人と会うには必須? 新型コロナの「陰性証明」ニーズ拡大中

人と会うには必須? 新型コロナの「陰性証明」ニーズ拡大中

費用は高額だが、自費でPCR検査を受ける人が増えている(写真/時事通信社)

「高齢の母に半年以上も会えないまま。できるだけ母が元気なうちに帰省したいのですが、感染させるのが怖くてなかなか会いに行けませんでした。ですが、『陰性証明』を取ったので、久しぶりに顔を見て話すことができそうです」(50代女性)

 年末年始休みが目前だ。Go Toも続くし、帰省しても大丈夫と思う半面、第3波は怖い。そんな不安に応えるように、新型コロナの「陰性証明」を発行する医療機関が増えているという。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広さんが説明する。

「発行の手続きはごく簡単。病院やクリニックでPCR検査を受けたあと、『証明書』の発行を希望するだけです。検査から1〜2日後に出る検査結果が書かれた証明書を担当の医師から直接か、郵送で受け取れます」

 自覚症状がない限り検査費用は自己負担で、2万〜4万円が相場だ。決して手頃な料金とはいえないが、低料金で検査を受けられるサービスも増え、そのハードルは少しずつ下がっているようだ。

 海外渡航の際には多くの国が提出を義務づける陰性証明。実際、海外出張へ行くビジネスマンが発行を求めるケースは多いが、ほかにも国内で働く営業職や介護職、医療従事者、学校や塾の先生といった接客業にまで、そのニーズは広がりを見せているという。

「人に会う機会の多い仕事では、無症状でも他人にうつさないために検査をしているのでしょう。また、ビジネスマンなら顧客や取引先に対して“自分たちはちゃんと調べています”と示し、安心してもらうことにもつながる」(上さん・以下同)

 ほかの使いみちとして多いのは、冒頭の女性のような帰省のタイミングだ。

「地方へ帰省する人が受けに来るケースも増えています。なかには、“県外の老人ホームに入居中の家族に会うために、陰性証明がどうしても必要”という人もいました」

 まずは「会わない」ことが最善の予防策。感染防止のため面会を一切受け付けない老人ホームもあるという。だが、面会できないまま、家族の容体が急変したら……。

「悲しい話ですが、新型コロナがいつ終息するかわからない状態で高齢の親に会うことをためらっているうちに、亡くなってしまうということもあり得なくない。そんな後悔をしないためにも、会いに行くべきタイミングを見極め、できる限りの準備をする必要があります。

 老人ホームなどの施設は高齢者が多いので感染者が出るとリスクが大きく、施設側も次から次に面会を認めるわけにはいきません。陰性証明があれば、施設も周囲も納得させた上で面会できるのではないでしょうか」

 新型コロナで親の死に目に会えない──そんな後悔をしないために、陰性証明が効果を発揮するときが来るかもしれない。

「もちろん、『偽陰性』の可能性も捨てきれず“陰性証明があるから絶対に大丈夫”というわけではありません。日本は海外に比べて検査費用が高く、頻繁に検査を受けづらいことも課題の1つでしょう。

 ですが、検査を行い陰性が出れば、人に会う際の安心材料にはなります。何もせず動くよりも、感染を広げる可能性も下がるでしょう。陰性証明は、いまどうしても会いたい人がいる人、いま経済活動をしなくてはならない人にとって、現状『唯一の判断基準』です。陰性を証明された上で、気をつけながら活動をするのが理想の使いみちなのではないでしょうか」

 自分と大切な人を守るための1つの選択肢になりそうだ。

※女性セブン2020年12月3日号

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