インスタグラマーとパパ活する50代男性、最近のパパ活に警鐘

インスタグラマーとパパ活する50代男性、最近のパパ活に警鐘

パパ活はポピュラーになったが…(イメージ)

 若い女性が継続的に食事や金銭的援助をしてくれる男性(パパ)を求めて活動することが「パパ活」と呼ばれることは、多くの人の知るところとなり、メディアでもたびたび取り上げられてきた。パパ活には必ずサービス提供者と報酬支払者が存在するのだが、当事者の声として紹介されるのは多くが女性側の事情や本音ばかりだ。では、パパの側はどう考えているのか。ライターの森鷹久氏が「最近のパパ活は節度がない」と嘆くパパの一人に聞いた。

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 生活に困窮したから。今より少しリッチな暮らしがしてみたいから──。

 様々な理由から、恋愛関係にない男性のお相手をして金銭を得る「パパ活」。金銭の対価として支払者が得られる商品にあたるものが、あまりに曖昧で価値があるのかどうか分かりづらいことから、何か後ろ暗い実態があるのではないかと思われてきた。ところが最近では「知り合いの知り合いがやっている」という話が聞こえてくるほど、身近になりつつある。そして、雑誌やワイドショーに「パパ活をやっている」という女性が出てきては、自らの活動内容と正当性を訴えたりもしている。主に女性から語られることが多いパパ活だが、彼女達の相手である「パパ」の方はどんな人たちなのかというと、よくわからない。

「パパ」としてお金を払っていると言い出しにくい、やはり後ろ暗い面があるのだろうか。直接「パパ」に聞いてみると──。

「とんでもない。やましい気持ちはボクにはありませんよ(笑)。ただ、女の子に迷惑がかかっちゃうから、おおっぴらにしないだけ。ボクは友達に紹介してもいいと思っているくらい」

 自ら「パパ」であることを明かしてくれたのは、都内の印刷会社経営・広田英一さん(仮名・50代)。筆者が初めて広田さんを見た時に抱いた印象は、どこにでもいるおじさん、であった。ギラギラと脂っぽいわけでもなく、どちらかといえば淡白そうなタイプ。ただし、服装にはこだわりがあるようで、若者が着るようなカジュアルなブランドのアイテムを、子供っぽくならないようさりげなく着こなすセンスがあった。こういった点が、若い女性に親近感を与えているというのか。

 妻とは40代で離婚、息子と娘はすでに成人、三代続く印刷所の一人息子という典型的な「ボンボン」で、金銭的に余裕があるから「パパ活」なんてものに関わっているようにも見えるが……。

「それもとんでもない(笑)。ご存知の通り、印刷所なんかどこも風前の灯火。車だって、昔はポルシェだったけど今は経済的なプリウス。年収だって、昔は2000万はあったけど、今はサラリーマン並み。金持ちのジジイが若い女に金あげていうこと聞かせて……っていう感じじゃないのよ」(広田さん)

 実際にパパ活として女性たちが何を男性たちに提供しているのかを聞くと、ほとんどが「一緒に食事をする」「ドライブをする」などで数万円からの金銭が発生することに驚かされる。多くの人が想像する、そこからホテルに泊まる、旅行へ行くなどといった、より密接な関係を結ぶケースは例外と言えるそうだ。1990年代に女子高校生の援助交際が話題になり始めたときも、当初は食事をしたり一緒にプリクラを撮る、といったことだけで女子高校生が2万〜3万円を得ていた。その後、援助交際は市場バランスが大きく変動し、売買春と変わらないものへと変質していったが、現在のパパ活は、変動前の援助交際に近い形がほとんどらしい。しかし、そうなると女性による接待サービスがある店へ行くのが自然の選択のように感じるが、広田さんもやはり最初はそのようにしていた。

 広田さんは妻と離婚後すぐ、当時行きつけだったキャバクラ店の女の子の「パパ」になった。女の子は雑誌の読者モデルで、当時の人気雑誌にも度々登場。会う度に3万円程度を渡し食事などを楽しんだという。

「なんというか、そういう最前線で活躍する人から刺激を受けられるのがいいよね? 相手が若いだけ、可愛いだけだと、お金なんか払うわけがない。もちろん若くて可愛いに越したことはないけど、もう一つプラスアルファがないとダメ。肉体関係は、この子はなかったけどね。ある時はあるでしょ」(広田さん)

 やはり、より密接になりたいと願いながらパパ活をしているのが本音なのだろうか。だが、それを露骨に出してはならず、その欲望を見ないふりをして関係を続ける。アイドルとファンの関係に少し似ているかもしれない。ファンは心の奥底で欲望を抱きながら、それは無いふり、みないふりをしてアイドルと向き合い、グッズやファンサービスを購入し続ける。そして、頑張る子を応援するのが楽しいと言うのだ。パパ活の女の子から刺激を受けるのがいい、という広田さんの言葉とよく似ている。

 広田さんには「パパ仲間」もいて、そうしたネットワーク伝いで、パパを探している女性の情報が寄せられるともいう。広田さんたちは今、有名インスタグラマーの「パパ」を務めている。

「雑誌がなくなって、今はインスタだね。昔は『私、雑誌モデルなんです』って売り込んでくる子はいたけど、今はインスタのフォロワーが何人います、みたいなね(笑)。パパをよろこばせるために筋トレしたり、ダイエットしたり、そういう写真や動画をアップするの。旅行に連れて行けば、そこの写真もアップする。同じインスタグラマーの●●ちゃんはパパに熱海連れて行ってもらってるから、うちはもっと遠い金沢にするか、なんて女の子と話したり」(広田さん)

 ここまで聞いて、やはり広田さんが言うことは屁理屈ではないかと感じてしまう。流行に敏感で時代の先端をいこうとしている女の子を応援するのなら、スポンサードという形をとってビジネスとしてバックアップする方法もある。ところが広田さんは、人に知られないようにする独占欲が強い形を選んでいるが、女の子には金を費やしているのだと意識させている。それは結局のところ、金銭が介在した単なる「大人のお付き合い」が目的ではないか。そう改めて広田さんに問うが……。

「そういう関係にもなったりするが、恋愛関係には決してならないし、なったら不幸でしょ。自分の娘がパパ活しようとしてたら、絶対に止めるしね。なんて言うんだろ……個人同士の思惑が合致しているのだから、犯罪してるわけでもないし、別にいいでしょって感じ」(広田さん) どうしても、きれいな話にしたいらしい。実際、大人のお付き合いに至っていないために、こういう言い訳ができると考えている節もある。だからといって完全に開き直っているのとも違う。だから、自分が世間からどう見られているか、の自覚もある。

「知らない人から見たら悪いジジイに見られちゃうよね(笑)。でも、真摯に付き合っているし、お金はしっかり渡しているし、深入りはしない。もっとも、以前はパパ活なんて言わなくて、女の子もこっそりやっていた。でも、世の中が貧乏になったのかな。パパ活って言葉が流行りだして、女の子も、パパも変なのが増えた。援助交際と変わらなくはなってきているかな」(広田さん)

 パパ活について、肯定もしなければ否定もしない広田さんも、最近の傾向には懸念を示す。女性はただ金づるとしての「パパ」を探し求め、パパは肉体を消費する目的で女性を探す。かつての「パパ活」は女性側にも男性側にも、もう少しの「節度」があったと言い、警鐘を鳴らす。

「相手の男を金だと思って向かって行ったら、男はあなたのことを肉体としてしか見てこない。これだと単なる売春だし、絶対にトラブルが起きる。お互い人間なんだし、たとえ金銭が介在する仲でも、秘密を守りあいながら尊重しあえる関係を作るのが『パパ活』なんだよね」(広田さん)

 筆者のような凡人には、わかったようなわからないような妙な理屈ではある。だがこの広田さんの行動が「パパ活」ではなく、「アイドルとファン」とか、「タニマチ」などと言われる範囲の活動だったら、ここまで違和感は抱かなかっただろう。だが、そこには「パパ活」と比べて、もっと親しい関係が現実的になるスキがないのだ。露骨に関係を迫ることには抵抗があり、といって他の応援する人たちの中に埋もれたくない。そんな複雑な思いを持ちつつ若い女性とふれあいたい、そんな男性が「パパ活」を楽しんでいるのかもしれない。

 とはいえ、広田さんが嘆くように、より直接的な関係を目指したパパ活が増えているのも現実なのだろう。社会全体が経済的に困窮するのに合わせて、パパ活が意味するところも、目的も、変化の時を迎えているようだ。

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