大学ミスコンに異変 SNS&ネット投票が抱える“闇”とは

ミスコン候補者へ“クソリプ”送る人々が問題視 業界全体で対応策は見つけられず

記事まとめ

  • Twitter上を中心に「ミスコンマニアが感じ悪い」という批判が巻き起こっているという
  • 候補者が活発にリプライを交わすことに目をつけ、セクハラまがいのリプライを送る人も
  • “SNSキャバクラ”とも言える状況に「滅ぶべき文化」などと厳しく批判する声も多い

大学ミスコンに異変 SNS&ネット投票が抱える“闇”とは

大学ミスコンに異変 SNS&ネット投票が抱える“闇”とは

大学ミスコンの抱える闇とは(時事通信フォト)

 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、各大学の学園祭の中止が発表されている一方で、“オンライン学園祭”という新たな試みに乗り出す大学も多く、最大限できる楽しみを作ろうとする学生たちのポジティブなエネルギーを感じさせる。毎年恒例のミスコンも盛り上がる中、Twitter上を中心に「ミスコンマニアが感じ悪い」という批判が巻き起こっている。

 近年のミスコンでは、候補者たちはSNSを通して自己アピールを行ない、ファンと活発にリプライ(SNS上で返信すること)を交わす。そんな状況が「素人女子大生が無料で相手をしてくれる」と目をつけられてしまったのだろう。候補者に対して、いわゆる“クソリプ(セクハラまがいのリプライや、上から目線のリプライなど、「クソみたいなリプライ」を意味するネットスラング)”を送り付ける一部の人々が問題視されている。

 たとえば、Twitterで自分への投票を呼びかけるミスコン候補者に「結婚してくれ」というリプライを送りつけ、相手が戸惑いを示すと、「かわす技術が足りない」と説教を始めたり、深夜にもかかわらずコメント返信がないと「礼儀がなっていない」と怒り出したり……。どの候補者がどれだけリプライを返してくれたか集計しているマニアも存在する。候補者にとって、こういった“熱心なファン”の存在がプレッシャーになっていることは間違いないだろう。

 まるで“SNSキャバクラ”とでも言える状況も生まれてしまったミスコンの現状を「滅ぶべき文化だ」「大学名を冠してやるべきイベントではない」「父親が同じことをしていたら絶対に嫌だ」と厳しく批判する声はSNS上に多い。とはいえ、候補者自身は票欲しさにクソリプにもある程度対応せざるをえない。そんな候補者の苦しい事情につけ込んで、厄介なミスコンマニアたちは、「リプライを返してくれないと他の子に投票するぞ」というのを脅し文句にしている。

 アイドル文化への造詣が深く、オーディション「ミスiD」(講談社主催)の審査員も務めるプロインタビュアーの吉田豪氏は、大学ミスコンなどのオンライン投票イベントが抱える難しさをこのように解説する。

「アイドルやグラドル業界でも、ここ数年で、ファンが課金した金額を競うオーディションイベントが広がり、『お金を払ったんだから、自分の要求に応えてくれ』という態度のファンが問題視されています。これはミスコンのような無課金の投票イベントにも言えることです。ひとりで何度でも投票できるルールなら『俺がこんなに頑張ってるんだから』というファンが出てきてしまうし、ひとり1票にしたところで、複数のアカウントを作って、『生意気言うと投票してやらないぞ! 俺は別のアカウントからも投票できるんだ!』などと言い出す人がやはり出てくるはずです。ファンの頑張りによって勝敗が左右されるシステムの中では、どうしてもファンの発言力が強くなり、女の子との力関係が逆転してしまうんです」

 熱心なファンによる頑張りは、イベント全体の盛り上がりにつながる一方で、「女の子へのハラスメント」につながる危険性をはらんでいる。トラブル防止の方法はないのだろうか?

「まだ業界全体で対応策が見つけられていないのが現状です。運営がSNSをチェックすることは全く無意味なわけではありませんが、候補者全員のアカウントを24時間ずっと監視することは不可能でしょう。また、SNSアカウントのフォロワー数が人気のバロメータとして機能し、チャンスが回ってくる現実もあります。それで女の子たちが『じゃあフォロワー数を増やそう』と考えた結果、一部の変なリプライやDMを拒否しきれず病んでしまう。

 大々的に投票イベントをやる以上、どうしてもファンをヒートアップさせて盛り上げないといけませんが、ヒートアップした競争の中では、ファンも『これだけやったのだから見返りがあるべきだ』的な図々しさを持ちやすくなりますよね」(吉田氏)

 あくまで大学生主導のイベントであるミスコンだが、広告代理店や芸能事務所とのつながりがある場合も多く、「学生が主催するイベントとしては規模が大きすぎるのではないか」と指摘する声も上がっている。ネット投票によるイベントの盛り上がりが生み出す暗部とでも言うべきクソリプ問題への対処は、学生たちの手に余るのではないだろうか。

●取材・文/原田イチボ(HEW)

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