敏腕離婚弁護士が語る「養育費を最後まで払わせる方法」とは

敏腕離婚弁護士が語る「養育費を最後まで払わせる方法」とは

養育費が継続して支払われているシングルマザーは2割にとどまる(写真はイメージ、GettyImages)

 離婚というと暗いイメージがつきまとうが、自ら行動して晴れて第二の人生を切り開くのはお互いにとって良い選択だ。兵庫県西宮市のフェリーチェ法律事務所の弁護士・後藤千絵さんは、「経済的にも社会的にも弱い立場を強いられているかたがたの味方でありたい」という信念をかかげて、年間300人以上の離婚相談に乗っている人物。年間300人の離婚希望女性にアドバイスする後藤さんはいう。

「相談者の全員が離婚を決意しているわけではなく、迷っているというケースも多い。離婚の方法や必要なお金について具体的に知りたいという人もいれば、将来的な離婚を見越して相談に来る場合もある。例えば、7年後に子供が高校を卒業したら離婚したいけれど、何を準備すればいいのかといった相談もあります」(後藤さん・以下同)

 後藤さんと話をするなかで考えがまとまり、もう一度やり直そうと考え直す人もいるという。

「私たちの事務所は多くの離婚案件を扱ってきたこともあり、相談者にさまざまなケースを例として示すことができます。話を聞いて、自分の家庭はほかの家庭よりまだいい方だと考えて思い留まる人もいます。離婚に踏み切らなかったとしても、計画を立てることそのもので生きる力がわいた、スッキリしたという人もいる。

 せっかく結婚したのだから続けていった方がいい。だけど決意が固まっているならば、新しい生活のために一日でも早く離婚するのは悪いことではないのです」

同居しながらの離婚の交渉はできない

 後藤さんは心を決めた依頼者に、後悔なくスムーズに離婚手続きを進めてもらうために3つのポイントに注目してアドバイスしている。1つ目は、離婚を決めたとき、相手にも離婚の意思があるかどうかということ。これを真っ先に確認するという。

「合意の有無は最初にもめる大きなポイントです。これがなければ離婚条件について話し合いができないため、調停や裁判が必要になり、手続きや準備が数段やっかいになる。相手に離婚の意思がない状態でこちらが無理に離婚を進めようとすれば多額の解決金を要求されたり、財産分与が進まないなど、金銭的にも泥沼化する可能性があります」

 2つ目として、後藤さんは「離婚を決めたら、家を出る準備を進めた方がいい」と続ける。

「顔を合わせて生活しながら、お金のことや親権について交渉していくのは難しい。実家に身を寄せるか一時的に賃貸物件を探すかして、家を出ることをすすめます。子供がいる場合は、学年末などの区切りも考えましょう。ただし、DVや深刻なモラハラの被害に遭っているなら、それを待たずに早急に家を出るべきです」

 同時に、新生活を始めるにあたり、金銭的にどのくらいかかるのかも把握しておく。

「離婚後はただでさえ入り用になるうえ、生活が不安定になりやすい。経済面を考えれば実家に帰るのがいちばんです。もしそれが難しい場合はどのくらいの家賃でどこに住むのか、生活設計をしっかりして、支出を具体的に試算しておくことが重要です。それまで働いていなかった場合は、収入をどのように得るのかも考える必要があります。離婚後の新生活を始めるには、引っ越し費用や家電の購入などで100万円ほどかかります」

 もし、いまの貯金がそれに満たないようであれば、離婚に踏み切るのは危険ということ。コツコツ貯めながら“そのとき”をうかがいたい。

養育費を最後まで払わせる方法

 両親の離婚によって最も影響を受けるのは子供だ。3つ目のアドバイスとして、未成年の子供がいる場合、「親権・養育費・面会交流の3本柱を必ず確認してほしい」と後藤さんは言う。

「離婚の前に、親権者をどちらにするのかを決めなければならない。ここでももめるケースが多いですが、一度決めた親権は簡単に変えることができません。ですから、決して安易に妥協しないこと。裁判所は親権の決定にあたって、子供の環境が変わらないことを最も重視します。どうしても親権が欲しい場合は、離婚するまで決して子供と離れて暮らさないようにしなければなりません」

 養育費に関しては、支払期間が長期にわたることが多い。夫婦でよく話し合って、無理のない条件を決めるようにしたい。

「お互いの収入が大きく変わったらどうするか、支払いが滞ったらどうするかなど、将来を見据えて事前に考えておくべきです。それでも養育費の不払いは後を絶ちませんが、相手に気持ちよく払ってもらえる工夫は、できる限りした方がいい。例えば、面会交流を定期的に行うことができている親は、不払いは少ないと感じます。それに加えてこまめに子供の写真を送って成長状況を伝えたり、振込先を子供名義の口座にしたりするのが効果的です」

 面会交流は、子供にとっても、“離れている親にも愛されている”という自信や安心を得る機会になるという。子供のためにも、モラハラやDV傾向がある場合を除いて元夫と連絡を絶つのは避けた方がいいようだ。

 とはいえ、厚生労働省の調査によれば養育費を定期的に受け取れているシングルマザー家庭はたった2割。いざというときのために、元夫の自宅の住所や勤務先を控えておくといった対策も忘れずに。

「養育費を払わない元夫が、黙って転職して連絡が途絶えてしまったと、元妻の女性から相談されたことがあります。彼女は思いつく限りの知人に連絡を取り、転職先を突き止めて強制措置を執ることができました。一度給料が差し押さえられると、毎月の給与から養育費の天引きが可能となります」

 2020年4月に民事執行法が改正されたことによって、公正証書や調停調書、判決書があれば、裁判所を通して勤務先を照会することが可能になった。こちらも万が一に備えて準備しておくのが賢明だろう。

※女性セブン2020年12月10日号

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