安倍首相辞任 元官邸スタッフ「8年間の体調管理は綱渡り」

【安倍晋三首相が辞任の意向】医師団にとって8年間の体調管理は"綱渡り"だったとも

記事まとめ

  • 安倍晋三首相は、潰瘍性大腸炎の悪化で2007年にも退陣に追い込まれた過去がある
  • 体調管理にあたる医師団にとってこの8年間の体調管理は“綱渡り”だったという
  • 元官邸スタッフは「体調が目に見えて悪化していったのは15年の安保法制の頃」と述べた

安倍首相辞任 元官邸スタッフ「8年間の体調管理は綱渡り」

安倍首相辞任 元官邸スタッフ「8年間の体調管理は綱渡り」

辞任の意向を固めた安倍首相(時事通信フォト)

 安倍晋三・首相が8月28日、辞任の意向を固めた。安倍首相は潰瘍性大腸炎の悪化で2007年にも退陣に追い込まれた過去がある。その後、症状を劇的に改善させたのが長年主治医を務めた日比紀文・元慶応大学医学部教授(現在は北里大学病院炎症性腸疾患先進治療センター長)だった。

 日本消化器病学会の広報誌に掲載された日比教授との対談で、安倍首相は病状の安定についてこう語っている。

〈アサコールという飲み薬が画期的に効いて寛解状態が続き、「また悪くなるのでは」との懸念がなくなり、精神状態も本当に楽です。CRP(炎症反応)検査値はゼロ、内視鏡検査の結果は「何もない」。この40年間で初めての「何もない」状態です〉(『消化器のひろば』2012秋号)

 官邸には首相専用の医務室があり、防衛医大病院などからローテーションで医官が詰めている。

 安倍首相が再登板してからは、そうした医官と、持病の治療にあたってきた日比教授が指導する慶応病院のスタッフを中心に医療チームが組まれている。日比教授が2013年に慶応を定年退職して北里大学に移った後は、慶応病院の医師団が主治医の役割を引き継いだが、日比教授自身も公邸や私邸に“往診”することがあるといわれる。

 おおたけ消化器内科クリニックの大竹真一郎院長は、「潰瘍性大腸炎は医学的な完治は難しく、治療は症状をどれだけ安定させるかが中心になる。そのためにはきめ細かい健康管理が重要で、ストレスが大敵です」と見る。

 実際、総理の体調管理にあたる医師団にとってこの8年間の体調管理は“綱渡り”だったようだ。別の元官邸スタッフが「今だから言える」とこう振り返る。

「総理の体調が目に見えて悪化していったのは2015年の安保法制の頃からです。反対運動が起こり、支持率が急落すると、薬のことで医療チームが揉めているという話が伝わってきた。体への負担が少ない薬を続けるか、ステロイドなど強い薬にするかで意見が分かれたようです。

 結局、その日の体調や日程に応じて薬を細かく使い分けながら、少しずつ強い薬を増やしていくことになったようで、医師団の1人は“手間がかかる”とぼやいていた。国会で飲んでいるマイボトルにも、腸の炎症や下痢を抑える成分が調合されているそうです」

 夜の会合が多い安倍首相の食事の管理は秘書官らの仕事だった。

「会合で中華料理などの日程が組まれているときは、油を中和するような成分のドリンクが用意されていた。医療チームからは、香辛料など刺激物を摂らせないようにといった注意書きのメモが秘書官に渡されていました」(前出・元官邸スタッフ)

 興味深いのは、ヤジと持病の関係だ。安保法制論議の頃から、首相のヤジが問題になることが目立ってくる。

「ヤジは体調が良くないサインだと聞きました。薬の影響で気分が落ち着かないらしい。ただし、本人は国会中に意識を強く保つために思わずあんな行動に出ているのだから、体調は悪いにしても、ヤジを飛ばせるうちは大丈夫だという医療スタッフもいました」(同前)

 医師団は首相のヤジの飛ばし方まで注意を払っていたことがわかる。

※週刊ポスト2020年9月11日号

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