コロナ「実効再生産数0.5・0.7」でも緊急事態延長されたワケ

コロナ「実効再生産数0.5・0.7」でも緊急事態延長されたワケ

宣言中は人手が激減(時事通信フォト)

 5月31日まで延長された緊急事態宣言。安倍晋三首相は14日を目途に解除可否の基準を示すとしたが、国民は疲弊するばかりだ。

 延長発表を受け「『接触機会8割減』を守ったのに……」と感じた人も多かったのではないか。

 8割減の試算を導いたのは、厚労省クラスター対策班の西浦博・北大教授だ。実効再生産数を、3月14日時点の2.6から1未満に下げるための提言である(1以上は感染拡大、1未満は収束を示す)。

 延期発表に先がけた5月1日、専門家会議は「実効再生産数は東京で0.5、全国で0.7に下がった」と発表した。それなのになぜ宣言は延長されたのか。数理モデルに詳しい滋賀大学データサイエンス学部の田中琢真准教授が言う。

「実効再生産数が1未満に下がりましたが、それでも新規感染者数は少なくありません。緊急事態宣言を解除し、接触機会が宣言前の水準に戻れば、以前と同等かそれ以上のスピードで感染が拡大する恐れがあります」

 感染拡大により、流行期の第二期、第三期が訪れることも懸念される。そうした理由から延長の判断がなされたと推測できるという。データサイエンスから考えられる「解除の条件」とは何か。田中准教授は「感染者データの集計・公開方法の改善」を挙げた。

「感染症の数理モデルを使えば感染者数が予測できますが、解除にはそれだけでなく経済のモデルも組み込んだシミュレーションによる総合的な判断が必要です。統計データは、各分野の専門家の分析の基礎になります。海外では都市封鎖による影響の経済学的な分析が取り組まれています。

 しかし現在の日本では、感染者の届け出は統一されたフォーマットがあるものの、集計は地域の保健所を通して各都道府県に一任されており、公表形態がバラバラです。これでは感染症以外の分野の専門家が分析しようにもデータ取得すら大変なので、データの公表形式の統一が必要だと考えます」

※週刊ポスト2020年5月22・29日号

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