全国でクラスター発生、明るみに出た「昼カラオケ」の実態

全国でクラスター発生、明るみに出た「昼カラオケ」の実態

高齢者を中心に昼カラオケの人気は高い

 娯楽として広まった現在の「カラオケ」は、最初はホテルの宴会場やスナックなどの店舗に置かれることが多く、酒席の余興として受け入れられた。文化としてすっかり定着したカラオケは、様々な時間と場所で楽しむことが広がり、近年は1000円程度と安価に利用できて歌い放題の「昼カラオケ」、略して昼カラが高齢者を中心に人気を集めている。今年に入り、新型コロナウイルスのクラスター発生場所としてにわかに注目を集めたことで明らかになった昼カラの利用実態について、ライターの森鷹久氏がリポートする。

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 新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない。政府は8月4日、ついに再びの「緊急事態宣言」もありうると言及、国民の間には「すでに第二波が来ている」という感覚を持つ人も少なくない。そんな中、コロナ禍初期から目立っていたのが「昼カラオケ店」なる場所での感染である。

「最初は東日本の昼カラオケ店で、その後も関西、関東と昼カラオケ店でのクラスター(集団感染)が続きました。当然大声で歌うし、酒を飲む場合もあるし『カラオケ』はやはり移りやすい…と思っていたんですよ」

 こう話すのは、東日本エリアで発生した”昼カラ店”を取材した全国紙社会部記者(20代)。若い記者なだけあって、プライベートでカラオケを利用することも多々あったが、実際に取材してみて、「昼カラ」は自分が知るカラオケとは全く異なることに衝撃を受けたという。

「普通は、カラオケボックスみたいなところでワーッと歌うものですよね? 昼カラは、中高年の客さんが、早いところでは朝の9時ごろからやってきて、夕方や夜までずっといるんです。その間、食べたり飲んだり寝たり、合間に歌ったり…。カラオケというより、なんでしょう、常連ばかりの溜まり場といったほうが良い雰囲気で」(全国社会部記者)

 とにかく客の滞在時間が長いのが「昼カラ店」の特徴なようで、その分、客同士の接触機会も増えるというわけだ。また、客のほとどんどが常連のため、濃厚接触をなんども繰り返しているから、誰か一人が感染すれば、いつクラスターが発生してもおかしくない。この「濃厚さ」について、関西地方で発生した「昼カラ店」を取材した、情報番組ディレクターがこっそり打ち明ける。

「濃厚接触どころじゃありません。客同士で手を握り合い、抱き合ってデュエットをやったり、軽食を同じ箸やスプーンで食べたり…。客は男女共高齢者で、妻や夫に先立たれた人もいれば、80才を過ぎて不倫相手を探しにくる元気すぎる客まで…。カラオケ店というよりは、過激なキャバクラ店のようでした(笑)」(情報番組ディレクター)

「濃厚接触」ときくと、報じられた最初の頃は、どんな密接な付き合い方だろうと受け取る人も少なくなかったが、最近では、酒を伴う会食、マスクをつけずに大声で語り合う、ということが該当する行動だと知られるようになった。だが、高齢者の利用が多いことからほのぼのとした交流の場かと思われていた昼カラ店では、こちらが想像する以上の「濃厚接触」が繰り広げられていたというのだ。関東でも、近隣「昼カラ店」数店から、十数名以上の感染者が出ているというが…。

「何人かのお客さんは、複数のお店をはしごするため、やはりそこから感染が始まっているのではないかと言われています。感染者が出た店は当然休んでいますが、隣の自治体の昼カラ店に遠征したり、カラオケ機材を仲間の自宅に持ち寄って『ヤミ昼カラ』する高齢者もいたりして…」(情報番組ディレクター)

 彼らにマイクを向けると「死よりカラオケができないほうが辛い」と漏らすというから、高齢者のパワーには感心するやら呆れるやら。いや、時勢を考えれば呆れるほかないのだが、これこそが超高齢社会で、健康寿命も世界2位という我が国の取り繕わない姿なのだ。若者がウイルスをばらまいている、とよく言われるが、予想以上の行動力で活発に動き回るのに年齢は関係ないらしい。

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