社員6割が副業する企業が成長を続ける理由

社員6割が副業する企業が成長を続ける理由

エンファクトリーCBOの清水正樹さん

 社会の先行きが不透明であること、いつ職を失う事態になるかもわからないことなどから、安全策として副業を考える人が増えている。しかし、そもそも海外では複数の仕事を持つことは当たり前のことで、副業を許可しない企業は逆に珍しいのに、日本はいまだ立ち遅れていて、このコロナ禍においてさえ、多くの企業が副業の可否が論じられるレベルに留まっている。日本企業が副業許可に二の足を踏むのはなぜなのか。また副業がもたらす本当のメリットは何なのか、創業時から社員に副業を勧めているという(株)エンファクトリーCBO、清水正樹さんに話を聞いた。

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 エンファクトリーは、オンラインストアやDX支援のほかインターネットを利用して「もの」「ひと」「こと」をつなぐ多種多様なサービスを提供する会社です。

 会社の人事ポリシーは「専業禁止?」で、社員の副業を強く推奨しています。「禁止?」といっても、皆が副業しなくてはいけないわけではなく、希望する社員は起業してもいいし、複数の仕事を持っても一切かまいません。どんな業種でもOKです。会社としては社員の副業を全面支援する、という姿勢です。

 こう話すと多くの方から「そんな状態で、本業の仕事がおろそかになったり、離職が進んだりするのでは?」という質問を受けます。しかし、現状約6割の社員が何らかの副業をしている状態で、創業以来9期連続で平均15%の増収を重ねていますし、離職もほとんどありません。

 私自身、2013年から複数の仕事を掛け持つ「複業」を始めました。私の場合は新たなサービスを考えて事業を作り上げていくのが好きで、現状続けている「ハリネズミと触れ合えるカフェ」「ECサイト向けメッセージカード事業」などの仕事のほかにも多くのチャレンジをしてきました。その中には失敗して途中で撤退したものもありますが、今後もさらに多くのサービスを創造していくつもりです。

 そこで今度多くの方から受けるのは、「そんなに自分で仕事を作っているのに、なぜ本業の会社にい続ける必要があるの?」という質問です。

 その答えは、「会社にいるからこそ得られるものがあるから」。当然ですが、ビジネスにはある程度の規模を持つ会社にしかできない事業があります。そうした事業に参加できるのは、その会社に所属しているからにほかなりません。私の周りにも、本業の給料より副業の収入のほうが多くなっているにも関わらず本業を辞めない人が少なくありません。やはり、「本業あってこそ今の自分がある」という認識があるからではないでしょうか。

 そして、本業で得たものは副業に活かすことができ、また、副業で得たものを本業に活かすこともできる。本業と副業にはシナジーが成り立つのです。

お手伝いレベルから始めるのでかまわない

 私の近刊『専業禁止? 副業したら本業成果が上がる仕組み』(小学館)に詳しく書いていますが、副業で個人が得られるものは「収入」だけではありません。自分のスキルを会社の外であらためて実感することによる自己肯定感の向上、自律的な人生、多彩なコミュニテイとの絆、知識や経験を本業に還元することでの本業での成果向上、など多くのプラス要素があります。また、企業側には、社員研修を遥かに上回るスキルアップ体験を提供することになる、モチベーションの高い人材を採用できる、競合他社との差別化などのメリットがあります。

 よいことだらけの副業ですが、個人にとっては、まず最初に副業を始める第一歩のハードルが高いと感じるかたが多いのではないでしょうか。

 そこをクリアするためのヒントも著書にまとめましたが、その中でも重要なのは、「まず誰かのお手伝いレベルから始めるのでかまわない」「自分のスキルの棚卸しをしてみる」ということです。

 コロナ不況が深刻に見えますが、実は人手が足りない業種はたくさんあります。まさに猫の手も借りたいという状況の職種は多いのです。そして、自分など大したことはできないと勝手に思い込んでいても、実は小さな「できること」が大きく役立つ職種もあるのです。自分にできることをどんなに小さなことでも整理してみると、プロマッチングサイトなどで、気負うことなく始められる仕事を見つけることができるでしょう。

 経済的な自由と精神的な自由を手に入れ、自分の力で自分の人生の舵をとる生き方。それは副業から始まると言っていいと思います。

【プロフィール】
清水正樹(しみず・まさき)/1986年千葉県出身。株式会社エンファクトリーの取締役 執行役員 CBO。同時にハリネズミと触れ合える「ちくちくCAFE」オーナー、合同会社flasco/共同代表などのほか、フリーランスとしてさまざまな企業のWEBマーケティングや新規事業コンサルティングに携わるなど、複業活動にも取り組む。

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