中学受験 昭和女子、共立女子など女子大付属が人気上昇の訳

中学受験 昭和女子、共立女子など女子大付属が人気上昇の訳

昭和女子大学付属昭和中学校・高等学校

 近年、中学受験において顕著だった女子大付属校人気の低下。とりわけ、卒業生の多くが併設の大学へ進む中高の受験者数が伸び悩む傾向にあったが、ここにきて状況が一変しつつあるという。いったいなぜなのか、安田教育研究所代表の安田理氏がレポートする。

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 首都圏にある女子大の付属校で、卒業生の半数以上が併設大学に進む学校は、今では共立女子第二、昭和女子大学附属昭和、女子美術大学付属、日本女子大学附属の4校しかない。その他の付属高は女子大の不人気が続いて他大学に進学させないと生徒が集まらないことから、付属校というよりは進学校色が強くなっているのだ。こうした学校を「半進学校」「半付属校」などと言っている。

 ご存じの方は少ないだろうが、首都圏に女子大付属の女子校(中学のある学校)は下記のように27校もある(先の4校を含む)。

【愛国、跡見学園、大妻、大妻多摩、大妻中野、川村、共立女子、恵泉女学園、駒沢学園女子、実践女子学園、十文字、白百合学園、東京家政学院、東京家政大学附属女子、東洋英和女学院、藤村女子、和洋九段女子、鎌倉女子大学、相模女子大学、清泉女学院、フェリス女学院、和洋国府台女子、大妻嵐山】

 学習院女子、田園調布学園、日本大学豊山女子、文京学院大学女子、立教女学院は中高は女子校だが大学は共学(学習院女子には学習院女子大学もあるが)なので、ここには入れていない。そして学習院大学、日本大学、立教大学のように大学が共学の総合大学であると半数以上が併設大学に進んでいる。このように上の大学がどのような大学であるかで内部進学状況は大きく異なっている。

 だがここへきて、中学受験において冒頭に挙げた純粋な付属校ともいえる4校が応募者を増やしていることに気が付いた。何が起きているのだろうか。いろんな側面から探ってみよう。

併設女子大進学校の受験者がここ2年急増

 まずここ4年間の東京の中学入試解禁日である2月1日午前の第1回入試の応募者数の推移(2017年〜2020年)を見てみよう。分かりやすくするために、前年より増は数字の後に〇を、減は●をつけた。

・共立女子第二/108●→74●→78〇→100〇
・昭和女子大学附属昭和/125●→106●→147〇→274〇
・女子美術大学付属/175●→204〇→247〇→299〇
・日本女子大学附属/200●→174●→186〇→248〇

 ここ2年は4校とも連続して応募者を増やしている。が、2017年は4校ともが、2018年は3校が減らしていた。つまりここ2年の変化であることが分かる。いちばん底だった2018年と2020年を比較すると、共立女子第二が135%、昭和女子大学附属昭和が258%、女子美術大学付属が147%、日本女子大学附属が143%と大きく増やしているのである。

 とりわけ昭和女子大学附属昭和の伸びが著しいので、ここにスポットを当てて見てみよう。

グローバル化の先頭を走る大学

 11月9日、昭和女子大学創立100周年記念式が行われ、筆者も参加した。式典では坂東眞理子理事長・総長から昭和女子大学の現況について話があったが、実にアクティブに動いている大学であった。ここでは特筆すべきことを挙げてみよう。

〈ダブルディグリー・プログラム〉
「昭和女子大学3年間・協定校2年間」で2つの大学の学位を取得できるプログラム。中国の名門校・上海交通大学(清華大学、北京大学、浙江大学に次ぐ難関大学)と韓国の伝統校・ソウル女子大学校の2大学と協定を締結。毎年いずれも2桁の学生がこのプログラムに参加している。

〈テンプル大学の移転〉
 ペンシルベニア州立テンプル大学のジャパンキャンパスが昭和女子大学校内に移転。この大学には約60の国や地域から学生が来ているので、昭和女子大の学生は居ながらにして日常的に交流できる。テンプル大学ともダブルディグリー・プログラムが組まれており、アメリカの本校と同じ学位を日本に居て取得できる。

〈昭和ボストン〉
 30年以上も前からマサチューセッツ州ボストンにキャンパスを設置し、大勢の学生が海外体験できるようになっている。

〈ブリティッシュ・スクール・イン・トウキョウ昭和〉
 校内にはイギリスの教育課程に準拠したブリティッシュ・スクールもあり、小学生から高校生が交流している。

 要するに、今の時代の先端を行く「スーパーグローバル大学キャンパス」になっているのである。

 このほか、昭和女子大学はキャリア支援が充実していることで知られるが、2020年3月の実就職率は97%。これは9年連続で女子大のトップであり、同時に全国でも5位である。

 今の女の子及び母親が望む、英語力を身に着けたい、海外に行きたい、キャリアウーマンとして生涯働きたい……が叶う大学になっている。このことが中学受験において応募者が急増している要因のひとつと思われる。

中高も「危機から大人気校」へ

 先の応募者数の推移で見たように、昭和女子大学附属昭和の受験者数は2016年以降減り続け2018年2月の入試で過去最悪の応募者数となった。そこで、2017年4月から大学の学長であった金子朝子学長が中高の校長を兼任するという異例の態勢がとられた。いわば背水の陣を敷いたのである。もっともこれには金子先生が附属の出身であるという事情もあるという。

 中高の改革としては、2016年に昭和女子大らしい「グローバル留学コース」を設置。入試では2019年に2月1日午後に「思考力総合入試」を始めている。進路としては、昭和大学と特別協定を締結。医学部・歯学部・薬学部・保健医療学部にそれぞれ特別推薦枠を確保。女子に多い医療系に進みたいという要望にも応えられるような体制をとっている。

理系に強い校長が就任

 金子先生はこの3月に退任(現在は副理事長)。4月からは国のリケジョを育てるプロジェクトで活躍していた真下峯子校長が就任。真下先生は前任校(大妻嵐山)ではプログラミング教育にも熱心に取り組んでいた先生として知られる存在だ。

 昭和女子大学附属昭和には中3から「スーパーサイエンスコース」があったが、2021年4月からはこれを中1からスタートさせる。それにともない「スーパーサイエンスコース」用の入試も設定。本科コース・グローバル留学コースが2科・4科・3科(国語・算数・英語)からの選択なのに対し、スーパーサイエンスコースは4科のみと差別化している。

 12月には早くも2022年以降の受験生に向けた「未来の私につながる 1日理工チャレンジ」という企画を始める。「グローバル」に加えて「サイエンス」にも強い学園になりそうである。

 こう見てくると、短期間に驚くほど変化している。こうしたアクティブに動いていることが受験においても高評価を得ているのであろう。

半付属校でも併設大学への進学者が増加

 ここまで受験状況と学校の改革について見てきたが、では実際にどのくらいの在校生が併設大学を選ぶようになっているのか見てみよう。2019年と2020年とを比較してみた。

・共立女子第二/52.8%→58.7%
・昭和女子大学附属昭和/51.1%→58.2%
・女子美術大学付属/69.0%→65.3%
・日本女子大学附属/74.9%→79.5%

 併設大学進学者が半数以下の学校のケースとして共立女子第二の本校である共立女子についても見てみたところ、37.1%→42.7%であった。女子美術大学付属は例外として他は共通した傾向を示していた。つまり、2018年→2019年には低下し、2020年には上昇している。

 共立女子について上昇の要因を学校に問い合わせてみた。

「いちばん大きいのは、2020年のビジネス学部設置だと思います。これまで、経済系志望者の受け皿がなかったので(あえて言えば国際学部)、今まで目を向けていなかった生徒が注目するようになりました。また、来年度の高3生から、進学希望者がいくつかの学部で聴講生として授業を受講でき、入学した際には単位として認める制度がスタートする予定です。これによってさらに人気が高まる可能性があります」(広報部)

 とのことであった。昭和女子大のケースもそうだが、大学側のアグレッシブな姿勢、とりわけ従来なかった分野の進路開発が、在校生に進学先として選ぶことを促し、さらにはそうした改革が受験生・保護者にも伝わり、入試における応募者増につながっているのだ。

 これまで述べてきたような改革が広がれば、「半進学校」から「付属校」に戻る学校がさらに増えるかもしれない。

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