ユーミンへの暴言騒動で、リベラルが寛容性持たないこと露呈

ユーミンへの暴言騒動で、リベラルが寛容性持たないこと露呈

守ってあげたい(時事通信フォト)

 ネットではたびたび舌禍事件が起きる。安倍晋三首相の辞任表明を受けても、SNSでは様々な発言が飛び交っている。今回、ある大学講師の書き込みからわかったリベラルの現状について、ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が考察する。

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 ユーミンこと松任谷由実がまさかの「極右」ないしは「レイシスト」認定をされてしまった! 安倍晋三氏が首相辞任を発表したことを受け、同年齢で首相夫妻とも交流があるという松任谷由実がラジオ番組で発した言葉が発端である。

 ユーミンは、辞任会見をテレビで見て泣いたと発言し、価値観は似ていると述べた。これを受け、京都精華大学の白井聡専任講師がフェイスブックに「荒井由実のまま夭折すべきだったね。本当に、醜態をさらすより、早く死んだほうがいいと思いますよ。ご本人の名誉のために」と書き込んだ。

 同氏は過去に「Yahoo!ニュース個人」に「民主主義考 白井聡さんが語る安倍政治 国家権力の腐敗と本質」という原稿を寄稿するなど徹底的にアベ政治を批判してきた人物だ。そして彼は今年5月、きゃりーぱみゅぱみゅが「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグを投稿し、安倍政権批判をした際に「芸能人が政治的主張をするな!」的な批判が集まった時にこうツイートした。政治評論家・加藤清隆氏の否定的発言を受けてのことだ。

「『歌手ふぜいが政治に口出しするんじゃない』という内容を含んでいたが、それは職業差別であり人権侵害にほかならない」

 まさにその通りである! 白井氏、いいこと言うじゃないか! と思ったのだが、松任谷由実がアベにシンパシーを寄せる発言をしたところ「早く死んだほうがいいと思いますよ」と来た。その後同氏は炎上したのだが、先の投稿を削除した上でこう釈明した。

「私は、ユーミン、特に荒井由実時代の音楽はかなり好きです(あるいは、でした)。それだけに、要するにがっかりしたのですよ。偉大なアーティストは同時に偉大な知性であって欲しかった。そういうわけで、つい乱暴なことを口走ってしまいました。反省いたします」

 何も謝っていねぇ〜! そのうえで、同氏が講師を務める京都精華大学はこう声明を発表。

「今回の発言は、人間の命を軽んじた内容であり、人間尊重の立場をとるべき本学教職員として不適切な行為であったため、厳重な注意を行いました」

 この発言により、白井聡という人物に興味を持ったので検索してみたがまだ43歳だったの!? えぇと、オレ、今47歳だけど1976年までの「荒井由実」時代なんて知らないんだけど、オレよりも若い白井さん、あなた「荒井由実」時代、生まれてないよね?

 まぁ、左翼の劣化ぶりってひどいもんだな。アベにシンパシーを感じたり、愛国的発言をすると「がっかりしました!」と猛烈にツイッターで叩く芸風が定着した。これまでその毒牙にかかったのはRADWIMPS野田洋次郎、つるの剛士、糸井重里、佐々木俊尚、三浦瑠麗、野口健、松本人志など。

 彼らは別にネトウヨでも何でもないのだが、「リベラル」を名乗る皆様方からは「ネトウヨ」「極右」認定を受けている。松本に至っては「アベとメシを食った」というだけで非難された。

 本来寛容性を重視するはずだったリベラルがまったく寛容性を持たないことが分かったユーミン騒動である。

●なかがわ・じゅんいちろう/1973年生まれ。ネットで発生する諍いや珍事件をウオッチしてレポートするのが仕事。近刊に『恥ずかしい人たち』(新潮新書)。

※週刊ポスト2020年9月18・25日号

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