小泉進次郎氏と二階俊博氏が接近 安倍抵抗勢力の誕生へ

小泉進次郎氏を二階俊博氏が自らが“後見人”のようにアピール “政界大再編”予想も

記事まとめ

  • 二階俊博氏は総選挙で中川郁子氏らが落選したが、中曽根康隆氏らを入会させて勢力挽回
  • 二階氏は小泉進次郎氏を筆頭副幹事長に起用し、自らが“後見人”のようにアピール
  • 進次郎氏が二階氏を味方につけ首相に挑めば、“政界大再編”が起きるとの見方もある

小泉進次郎氏と二階俊博氏が接近 安倍抵抗勢力の誕生へ

小泉進次郎氏と二階俊博氏が接近 安倍抵抗勢力の誕生へ

進次郎氏を取り込むのはどの派閥か(写真:時事通信フォト)

〈政治は数、数は力〉──という田中角栄流の「数の論理」は昔も今も自民党派閥政治の基本原理だ。選挙で子分を増やして兵を養い、権力の座を目指す。総選挙による派閥勢力の消長は政界地図を大きく塗り替える。

 特別国会が召集され、第4次安倍内閣が発足すると、自民党では各派閥が拡大合戦を展開中だ。中でも二階俊博・自民党幹事長率いる二階派は、党内の陣取りではなく、選挙中から“スカウト”のアンテナを野党に向けていた。

 二階氏は解散前、無所属議員を次々に二階派に入会させて岸田(文雄・政調会長)派を抜く党内第4派閥(47人)に拡大させたが、総選挙では西川公也・元農水相や同じ派閥の門博文・代議士との“路チュー”スキャンダルを起こした中川郁子氏、夫の“ゲス不倫”に加え、自身の公用車の私的利用で叩かれた金子恵美氏ら、派閥の候補が8人も落選して勢力を減らした。

 ところが、選挙後の短期間に中曽根康弘・元首相の孫の康隆氏など新人5人を次々に入会させ、瞬く間に勢力を44人にまで挽回してみせたのだ。

 ただし自民党派閥の消長は数だけでは決まらない。有力な「総理・総裁候補」を抱えていることが必要だ。

 安倍首相の出身派閥である細田派は森内閣から4人(5代)の首相を輩出して最大派閥になったが、ポスト安倍の後継者が見当たらず、その勢いに陰りが見えてきた。第2派閥の麻生派、第3派閥の額賀派にも有力な総裁候補は見当たらない。

 その中にあって、二階氏は小泉進次郎氏を筆頭副幹事長に起用したことで強力な“カード”を握った。最近では幹事長会見の際、二階氏は必ず進次郎氏を自分の隣に立たせ、自らが“後見人”であるかのようにアピールしている。

 そもそもこの抜擢人事(今年8月の内閣改造)は安倍首相ではなく、二階氏主導によるものだった。二階氏と親交の深い作家・大下英治氏が語る。

「将来の総理・総裁のレールが敷かれているホープの進次郎氏にとって、政治スタイルが対照的な二階さんの下で仕事をするのは非常に勉強になっている。

 いまでは進次郎氏は党の細かい発表は“僕がやります”と積極的にスポークスマン役を買って出ており、二階さんも“安心して今のポストを任せられる”、“さらに上のポストでもこなせる”と高く評価している」

 2人には奇しき縁がある。二階氏は保守新党から自民党に復党後、小泉純一郎首相の下で党総務局長、経産大臣に抜擢されて地歩を固めた。進次郎氏は“恩人の息子”であり、二階派に有力な総理・総裁候補がいないだけに、「いずれ自分の後任の幹事長に育てたいと考えている」(同派議員)と見られているのだ。前出の大下氏はこういう。

「二階さんは進次郎氏を二階派に引き入れようとは考えていない。なぜなら、進次郎氏はいずれ自分の派閥を旗揚げするはずで、それまで他の派閥に入る可能性は100%ないとわかっているからです。ただし、2人の信頼関係は深いから、いつか二階派が進次郎氏を“担ぐ”時代が来るかもしれません」

 将来の総理候補である進次郎氏は、どの派閥も“欲しい”逸材。これまでも、誰が彼を担ぎ上げるか争われてきたが、どうやら二階派がリードしているようだ。

◆政界大再編が起きる

 安倍首相はこれまで外交・内政両面で二階氏の政治力に助けられてきた。昨秋起こった自民党総裁任期延長問題では、二階氏が「安倍首相の後は安倍首相だとの声が多い」といち早く声を上げて流れをつくり、米軍基地移設をめぐって官邸と翁長雄志・沖縄県知事の関係が決定的に悪化すると、二階氏が首相や菅義偉・官房長官の代わりに翁長氏と面会し、要望受け付けの交渉窓口となっている。

 外交でも、北朝鮮のミサイル危機が深まる中、親中国派として中国要人との太いパイプを築いてきた二階氏は今年5月に「北朝鮮問題での日中連携」を求める安倍首相の親書を携えて訪中し、習近平・国家主席と会談。習氏は停滞する日中関係の改善について前向きなコメントを発表した。

 安倍首相の弱点といわれる老練な調整力を持つ二階氏は「党内で唯一、頭が上がらない存在」(安倍側近)といっていい。

 一方の進次郎氏は、総選挙で「自民党の新しい顔」として安倍首相をしのぐ集客力を示し、森友・加計問題でも歯に衣着せぬ言い方で首相に説明責任を突きつけるなど、いまや「党内で唯一、総理にものが言える政治家」である。

 週刊ポスト前号では首相の座をはっきり意識し始めた進次郎氏と、その進次郎氏を自身の後継者として味方に取り込み、「傀儡化」を図ろうとする安倍首相の間で綱引きが始まっていることを報じた。

 来年秋の自民党総裁選で安倍首相の3選は確実と見られているが、それによって2021年までの長期政権が保証されるわけではない。

 若さと清廉さを武器に国民の高い人気と期待を背にした進次郎氏が、権力の凄味と使い方を知り尽くした老獪な二階氏の政治力を味方につけて安倍首相に挑むとき、政界に強力な「安倍抵抗勢力」が出現することになる。

 そうなれば、自民党内の派閥抗争にとどまらず、野党の保守勢力までをも巻き込んだ“政界大再編”が起きるはずだ。政界の底流では、すでにその動きが始まっている。

※週刊ポスト2017年11月17日号

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