コロナ予算177億円、デジタルトランスフォーメーション事業

コロナ予算177億円、デジタルトランスフォーメーション事業

政権と受注先との「距離感」も問われた(サービスデザイン推進協議会の会見。写真/共同通信社)

 緊急経済対策の事業規模は第1次・第2次補正予算を合わせて総額200兆円超に膨れ上がった。だが、その巨額予算の中には、各省庁がどう見ても“不要不急のもの”を計上している。

 政府の「持続化給付金」の委託費を巡る“中抜き疑惑”は、ついに経産省が外部の専門家を入れた検査の実施に追い込まれる事態となった。

 同事業を769億円で受託した一般社団法人「サービスデザイン推進協議会」は、広告代理店大手・電通に749億円で再委託。その電通が子会社5社に外注し、そこからさらに人材派遣大手・パソナなどに外注されるという構図だ。

 サービスデザイン推進協議会の役員には電通、パソナの関係者が名を連ねている。また、設立以来、決算公告を一度もしていなかったことなどから、実態のない“幽霊法人”だという疑惑が燃え上がったのだ。

 新型コロナ対策の補正予算の内訳を検証していくと、一律10万円給付のための12兆円といった項目のなかに「どこがコロナ対策なのか」──と首をかしげたくなる事業が紛れ込んでいるのだ。

●国土交通省「インフラ・物流分野におけるデジタルトランスフォーメーション事業」に177億円

 もはや名前からは何の事業かもわからないが、デジタルトランスフォーメーションとは、「様々な技術をデジタル情報化して非接触・省人化していくこと」(国交省総合政策局総務課)だという。

 177億円の内訳には3Dデジタルマップの作成(20億円)、道路や河川などの公共工事で使われる熟練技能のビッグデータ化(3億円)といった項目が並ぶ。

「熟練技能者はどういう動きをしているのか、センサーを使って動きを電子化したり、分析したりする。そのアウトプットを若手の技能者に伝えたり、ロボットに担わせたりしていく」(同前)

 説明中に一言も「コロナ」が出てこなかったことを担当者に問うと、「まぁ、コロナを契機としてリモートとか、働き方が変わってくるというようなことなんですけど……」とのこと。

●文部科学省「国立青少年教育施設の改修事業」に12億円

 ハコモノ整備にも余念がない。文科省所管の国立青少年教育振興機構が運営する、宿泊研修施設の改修が行なわれる。具体的には「全国4施設400室程度に、トイレ、ユニットバス、空調設備の設置などを完備するため」(文科省地域学習推進課)の予算だという。

 4月30日に成立した補正予算の資料には〈帰国する日本人留学生等を受け入れるため〉とあるが、帰国者数が落ち着くなか、第2波に備えた収容先ということかと聞くと、「整備した部屋が実際にどう使われるかは今後のこと」(同前)だという。ハコモノに12億円も使うくらいなら、ホテルを借り上げたほうがよっぽど安上がりだろう。

 元経産官僚の古賀茂明氏は「シロアリ官僚お得意の予算の流用」と批判する。

「東日本大震災の際にも全国各地の税務署の耐震補強工事や、岐阜県のコンタクトレンズメーカーの工場建設など、被災地に関係ない事業に巨額の予算が投じられた。これは政府の“いつものやり口”なのです」

 泥棒を正当化するために繰り出される新たな“口実”。「泥棒は嘘の始まり」――。

※週刊ポスト2020年6月26日号

関連記事(外部サイト)