需要高まる主婦の「在宅パート」 今どき仕事の時給とスキル

需要高まる主婦の「在宅パート」 今どき仕事の時給とスキル

コロナで苦しくなる家計の足しにと「在宅パート」を探す主婦が増えている

 コロナ禍による収入減、日々在宅勤務に勤しむ夫の姿を見て、「私も少しでも家計の足しにできる“在宅パート”はないかしら?」と求人サイトで職探しをする主婦が増えているという。そこで、働く主婦の調査機関「しゅふJOB総合研究所」所長兼「ヒトラボ」編集長の川上敬太郎氏が、今どきの在宅パートの職種や時給、必要なスキルや注意点などについてアドバイスする。

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「これからが正念場」「この1〜2週間が瀬戸際」と言われ続け、夜も週末もGWも外出を控え、医療関係者の奮闘や国民の自粛努力の結果、ようやく緊急事態宣言の範囲が狭められた。それでも、コロナ禍が完全に収束したと言えるようになるのはまだ先だ。

 しかし、既に現時点ではっきりとしている事実がある。われわれは、ウイルス一つで世界中の動きが止まってしまうというリスクを今後も背負い続けるということだ。再び同じようなウイルスが蔓延する可能性を誰も否定できない。そうなると、現状から学び、新たなウイルスに遭遇しても世界を動かし続けるための改善が必須となる。

 政府からの自粛要請は、さまざまな方面に影響を及ぼした。その結果、仕事を替えたり離職することになった人もいる。それでも継続して働き続けることができているケースのひとつに、在宅勤務がある。

 持続可能な仕事は「サスティナブル(sustainable)ワーク」と呼ばれる。働く意思を持つ人が生涯にわたって働き続けるためには、あらゆる環境変化に合わせて能力を発揮し続けることができる仕組みが必要だ。その観点からすれば、コロナ禍において在宅勤務できる仕事もサスティナブルワークだ。

 コロナ禍でどうにもならないのは、職場に出向かざるをえず、かつ密集が避けられない状態で対面を余儀なくされる仕事などだ。しかし、主にパソコンを用いるオフィスワーク系の仕事は、テクノロジーの進化により、かなりの範囲でオンライン対応が可能となっている。

 では、最近の在宅仕事にはどのようなものがあるのか。主婦・主夫層に特化した求人サイト『しゅふJOBパート』で募集されていた仕事情報などを参考に、いくつかピックアップしてご紹介したい。なお、記載した時給相場は業務範囲や地域によっても異なるため、あくまで目安として捉えていただきたい。

【営業サポート事務】
 営業部門の事務周りを引き受けて、営業メンバーの全般的なサポートを行うポジション。週3日、10:00〜16:00など仕事と家庭を両立させやすい時間で、かつ在宅勤務できるものもある。契約期間はスポット的なものより長期就業前提のものが多い。時給相場は各都道府県の最低時給(東京都の場合1013円)〜2300円。

 同じ職務での経験者は優遇されるものの、未経験可の場合もある。最低限、OAなどのテクニカルスキルは必要だが、社内メンバーとのコミュニケーションを上手に図ることが求められる職務。在宅勤務であっても事前研修などを通じて社風に馴染めるかどうかが大切なポイントとなる。

【テレフォンオペレーター】
 かかってきた電話を受ける「インバウンド」と、こちらから電話をかける「アウトバウンド」とがある。自宅で電話応対する際、会社の独自システムを使えて費用がかからないのか、あるいは私用電話を使って通話料相当分を後日請求するのかなど、通信環境の条件は応募時に要確認。

 勤務形態は長期を前提に毎月シフトを組むケースもあれば、月に数日、一回3時間だけ勤務するようなケースもある。中にはコロナ禍で臨時収入を確保したい期間だけ勤務するなど短期の求人もある。

 事前研修がしっかりしていて未経験でも応募可能なものも多い。事前の商品知識や説明話法の習得などに時間がかかるため、インバウンド業務の場合は比較的研修期間が長い。

 時給相場は、各都道府県の最低時給〜3000円。未経験者でも入りやすいアウトバウンドのアンケート調査やアポイント取得などから、専門知識が要求されるインバウンドの技術系ヘルプデスクなど職務内容によって変わってくる。

【事務スペシャリスト】
 事務的業務全般を広くサポートするのではなく、専門特化した技能を活かす事務スペシャリストは、在宅勤務との相性が良い。人事、総務、法務、広報・IR、経営企画など、会社機能の中枢に関わるものがイメージしやすい。

 例えば法務事務のスペシャリストであれば、契約書のリーガルチェック、契約書や規定の作成(適宜顧問弁護士とのすりあわせ)、取引先の反社会勢力該当チェックなど。さらにIPOを目指している企業であれば、上場経験なども重宝される。

 任される職務内容や責任範囲によっても変わってくるが、時給相場は1800円〜4500円。雇用形態はアルバイトや派遣だけでなく、月給制の時短正社員などの道もある。個人業務委託も可能で、人事スペシャリストであれば就業規則の改定だけをスポットで引き受ける、といったこともできる。

【求人スカウター】
 転職活動をしたことがある人は、登録している人材サービス会社からスカウトメールを受け取った経験があるかもしれない。そのように、条件に合致するスキルや経験を有する方に求人をおすすめする仕事を在宅で行うケースも出てきている。

 基本的な条件検索範囲内でマニュアルに沿ってスカウトメールを送るだけの段階から、スカウト文面を工夫して貴重なスキルを持つ方に求人の魅力を伝えて応募してもらい、テレビ会議システムなどを通じてキャリアカウンセリングを行うものまである。

 時給相場は、各都道府県の最低時給〜2500円。人材サービス会社での勤務経験だけでなく、一般企業の人事などで採用経験がある人やキャリアカウンセリング資格を保有している人などを優遇している求人もある。また、携帯メールに直接送信されないなど相手方に迷惑がかからない前提で、深夜帯の勤務を認めているケースなどもある。

【オンライン講師】
 政府からの休校要請後オンライン授業を始めた学校がたくさんあるように、家庭教師や英会話講師など、オンライン講師求人のバリエーションも広がっている。中には講義を動画撮影するケースもあるが、動画の使用条件や著作権などについてはあらかじめ文書等で確認のうえ、合意しておきたい。

 アルバイトや派遣、正社員、個人事業主と就業形態は幅広い。単発で一回のレッスンや一コマ単位で入るケースもあれば、週一回10:00〜12:00など勤務時間を固定するケース、一週間に何時間以上と最低勤務時間が決まっているケースなど就業の仕方も様々。

 就業形態が幅広いことに応じて、給与体系も多様。ワンレッスンいくらの出来高制から、月給制まで。中には時給換算すると最低時給に見合わないようなものも紛れていることがあるため、事前にしっかりと確認しておく必要がある。時給換算した相場は、各都道府県の最低時給〜8000円とかなり広い。教える内容や求められるレベルに応じて大きな差が生じる。

 自宅にパソコンと通信環境さえあれば、上記に紹介したような仕事に従事することができる。今回のコロナ禍をきっかけに、今後もバリエーションもボリュームも増えていくはずだ。

 ただ、在宅勤務は自由度が高い分、セルフマネジメント能力が重視される。自身でしっかりと時間をコントロールし、より高く機密意識を持って、しっかりと成果を出す姿勢が求められる。

 一方で、世の中には、飲食業や介護、製造ラインでの業務など、現場に出向かなければ従事できない仕事も多い。ウイルスが蔓延するたびにそれらの仕事をストップせざるを得ないようでは、人々の生活はもちろん、経済活動全体が衰退してしまう。

 ロボットやAIなど更なるテクノロジーの進化でカバーできるものもあるかもしれないが、それが実現するまでの間どう対処するかについても考える必要がある。今のテクノロジーでカバーできる業務については環境整備を促進し、一方で、カバーが難しい業務については集中的に防疫体制を整えたり、休業時の補償を手厚くするなどの対処が必要だ。

 今は目の前の脅威にどうしても目を奪われがちになるが、働き方の構造を変えて行くにあたり、あらゆる脅威を想定してどう持続可能な環境を構築し、世の中の仕事をサスティナブルワーク化していくかという視点を携えておくことが不可欠だと考える。

●かわかみ・けいたろう/1997年愛知大学文学部卒業後、テンプスタッフ(当時)に入社し新規事業責任者などを歴任。業界専門誌『月刊人材ビジネス』などを経て、2010年株式会社ビースタイル入社。2011年より現職(2020年より株式会社ビースタイルホールディングス)。延べ3万件以上の“働く主婦層”の声を調査・分析する傍ら、人材サービス業界への意見提言を行う。

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