在宅ワーク拡大とともに浸透する「Zoom飲み会」の注意点

【新型コロナウイルス】ビデオ会議「Zoom」での飲み会メリット・デメリットを解説

記事まとめ

  • 新型コロナウイルス感染症流行の影響で、ビデオ会議のシステム「Zoom」が注目を集める
  • Zoom上ではミーティングだけでなく、オンライン飲み会などプライベートでの集まりも
  • ITジャーナリストの高橋暁子さんが、メリット・デメリット、注意点について解説する

在宅ワーク拡大とともに浸透する「Zoom飲み会」の注意点

在宅ワーク拡大とともに浸透する「Zoom飲み会」の注意点

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 新型コロナウイルス感染症流行の影響で、リモートワークや在宅ワークが急速に広がっている。その便利なツールとしてビデオ会議のシステムが注目を集めているが、なかでも100人以上の大人数が参加出来る「Zoom」は3月に感染拡大前の20倍以上、利用者が2億人あまりに急増した。最近では仕事の会議やミーティングだけでなく、オンライン飲み会などプライベートでの集まりもZoom上で開催されている。参加者からは、「3密(密閉・密集・密接)」を避けて会いたい人に会える」と好評だ。アプリ事情に詳しいITジャーナリストの高橋暁子さんが、Zoom飲み会のメリット・デメリット、注意点について解説する。

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「誰とも話さない日が続いて寂しかったから、本当に楽しかった」と東京都で一人暮らしをする30 代女性はZoom飲み会に参加しての感想を教えてくれた。「仕事もテレワークだし、家から出ない日が続いていた。気づけば一日誰とも話していないことがあって、しんどかった。久しぶりに同僚たちとわいわい話せてストレス発散になった」。

 Zoomとはスマホ、パソコンで相手の顔や画面をお互いに見ながら、会話することができるサービスだ。複数が同時に参加でき、別々の場所にいる全員の顔を画面上で見ながら話が出来る。主催者から送られてきたURLをタップして、アプリをダウンロードすれば、参加者はサービス登録しないままでも簡単に利用できる。散らかった部屋を見られたくない人には、背景を変えられる機能も用意されている。

 ここでカメラとマイクが自分のパソコンにはないと慌てる前に、よくパソコンを確かめてほしい。ノートパソコンであれば、最近のものはほとんどカメラもマイクも内蔵されているので、そのままZoomに参加できる。他のサービスに比べて直感的に利用できる操作性のよさが決め手となり、新型コロナウイルス感染拡大による在宅ワークの広まりとともに知られるようになった。そのため最近では仕事のためだけでなく、プライベートで複数人が集まること、たとえば飲み会にZoomが利用されるようになっている。

 Zoom飲み会にも、色々な種類があるようだ。あるアイドルの追っかけをしている20代女性は、仲間とZoom鑑賞会をしたという。「ライブDVDを同時に再生しながらZoomでつながった。笑い声とか感想がリアルタイムで聞こえるから、一緒にライブを見ている気分になれる」

 今まで対面で行うのが普通だった飲み会やライブ鑑賞会などをオンラインで同時に楽しむ人が増えているが、体験者に話を聞くと、Zoomだけでなく、様々なサービスが活用されている。たとえば「Zoomは40分で無料時間が終了するというから、LINEでビデオ通話をやった」という声も聞いた。その時のキャプチャを見せてもらったが、みんなエフェクトで猫耳などをつけて同じ時間と空間を満喫している様子がうかがえた。

◆安価で自由度高く「ながら」OK、多いメリット

 外出しづらく他人と会うことを制限されているストレスは大きく、他の人と会ったり話したりしたい欲求を抱えている人は多い。Zoom飲み会に代表されるオンライン飲み会が流行した理由は、人とコミュニケーションしたいという人間の根源的な欲求を満たしてくれたからだ。

 Zoom飲み会にはメリットが多い。まず、食べ物や飲み物などは各自で用意すればいいので、自由度が高く、居酒屋などに集まることと比べると実に安上がりだ。親しい相手となら、部屋着やすっぴんのまま参加するのも可能だし、外での飲み会と違って移動時間などを考える必要があまりないため、日程調整が容易で参加もしやすい。終電が関係ないため、その意味でもやりやすいはずだ。

 合間にパソコンをいじったり家事をするなどの、「ながら飲み」もできる。途中で席を立っても特に不都合がないので、その場に縛られない良さもあるだろう。

◆会話は一つ、セキュリティにも注意を

 いいところばかりのように見えるZoom飲み会だが、もちろんデメリットもある。

 これまでWEB会議サービスをあまり利用した経験がなく慣れない人達のリテラシーは、それほど高くない。急速に利用者を増やしたZoomについては、これまで聞いたことがなかったとか、他のサービスも含めてビデオ通話をしたことがないという人も少なくない。普段からスマホやアプリなどを使いこなしていない人には、心理的にも物理的にも始めるまでのハードルが高いようだ。

 また、ビデオ会議は動画のやりとりなので通信量がかさんでしまうため、Wi-Fi(無線LAN)環境が必要だが、スマホ回線の契約のみという人もいる。それではあっという間に1ヶ月の容量上限に達してしまうだろう。また自宅で行うため、小さな子供がいるとビデオ通話に乱入されるなど、「子どもが起きている時間には参加が難しい」という人も少なくなかった。

 一般の飲み会の場合、テーブルのこちらとあちらで違う話が同時にすすむのは普通だが、Zoom飲み会の場合は複数の話題を同時にやり取りすることはできず、話題はその時々で一つに絞られる。そのためか、「しっかり話をするので、気軽な飲み会のはずが集中力が必要で疲れた」という声も聞いた。また、終電などがないため、終わるきっかけがなく長くなりやすいようで、「午前2時まで話した」という人もいた。

 さらに、Zoomは安全面で様々な問題点が指摘されている。利用者が激増したことでその問題点が浮上し、プライバシー慣行としてユーザーの利用統計を第三者へ販売していたこと、そもそもやり取りが暗号化で保護されていなかったことなどについて、運営会社自身が謝罪している。また、参加者が参加用URLを不特定多数から見られる場に公開してしまったり、パスワードをかけていないなどの理由で、他人が乱入してきた例も少なくない。乱入者の中には、暴言を吐いたり露出行為を働いた例もあり、それらの嫌がらせは「Zoom爆弾」と呼ばれている。そのためニューヨーク市では学校でのZoom利用を禁止し、MS Teamsに移行させている。

 問題が多いとはいえ、使い勝手がよいZoomは利用者にとって魅力的だ。運営会社は新機能開発をストップさせて問題点を改修することに注力しているが、それらが反映されるまでにはまだ時間がかかる見込みだ。であれば、みずからセキュリティ対策を心がけるしかない。Zoomで会議を主催する人は、参加者に伝えるURLをSNSで安易に公表しないだけでなく、参加者に対しても、くれぐれも外部に漏らさないように伝える必要があるだろう。

 問題点もあるとはいえ「Zoom飲み会のおかげでなんとか過ごせている」という声を複数聞いている。人と話せるだけでストレス発散になり、精神状態にもいい。自宅にこもった生活が続く人は、適度にストレスを発散しながら、健康で楽しく過ごすようにしてほしい。

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