寺田和正氏がサマンサ新事業発進「プライド持てる仕事作る」

寺田和正氏がサマンサ新事業発進「プライド持てる仕事作る」

サステナビリティや業界全体のことまで思慮する寺田和正社長

 バッグなどを中心に女性向けアパレルを展開するサマンサタバサ──その創業者である寺田和正氏(54)が新たな挑戦を加速させている。10月28日には東京の空の玄関口である羽田空港第2ターミナルに実店舗「サマンサタバサ グローバル アイランド」をオープンさせ、キックオフ発表会にはゲストとしてタレントの紗栄子(33)も登場。寺田氏が今年設立した新会社・サマンサグローバルブランディングアンドリサーチインスティチュート(以下、サマンサグローバル)の、事業展開の象徴となった。

 レトロなキッチンカー風で目を引く店舗では、栃木県の人気スイーツ「バターのいとこ 塩キャラメル」(サマンサタバサ限定フレーバー)やジャージー牛の牛乳で作る「森林ノ牧場 ソフトクリーム」などを販売。商品に使う牛乳は自然の中で放牧している牛から搾ったもので、さらに「バターのいとこ」はバター製造の際に生まれ廃棄されることも多いスキムミルク(無脂肪乳)を活用した製品。サマンサグローバルはそれらの販売等を行うことで、「持続可能性(サステナビリティ)」を達成する事業にしている。

 寺田氏が語る。

「スキムミルクの廃棄を減らしたり、自然環境への配慮する酪農を行うことは、『サステナビリティ』が求められる今の社会に必要なことです。そうした『真実』を実現していく人々と協業し、ともに成長していく企業にしていきたいと考えています」

 サステナビリティに関しては、農林水産省も今年4月に、牛乳の廃棄を減らすという目標の下に「プラスワンプロジェクト」を始動するなど、現在の第一次産業に欠かせない要素となってきている。そうした事業を、寺田社長は「1つは“みんなのため”という『ソーシャルグッド』、そして『サステナビリティ』、そして、“挑戦を続ける”という『スタートアップ』をしっかりやっていきたい」(会見にて)という3つの「スピリッツ」で実現していく方針だ。

 昨年、寺田氏は、自らが育て上げたサマンサタバサ(ジャパンリミテッド)のトップを退いているが、退任に際して「『社員の自立と自走』を目標としたカンパニー事業部制」を導入した。

「今後はファウンダー(創業者)という立場で、日本発世界ブランドの確立に向け、国内事業と海外事業共に、弊社の今後の成長のために支援をしてまいります」(「代表取締役の異動の理由の補足説明について」より)と宣言していた通り、サマンサグローバルの事業展開をしている形だ。

 今、アパレル業界と飲食・食品関連業界は逆風続き、新型コロナ関連倒産の上位を占めている。同関連倒産673件中、飲食店、食品卸、食品小売、食品製造、アパレル小売り、アパレル卸、アパレル製造で計274件と、全体の40%超だ(帝国データバンクより。11月2日時点)。寺田氏はそうした業界全体を活性化したいと考えている。

「牛や馬がすごく好きでそこに関わる仕事がしたいという若者が実際、いざ酪農をしようと思うと収益性や安定、労働環境などの不安からあきらめるケースが多い。ファッションも同様の側面があります。そうした酪農や農業、ファッション業界の課題を解決し、昨今人気のIT業界にも負けない憧れることができる、プライドを持って働ける仕事にしたいと考えます」(寺田氏)

 氏は、サマンサタバサを最盛期には世界300店舗超・売上高400億円超に拡大した手腕を持つ。「新しい常識とか新しい付加価値、価値観とかを作っていければ良い」(寺田氏)とも会見で答えているように、「ブランディング」を中心に辣腕が振るわれ、グローバルに展開すると見られる。今後に、大きな期待が寄せられている。

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