緊急事態解除の大阪モデル 専門家が適当と考える条件は

緊急事態解除の大阪モデル 専門家が適当と考える条件は

宣言中は人手が激減(時事通信フォト)

 5月31日まで延長された緊急事態宣言。安倍晋三首相は14日を目途に解除可否の基準を示すとしたものの、遅きに失した感は否めない。

 論理的かつ具体的な“ゴール”が示されなければ、国民は疲弊するばかりだ。専門家は“望ましい出口戦略”をどう考えているのか。

◆東京の感染が「1日に1桁」

 日本に先んじて、世界各国では行動制限の解除に向けた指針が続々と示されている。

 アメリカでは「直近14日間で『インフルエンザに似た症状』『新型コロナに類似する症状』の患者数が減少に転ずること」などの基準が出された。イタリアやドイツのように「実効再生産数(感染者1人が何人にうつすか)」を基準に解除基準を定めた国も多かった。

 しかし、安倍晋三首相から出てきたのは、精神論や“ポエム”のような言葉ばかりだった。5月4日の会見では「前を向いて頑張れば、困難を乗り越えられる」と語り、失笑を買った。

 国が適切な“出口戦略”を示すのが遅れたために、吉村洋文・大阪府知事のように“独自の解除基準(大阪モデル)”を示す自治体も出た。それを受けて大慌てで安倍首相が基準の公表に言及したのも、国民が「ゴールの明示」を強く求めていることを痛感したからだろう。

 吉村府知事は「新規の感染経路不明者数10人未満(直近7日間の平均値)」「陽性率7%未満(直近7日間の平均値)」「重症者病床の使用率60%未満」の3つの基準を7日連続で満たせば段階的に解除としたが、各分野の専門家はどんな条件が適当と考えるのか。

 まずは感染症専門医の見解を尋ねた。日本感染症学会評議員で、グローバルヘルスケアクリニック院長の水野泰孝医師(輸入感染症)が語る。

「新規感染者数の中でも、特に『市中感染者』の推移に注目すべきです。現在報じられている患者数は、院内感染と市中感染を分けていませんが、その性質は大きく異なります。院内感染は、極端にいえば感染者が完全にゼロにならない限り起こり得るし、発生後は病院内での対応の問題となる。

 一方、緊急事態宣言下の外出自粛で効果が見込まれるのは、感染経路不明者を含む『市中感染』の減少です。解除のためには最も感染が拡大している東京都の市中感染者を1日1桁程度に抑える必要があると考えます」

 前述した“大阪モデル”の「新規の感染経路不明者数10人未満」の基準は、「経路不明者=市中感染者」と考えれば、水野医師の見解と合致する。

※週刊ポスト2020年5月22・29日号

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