自粛生活で流行の「バトン」に賛否両論 息苦しさとリスクも

【新型コロナウイルス】自粛中にSNSで流行の「#○○バトン」が賛否 息苦しさ指摘も

記事まとめ

  • 外出自粛の中、SNSには「#○○リレー」「#○○バトン」といったものが広がった
  • 芸能界では庄司智春の「#ギャグつなぎ」、ミュージシャンによる「#うたつなぎ」など
  • 「楽しい」との声がある中、「半強制なので、息苦しさを感じる」といった意見も

自粛生活で流行の「バトン」に賛否両論 息苦しさとリスクも

自粛生活で流行の「バトン」に賛否両論 息苦しさとリスクも

「#ギャグつなぎ」バトンを始めた品川庄司の庄司智春(時事通信フォト)

 新型コロナウイルス対策による緊急事態宣言は39県で解除されたが、まだ東京都や大阪府などでは継続中だ。自宅にいる時間が長くなる中、SNSには「#○○リレー」「#○○バトン」「#○○チャレンジ」が多数あふれた。バトンはなぜ広がり、どのような効果と問題があるのか。SNSのトラブル事情に詳しいITジャーナリストの高橋暁子さんが、バトンの問題点と対策について解説する。

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 タレント・庄司智春さんの始めたギャグ動画をつないだ「#ギャグつなぎ」、多くのミュージシャンが参加した歌をつなげる「#うたつなぎ」、新型コロナウイルス終息と人と人との縁を結ぶ意味を込めておにぎり写真を投稿する「#祈るおむすびバトン」。SNS内でそのようなバトンを見かけた人は多いだろう。

 ここでいう「バトン」とは、陸上のリレーで受け渡されるバトンのように、インターネット上でユーザーからユーザーへと受け渡される、公開アンケートのようなもの。かつてはブログでやりとりされることが多かったが、最近ではTwitterやFacebookなどSNSで行われることが多い。しばらく下火だったが、最近1〜2ヶ月は目に見えてバトンのやりとりが増えている。

 最新のバトンはどれも、ライブや劇場、映画館、テレビ番組の新規収録などエンターテインメントに関わる活動が止まっていたり、多くの人が自宅にいることを余儀なくされる中、少しでも人々の心を明るくするため、元気づけるために投稿された投稿たちだ。自由に人と会うことができない中、つながりを感じるものとして大人気になった。

 外出を自粛し自宅で料理をする機会が増えた人に役立ててもらいたいと始まった、多くのプロの料理人や料理研究家が参加した「料理リレー」もバトンの一種だったが、その後「料理リレー2020レシピ集」としてまとめられている。「三食作るのに飽き飽きした」という声が多く聞かれる中、献立の参考にしたという人も多いのではないだろうか。

 読書文化の普及に貢献するため、好きな本の表紙画像のみを一日一冊公開し、7日間続けるという「#7日間ブックカバーチャレンジ」は、GW中はタイムラインを埋め尽くす勢いだった。外出を自粛する間、このチャレンジで良書にめぐりあい読書ができ、在宅時間を楽しめるようにという意図が込められている。

 いま行われている「バトン」は、特定のお題に対してSNSなどで回答していくのだが、投稿を読んだ人が自主的にバトンを受け取って繋がってゆくのが本来の形だった。だが、バトンによっては、次の回答者を指定したり、見た人は回答しなければならないとなっていることも多い。

 新型コロナウイルス関連で流行したバトンは、願いや思いが込められたものが多いのだが、バトンという仕組みそのものに対しては賛否両論のようだ。なぜなのだろうか。

◆有益情報あり、出会い直しの側面も

 バトンは、Facebook、Instagram、Twitter、TikTok、YouTubeなど、ほとんどのSNSで見られる。テキストと写真、動画など、SNSによって投稿される形式は様々。Instagramでは、通常の投稿の他に24時間で投稿が消えるストーリーズ機能を使って投稿されていることも多い。

 ユーザーたちは実際に、バトンをどのように受け取っているのか。

「役に立つ情報や楽しい投稿が多くて楽しかった」というのは、テレワーク中の40代女性だ。「親しい人が意外な本をおすすめしていて知らなかった側面を知れたし、投稿から気になった本は実際に取り寄せて読んだ。好きな芸能人が動画を投稿してくれたのもよかった」。

 自分にも「#7日間ブックカバーチャレンジ」が回ってきたという彼女は、「回してもらえて嬉しかったし、本を選ぶのも楽しめた。投稿に反応をもらえて、同じ作家が好きな仲間も見つかった」と喜びを隠さない。

 このように歓迎する人がいる一方で、「タイムラインがバトンばかりでいっぱいになっており、興味がないので不快」「自分は投稿したくない。回さないでほしい」と嫌がっている人も少なくない。

◆同調圧力やチェーンメール的側面も

 知人に、「嫌なので回さないでください」とSNSで投稿している人がいた。改めて理由を聞いたところ、「人間関係による半強制なので、息苦しさを感じる。SNSくらい自由に投稿してもいいのでは。無理やり回すのがチェーンメールっぽい」と答えてくれた。

 また別の人は、「回ってきたから引き受けたけれど、いいことなんだからやらなきゃいけない感が面倒くさかった。同調圧力を感じた」という。「楽しむのは自由だし、親しい人から回ってきたからやったけれど、他の人には負担をかけたくないから」と、バトンは自分で終わりにしたそうだ。

「指名されない寂しさとか、次に誰を指名するかという問題もあって面倒くさい」という声もある。千鳥のノブさんが藤あや子さんから回ってきたおむすびリレーを、「リレー繋ぐのはかまいたち山内と学天即奥田にしますー!」と投稿したところ、二人にスルーされたという。似たような羽目に陥った方もいるかもしれない。

 また、バトン内容によっては他人に個人情報を教えてしまうリスクもはらんでいる。特に写真や動画には映り込む情報も多くなるため、自宅の場所などにつながる情報はないか確認してから投稿してほしい。公開範囲によっては、悪意を持ったユーザーに様々な個人情報を漏らしてしまう危険性があることも忘れてはならないだろう。

 やりたくないのに無理やりやると、「バトン疲れ」やSNS疲れにつながってしまう。先に紹介した人の例のように、無理やり参加せず断ったり、自分はやるけれど他の人には回さないというやり方もありではないだろうか。

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