冬の暖房にコロナリスク 厚労省推奨の換気方法に落とし穴も

冬の暖房にコロナリスク 厚労省推奨の換気方法に落とし穴も

冬の暖房のコロナリスク指摘

冬の暖房にコロナリスク 厚労省推奨の換気方法に落とし穴も

「暖房を使うとき」にも新型コロナウイルス対策を

 11月以降、各地で連日のように新型コロナウイルスの新規感染者数が過去最多を更新し、対策の見直しが迫られている。

 10月からの「Go To キャンペーン」本格化で人の往来が増えただけでなく、秋以降の気温と湿度の低下も感染拡大の要因と考えられている。第3波が広がる北海道は本州以南を先取りした状況といえる。渡航医学が専門の勝田吉彰・関西福祉大学教授はこう指摘する。

「空気が乾燥する場は、喉の粘膜の働きが弱まりウイルスが体内に侵入しやすくなります。空気中の湿度が低いと、ウイルスにとって生存に適した環境となり、空中を長時間浮遊しやすくなる。

 冬は寒さで窓を閉め切るなど“密”になりやすい環境も加わるため、新型コロナをはじめとする様々なウイルスに感染しやすいのです」

 欧米でも気温が下がり始めた10月末〜11月に4月の「第1波」、7月の「第2波」を上回るペースで感染者数が急増し、各国で外出制限などの措置が取られた。

 南半球のオーストラリアでは今年7〜8月に冬を迎え、第2波が襲来していた。スキー場は閉鎖され、州境も封鎖。寒い南部ほど感染状況は悪化した。

 これから冬本番を迎える日本では、何を、どう対策すればいいのか。そのカギは、「暖房の使い方」にある。

厚労省のやり方は「寒すぎる」

 新型コロナの感染は、エアコンによって生じる可能性もある。直径5マイクロメートル以下の小さな飛沫核(エアロゾル)は、エアコンによって室内に拡散することが判明しているのだ。

 しかも、冬の「暖房」は「冷房」よりリスクが高くなる。飛沫核の拡散などを解析する民間企業・環境シミュレーション代表取締役の阪田升氏が解説する。

「小さく軽い飛沫核は、屋内の天井付近に滞留する傾向があります。冷気は下方に流れて留まる性質があるので、夏場の冷房は風向きを『下』に設定すれば天井付近の飛沫核に影響は出ませんが、暖房は違う。暖気は上昇していく性質があり、風向きを下にしても飛沫核にぶつかり、室内に拡散させてしまうのです」

 暖房は室内の湿度を低下させるため空気が乾燥し、ウイルスの活性化を招くという悪循環も生じる。

 そこで「換気」が重要になるが、実は多くの家庭用エアコンは室内の空気を循環させているだけで換気機能は備わっていない。

 厚生労働省は6月に発表した資料で、理想的な換気の方法について「30分に1回以上、数分間窓を全開」「複数の窓があれば2方向を開ける」などを推奨しているが、これは室温の急激な低下を招く危険がある。

 前出の阪田氏は北海道のような寒冷地での換気を想定してシミュレーションを行なったという。

「エアコンが2台設置されたオフィスで、窓は2つ。室温は20℃、外気温は0℃の設定です。そこで2つの窓を『全開』にした場合、3分後には空気の42.7%が入れ換わったものの、室温は10℃以下まで下がってしまいました。

 一方、片方の窓だけを5センチほど開けた場合は、5分後に空気の12.5%が入れ換わり、室温は15℃以上を維持しました。無理なく換気するためには『エアコンの暖房を使用したまま窓を常に5センチだけでも開けておく』ことで、換気と暖房の両立がある程度まで可能になります」

※週刊ポスト2020年12月11日号

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