鶏笑、からやま、から好し… からあげ店が出店攻勢の背景

鶏笑、からやま、から好し… からあげ店が出店攻勢の背景

コロナ禍でも「からあげ屋」の出店ペースは伸びているよう

「会社の近くのタピオカ屋が、からあげ屋に変わっていた」「いつの間にか近所のスーパー脇にもできていた」──そう気づいた人は多いだろう。からあげ店が街に増えている。2018年に全国1408軒だった店舗数は、今や2487軒になった。コロナ禍で外食産業が軒並み不振に陥る中、からあげが一大トレンドとなった背景には鶏肉の原価の安さと、繁華街や駅近より住宅街やスーパー近くを狙う立地の工夫があるという。

 からあげ専門店の中でも特にテイクアウトに注力しているのが、国産鶏のみ使用にこだわる店舗数1位(174店)の「鶏笑」だ。一方、業界の老舗「からやま」(101店舗)は郊外やロードサイドを中心に展開する。

「車で来店される家族連れのお客様が多いため、駐車場は必須です。駅前の一等地よりロードサイドの方が出店可能な立地が豊富で、競合店が少ないという利点があります。

 当店では、お客様に“揚げたて”の臨場感が伝わるよう、客席からキッチンが見える作りにしています。秘伝のタレに漬け込んで肉のうまみを引き出した揚げたてのからあげを食べていただきたいですね」(「からやま」を展開するアークランドサービスホールディングス株式会社社長室・鈴木恵美氏)

 からあげ人気の高まりから、近年は大手飲食チェーンの参入も目立つ。すかいらーく系列の「から好し」(91店舗)やワタミ系列の「から揚げの天才」(48店舗)が続々登場し、群雄割拠の様相だ。

 大資本系は、そのスケールメリットを活かす戦略を立てている。すかいらーくホールディングス広報の北浦麻衣氏が言う。

「『から好し』は『ガスト』の店舗を活用した複合業態の出店に力を入れています。今の社会状況では新規出店は難しいですが、このスタイルなら限りなく少ない投資で店舗展開が可能です。現在は9店舗のみですが、2021年3月末までに1140店舗に拡大予定です」

 この複合業態が成功すれば、業界勢力図が塗り変わる可能性もある。では、このブームはいつまで続くのか。「焼き牛丼」、「立ち食いステーキ」、「タピオカ」など、ここ10年の飲食業界では様々なバブルが膨らみ、そして弾けていった。前出の外食ジャーナリスト・中村氏が指摘する。

「馴染み深いメニューとはいえ、からあげが牛丼のように定着するかは未知数です。各チェーンは部位やタレで差別化を図っているが、すでにアイデアが出尽くしている感も否めない。大規模なフランチャイズ展開は、新型コロナが収束して外食産業が盛り返したときにリスクとなる可能性もある。生き残り戦争は熾烈になっていくでしょう」

 飛ぶ鶏を落とす勢いは、いつまで続くのか。

※週刊ポスト2020年10月2日号

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