コロナで浮き彫りになる本性、駅の“舌打ち”や夫への殺意沸々など

コロナで浮き彫りになる本性、駅の“舌打ち”や夫への殺意沸々など

小池都知事からの「休業要請」にすべての飲食店等は悲鳴をあげている(時事通信フォト)

 体験取材などを得意とする女性セブンの名物記者“オバ記者”こと野原広子(63才)が、世の中で起きている出来事に気ままな意見をぶつける。今回のテーマは「人の本性が次々とあばかれていく!」だ。

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 実は先日、夜中に熱が出たの。体温を測ったら36度7分ある。平熱は35度5分だから微熱だけど、体が熱い。喉も少し痛いような気がする。えっ、コロナ? そのとき私が考えたのは、感染源。誰からうつされたんだろう? あいつか、それとも…。

 1時間、2時間。天井をニラんで、犯人捜しとこれからどうしようかを考えているうちに、疲れて寝ちゃった。朝、目が覚めて体温を測ったらセーフ! 平熱に戻っていた。体にだるさもなく、スッと起きられる。それでアルバイトに出かけていったんだけど、そうなったらなったで、なんとも後ろめたいんだよね。

 新型コロナウイルスに感染しているかもしれない。していないかもしれない。で、どうしたかといえば、隠ぺい。「昨夜、微熱が出た」と誰かに言ったら、その人はどう思うか。結局、怖くて誰にも言えなかった。

 あれから10日がたつ。幸い、体温は上がっていないから、コロナではなかったようだけど、いま、私と同じように体の異変を人に話さない人がどれだけいるか。その中に“ホンモノ”が潜んでいる…。その不安と恐れでみんな、いっぱいいっぱいよ。

 不安はすぐに怒りに変わる。でも、それが私に飛んでくるとは思わなかった。

 先日、友人のA子さん(66才)から出し抜けに、上から目線のこんなLINEが届いた。「あなた、国会議員の事務所でアルバイトしているって言ってたよね。内部から声をあげて『アベノマスク、反対』って言ってよ」。唐突さにビックリして、「総理官邸の前で大声を出せってこと?」と返すと、「そうして!」だって。ちょっと世間知らずなA子さんではあるけれど、「アベ」と呼び捨てにしたり、私を鉄砲玉にさせるような人ではない、と思っていた。

 身近な友達といえば、Y美(54才)もそう。数週間前、都内のスーパーからトイレットペーパーが消えたとき、電話口で「道徳心なさすぎ。どんな育ちをしたら、そんな身勝手なことができるのッ」とさんざん怒っていたのよ。

 それがいざ、緊急事態宣言が出るという日になったら、「トイレットペーパーは当分心配ない。うちは家族総出でもう買いに行ったから」と言うではないか。私が「買い占めた?」と聞いたら、「備えあれば憂いなし。自衛手段よ」だって。昨日言っていたことと、今日言ってることがつながらない。

 不安は人をどこまで変えるのか。たとえば、私はアルバイトに出勤するのに秋葉原駅と東京駅の2駅を利用する。街は人がまばらだけど、どっちも密集・密閉・密接だらけ。

 その雰囲気は日に日に悪くなる。ちょっと肩が触れたら「チッ」と舌打ちされ、バッグが足に当たったら「キッ」とニラまれる。こんなことが続くと、駅に入っていくとき、緊張感で一瞬、身がすくむんだよね。18才で上京して以来、初めての感覚だ。

「でも、それは知らない人で、その場だけでしょ。夫に家で本気でテレワークなんかやられてごらん。パートから疲れて帰ってドアを開けると、夫の加齢臭とどよ〜んとした空気。それで『メシ、何?』と聞かれたら、殺したくなるよ」

 そう言うのは都内在住の50代主婦・R子さん。実際、「稼ぎが悪い」となじられ、妻を殴り殺してしまった夫のニュースも流れている。そのR子さん、緊急事態宣言の翌日からパート先の飲食店が1か月の臨時休業になった。50代の夫婦がひとつ屋根の下に24時間。かといって、群馬の実家に帰ろうにも、「“コロナ疎開”する気? 東京から菌を持ってこないでよ」と言われたとか。

 それにしても、安倍晋三総理の「緊急事態宣言」よ。いま、日本が危機的な状況であることは、誰でもわかる。だから、「生活の維持に必要な場合を除き、みだりに外出しないように」というのはごもっとも。でも、「社会機能を維持するために必要な職種を除き、オフィスでの仕事は原則自宅でするように」って…外出がそんなに危険なら、“除かれた職種”の人はどうなるの。感染したら補償する? 仕事の出来高で生活しているフリーランスは、来月の支払いをどうしたらいい?

 自分の言葉で国民に呼びかけようという総理の意気込みは伝わってきたけど、内容は高校生の弁論部かよってくらい、ある意味、“感動的”。お金の話をうやむやにしたいから、空虚なきれいごとを言っているようにしか聞こえなかった。

 5月6日に緊急事態宣言が解かれたらすべて元通り――なんてことにはならないし、コロナが去った後の方が世の中はもっと大変になる、という声も聞く。

 その日に備えて、とにかく笑えることは笑い、よく寝て、食べて、体を動かす。さあ、長期戦になるよ!

※女性セブン2020年4月30日号

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