山崎拓氏が喝、10万円給付の独断専行をなぜ止められぬのか!

山崎拓氏が喝、10万円給付の独断専行をなぜ止められぬのか!

10万円給付に物申す(時事通信フォト)

 政治がおかしい、政権がおかしい。誰もがそう思いながら、その声は届かない。安倍晋三首相は自らに賛同を示す「いいね」以外、受け付けないからだ。さすがに政界の先達たる山崎拓氏(83)の箴言ならば、無視するわけにはいかないだろう。

 * * *
 政府の新型コロナ対応は初動から遅れていた。まず海外から感染者が入ってくるのを放置してしまった。

 安倍総理は2月下旬に全国一斉休校を要請しながら、中国と韓国からの入国制限を発表したのは3月5日。なぜ遅れたかというと、習近平・国家主席に遠慮したからです。

 習近平は4月に国賓としての来日が予定されていた。新型コロナは中国から感染が始まったから、来日できるかどうかは自身の政治生命に関わる問題で、来日延期も口に出せなかった。安倍総理はそんな習近平の面子を忖度して、来日延期が正式に決まる3月5日まで中国からの入国禁止といった大胆な水際対策を打ち出せなかった。この初動の遅れが今の状況につながっているのではないか。

 コロナ対策が後手後手に回ると、安倍総理は失態を挽回するためにイレギュラーな“リーダーシップ”を見せた。いったん「減収世帯に30万円給付」を決めながら、公明党から言われて一律10万円給付に変えた。30万円給付は全閣僚が閣議決定にサインして出した政府の決定。それを総理は朝令暮改のように一存で覆した。独断専行です。

 その結果、前例がない補正予算の組み換えが必要になり、緊急経済対策が1週間は遅れるでしょう。これは問題です。私は財政のツケになる一律給付には反対で、所得制限は必要だと思っているが、それでも全員に給付するというなら次の経済対策(2次補正)でやればよかった。

 この独断専行について、本来、財務大臣である麻生太郎・副総理が総理に意見すべき立場でその責任があった。しかし、麻生氏は森友文書改ざんの不祥事で役人を処分しながら自分の責任は取っていない。安倍総理が盟友の麻生氏を守ったからです。その恩義があるから総理の言いなりです。

 いまや総理を動かしているのは官邸官僚といわれるが、官僚の視野は非常に狭い。彼らの政策判断は目先の内閣支持率だけを意識したもので、だから政策の歪みが生まれている。総理のそばにいる政治家がそれを改めさせなければ、日本の再建はできない。

【プロフィール】やまさき・たく/1936年生まれ。1972年初当選。自民党幹事長、党副総裁、防衛庁長官や建設大臣などを歴任。

※週刊ポスト2020年5月8・15日号

関連記事(外部サイト)