み込み、「希望としてはまぁ…」と言葉に詰まって視線をそらし、ごにょごにょと言葉を濁してしまったのもわかる気がする。憧れのスターを前にして、立場を忘れて舞い上がってしまった市議の心に、浮かんだかもしれない恋の結末。

 この会見を見ていて思い出したのは、1984年にブームとなった不倫恋愛映画『恋に落ちて』のあるワンシーン。舞台はニューヨーク、主演は若い頃のロバート・デニーロとメリル・ストリープ。お互い家庭のある二人が偶然出会い、恋に落ちながらも一線を越えずに別れてしまうという映画だが、夫の不倫に気づいた妻が、それを問い質した後に言ったセリフが深かった。

「プラトニックな方がもっと悪い」。

 こんな恋心を引きずったまま、市議は今後、まともに議員活動できるのか? なんといっても、それが一番心配。

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