コロナ補正予算の謎事業 空港に生け花、キャンプ場にWi-Fi

【新型コロナ】補正予算の使途に疑問も 『空港に生け花』や『キャンプ場にWi-Fi』

記事まとめ

  • 緊急経済対策の補正予算で、各省庁がどう見ても不要不急のものを計上しているらしい
  • 農水省は学校や空港に花を飾り、来日観光客らに花の魅力をPRする事業を支援するという
  • 環境省はキャンプ場などへのネットインフラ整備に30億円を計上している

コロナ補正予算の謎事業 空港に生け花、キャンプ場にWi-Fi

コロナ補正予算の謎事業 空港に生け花、キャンプ場にWi-Fi

政権と受注先との「距離感」も問われた(写真はサービスデザイン推進協議会の代表理事の会見。写真/共同通信社)

 緊急経済対策の事業規模は第1次・第2次補正予算を合わせて総額200兆円超に膨れ上がった。だが、その巨額予算の中には、各省庁がどう見ても“不要不急のもの”を計上している。まさしく、“嘘つきは泥棒の始まり”だ──。

不透明で不可解なカネ

 政府の「持続化給付金」の委託費を巡る“中抜き疑惑”は、ついに経産省が外部の専門家を入れた検査の実施に追い込まれる事態となった。

 同事業を769億円で受託した一般社団法人「サービスデザイン推進協議会」は、広告代理店大手・電通に749億円で再委託。その電通が子会社5社に外注し、そこからさらに人材派遣大手・パソナなどに外注されるという構図だ。

 サービスデザイン推進協議会の役員には電通、パソナの関係者が名を連ねている。また、設立以来、決算公告を一度もしていなかったことなどから、実態のない“幽霊法人”だという疑惑が燃え上がったのだ。元経産官僚の古賀茂明氏はこう語る。

「電通やパソナは行政府からの業務委託件数が多く、目立ちすぎることを避けるためにサービスデザイン推進協議会が設立されたのではないかと、疑いの目が向けられています」

 6月8日に会見を開いた同協議会の幹部らは中抜き疑惑を否定。ただ、検査の実施を表明した梶山弘志・経産相は具体的な検査方法や結果の公表時期の明言を避け、安倍政権が全容解明に及び腰である印象は拭えない。

 新型コロナ対策では、全世帯に2枚ずつ配布されたアベノマスクを巡っても、随意契約でマスク事業の実績のない企業が30億円超を受注していたことなどが問題視されてきた。

 共通するのは、不可解なカネの流れがあり、それによって国民のために使われなくてはならない新型コロナ予算が“食い物”にされているという疑念だ。

 そして何より問題なのは、予算の適正な執行を管理すべき霞が関官僚こそ、予算を食い尽くす「シロアリ」そのものだと考えられることだ。

不透明で不可解なカネ

 新型コロナ対策の補正予算の内訳を検証していくとよくわかる。一律10万円給付のための12兆円といった項目のなかに「どこがコロナ対策なのか」──と首をかしげたくなる事業が紛れ込んでいるのだ。

●農林水産省「ドローンを使ったスマート農業」に10億円

 ドローンによる農薬散布、AI搭載のキャベツ自動収穫機など、「スマート農業」を導入した現場での省力化を実証するプロジェクト。

 新型コロナによる入国規制で農業分野の技能実習生らが来日できなくなり、農家が人手不足に苦しんでいるから──というもっともらしい説明が農水省の資料にはあるが、この事業は昨年度から実施されているもの。その対象地域を拡大するだけだ。効果が実証されても普及には時間がかかり、“緊急対策”とは言えないだろう。

 農水省は他にも、収束後の観光回復を見越して「公共施設等における花き(観賞用植物)の活用拡大支援事業」に約32億円を注ぎ込む。学校や観光地、駅、空港などに花を飾り、来日観光客らに“花の魅力”をPRする取り組みを支援するという。同省の資料には〈インバウンドを通じた海外需要の喚起により、輸出拡大を目指す〉とあるが、空港の国際線ロビーがガラガラの時に言われても何の説得力もない。

●環境省「国立公園のキャンプ場などへのネットインフラ整備」に30億円

 国立公園への観光客誘致や「ワーケーション(ワークとバケーションの融合)」のためのネット環境整備などに補助金を振る舞う。

「対象となるのは国立・国定公園で、ワーケーションの環境整備は国民保養温泉地に該当する地域のキャンプ場やホテルも含まれている」(環境省国立公園課)という。

 事業概要の説明資料では〈感染リスクの少ない自然の中でクリエイティブに仕事ができる場として国立・国定公園、温泉地の新たな魅力を打ち出す〉としているが、“Wi-Fiを整備したのでキャンプ場で仕事をしよう!”と言われても、コロナ危機で仕事を失ってしまった人はどうしようもない。

※週刊ポスト2020年6月26日号

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