藤井聡太二冠包囲網に動き出すトップ棋士たち、AIで綿密分析も

藤井聡太二冠包囲網に動き出すトップ棋士たち、AIで綿密分析も

反撃の一手をどう繰り出せるか(写真/共同通信社)

〈今後は藤井君に勝たない限り、頂点に立つことはできません〉。現役棋士のトップに立つ渡辺明・名人(棋王、王将との三冠、36)は、月刊誌『文藝春秋』(9月号)のインタビューで、藤井聡太二冠(18)の強さをそう評した。

 渡辺名人は、7月に棋聖戦で藤井二冠に敗れたばかり。王将戦リーグで勝ち残る藤井二冠と、来年1月から再びタイトルを争う可能性もある。

「その渡辺さんがあまりに率直に藤井さんの強さを語るので、関係者にも驚きが広がりました」

 そう話すのは将棋観戦記者の小暮克洋氏だ。記事で渡辺名人は、他の対局に悪影響が出るリスクを承知で、〈対藤井戦に特化した取り組みをすべきかどうかが考えどころ〉だと述べている。

「やはりトップ棋士たちは勝負師ですから、藤井さんに独走されてなるものかという気持ちがある。1996年に羽生善治さん(九段、49)が七冠を独占した時、森下卓さん(九段、54)が“こんな腹立たしいことはない”と発言しましたが、勝負の世界とはそういうものです。

 今後、様々な棋戦で藤井さんはシードとなり、対局相手は限られた上位の棋士ばかりになる。1か月ほどかけて“藤井対策”をする棋士は増えるでしょう。藤井さんに勝てば話題になるので、燃える人が多くて当然です」(前出・小暮氏)

“藤井包囲網”が生まれるというのだ。そうした対策の効果について、小暮氏は渡辺名人と同門の弟弟子である近藤誠也七段(24)を例に説明する。

「順位戦で藤井さんに唯一、黒星をつけたことがあるのが近藤さんです。話を聞くと1〜2か月前からAIを使って綿密に分析したそうです。傾向を調べ尽くし、頭の中を“藤井一色”にして臨んで勝利した。近藤さんが優秀な若手だからできたことですが、他のトップ棋士も同様に攻略を目指すと、藤井さんも安穏としていられない」

 藤井二冠は現在、唯一の10代プロ棋士。“大人気ない”構図だが、それほど藤井二冠の強さが際立っているのだ。

※週刊ポスト2020年9月11日号

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