コロナで家庭ゴミの量が激増、収集業者の奮闘とリスク

コロナで家庭ゴミの量が激増、収集業者の奮闘とリスク

彼らの働きなくして私たちの生活は成り立たない(写真/共同通信社)

 新型コロナウイルスの感染拡大で、生活様式が大きく変わろうとしている。緊急事態宣言が解除されたとはいえ、外出はできるだけ自粛する必要があり、“3密”を避ける努力も重要だ。出社せずに自宅で仕事をする人も増えていくだろう。

 その一方で、「エッセンシャルワーカー(生活必須職従事者)」は、私たちの暮らしを守り、社会を支えるために、今日も働いている。それは、医師・看護師、店員などに限った話ではない。

 緊急事態宣言下で余った時間を片づけにあてた人が続出し、捨てられたゴミの量は年末年始に匹敵したという。しかし、ゴミ捨て場にゴミがあふれかえることがなかったのは、収集業者が休まず働いてくれていたからだ。

「清掃事業は、緊急事態宣言下においても、住民の衛生環境を守るため、一日たりとも止めることはできません」

 そう語るのは、東京清掃労働組合中央執行委員長の中里保夫さん。東京清掃労組は、東京23区でゴミの収集・運搬・処理などに従事する清掃職員で組織された労働組合だ。

「外出自粛中にゴミの量が増えて苦心した」と振り返る。

「職員にかかる負担は非常に大きかった。想定外のゴミの増量に対し、人員や車両の手配がうまくいかず、職員の連携でなんとか対応してきました。ゴールデンウイーク後半からは、燃えないゴミの増量も顕著になりました」(中里さん・以下同)

 コロナの拡大期にはマスク不足にも悩まされた。

「マスクはヘルメットや作業着と違って支給されません。3〜4月は完全な品薄のため店頭で買えず、仕方なくマスクなしで作業する者もいました。収集車内は狭いうえ体格のいい職員が多く、どうしても密になる。職員は、自分が感染することよりも同僚にうつすことを何より恐れていました。小さな子供や高齢の親を抱える職員が多いからです」

 検査で陽性と診断されても、病床不足や軽症などの理由で自宅待機となる患者も多かったが、どの地域のどの家に陽性者がいるかは公表されない。

「感染者宿泊用のホテルには感染症対策をしたゴミ収集車を準備できましたが、自宅待機者がどこにいるかはわかりません。陽性者の出したゴミは感染源になり得るので、職員は常に緊張していました。

 とはいえ、陽性者のゴミだけ別に回収したり重装備で回収したりすれば、その家が近所の噂になって、新たな差別を生みかねません。私たちにリスクはありますが、そんな事態だけは絶対に避けなくてはなりません」

 実はゴミ収集の職員は、住民との交流が多い。

「あまり知られていませんが、職員の仕事はただゴミを回収するだけではないのです。ゴミ捨て場にゴミを出せないお年寄りのお宅の玄関先まで伺ったり、分別ルールが守られないお宅を訪問してゴミの出し方を教えたり、学校で『環境学習』と呼ばれる勉強会を行うなど、住民と密接に交流する業務があります。また、自然災害で被災した地域の支援活動も大切な業務です」

 明日の朝も、彼らは変わらずゴミを集めるため、収集車に乗るだろう。

※女性セブン2020年6月18日号

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