コロナ禍のマンション売却 安く買い叩かれないための注意点

コロナ禍のマンション売却 安く買い叩かれないための注意点

マンションは買うより売るほうが難しい

 コロナ禍による生活不安や不動産市場の先行き不透明感から、マンションを売却しようと考えている人は多いだろう。その際、ほとんどの場合は不動産仲介業者を探すところから始めるのだが、そこには大きな“落とし穴”も待ち構えている。住宅ジャーナリストの榊淳司氏が、失敗しないマンションの売り時と仲介業者の選び方をアドバイスする。

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 中古マンション市場が、部分的に活況を呈している。2020年はコロナ禍によって中古マンションの価格が下落するかと思われたが、そうでもない。都心や湾岸エリアなどでは在庫が急速に減少し、価格はむしろ小幅な上昇さえ見られる。

 売れている要因は「自宅にもう一部屋」、あるいは「共用施設でお仕事」を求めるためにマンションを買うテレワーク需要と、「2019年の年収で審査されるうちに住宅ローンを借りたい」という駆け込み需要である。前者はまだ少し続くが、後者は2020年中しかあり得ない。

 かといって、2021年になれば中古マンションの価格が暴落するのかというと、そちらも可能性は薄い。理由は、中古マンション市場というのは「C to C」で成り立っているからだ。個人が売り出した物件を、個人が買うのが中古マンション市場。この市場は全体の動きが見えにくく、短期間で急激に価格が上下することも少ない。

マンション売却を迷っているなら「とっとと売れ」

 しかし、今の中古マンションの勢いは間もなく止まるだろう。2021年の前半まで小康状態が続き、後半はなだらかな下り坂になる可能性が高い。つまり2013年以来続いてきた上昇相場の最後の売り時が、2021年の前半ではないかと私は見ている。

 2021年に「急落」ということがないわけでもない。例えば、コロナ禍が続いて誰もが知る大企業が倒産したり、首都圏も巻き込んだ自然災害が発生したりするなど、多くの人が先行きを悲観するような出来事が起こると、急落もあり得る。中古マンションでもわずか1年で相場観が2割程度変わることがあるのだ。

 だから、売却は急ぐに越したことはない。売ろうかどうかを迷っている人には、声を大にして言いたい。「とっとと売りましょう」。

不動産仲介業者の悪質な「囲い込み」に要注意!

 問題は、その売り方である。マンションなどの不動産を売却する場合、最も注意すべきは業者の「囲い込み」だ。「囲い込み」とは、買い手を広く市場から募らず、自分の客の中から見つけ出そうとする違法行為である。違法だが堂々と行われている。不動産仲介業界の“悪弊”といってもいい。

 なぜそのような行為が行われるかというと、売り側と買い側の両方から手数料を得たいからである。そうすれば業者の利益は単純に2倍になる。

「囲い込み」で損をするのは、ひとえに売り手である。なぜなら、広く市場から買い手を募れば、より高く、より早く売れる可能性があるのに、囲い込まれると狭い範囲でしか買い手を探せなくなる。価格も安くたたかれる可能性が高くなる。

 ひどい話になると、買い手が見つかってもわざと売らずに売り手を焦らせ、売り出し価格の2〜3割引きで知り合いの買取再販業者に買わせるように誘導する──ということまで行われる。こういったことを大手の業者でも平気でやっているのが不動産仲介の世界なのだ。闇は深い。

人気の駅近なら「一般媒介」を選ぶべし!

 では、囲い込まれないための方法を説明しよう。

 山手線の内側や、外側ならせいぜい5駅くらいまでに立地して駅徒歩10分以内の物件なら、仲介業者に依頼するときに「一般媒介」という形式を選ぶ。これだと同時に数社の業者に依頼できる。彼らが競い合って売るため、理論的に囲い込みは不可能だ。

 郊外でも、人気の駅の徒歩10分以内ならこの方法が使える。例えば、吉祥寺、新百合ヶ丘、日吉、浦和、宮崎台などだ。あるいは特に人気が高い駅ではなくても、山手線から15分くらいまでで駅徒歩5分以内の物件なら、このやり方が可能なケースが多い。

 そうでない場所に立地する物件なら、地元に強い非大手の元気そうな業者に依頼するのがいいだろう。彼らは地元に密着しているので信用を大事にする。あざといことをすると地域マーケットの信用をなくすので、売り手側に立って買い手を探していくれる可能性が高くなる。

 ただし、地元の業者だからと言って100パーセント信頼できるということはない。そこはあくまでも抜け目のない不動産屋さんたちだと考えるほうがいい。

売却価格は「買い手の予算観」に合わせるのが重要

 売り手としては、なるべく探している人が買いたくなる条件を整えよう。特にファミリー向けの物件では、女性の視点を意識することが必要だ。そこでいちばん大切なのは、物件のキレイさである。丁寧に清掃を行うのは最低限。自分できなければ業者さんに依頼したい。

 中でも水回りは特に重要である。場合によっては取り替えるのもありだ。例えば、100万円かけてユニットバスを取り換えると、200万円高く売れるといったケースがある。そこは仲介する不動産屋さんに相談すべきだろう。

 早く売るためには、買い手が「買ってもいい」という予算感に合わせることが重要だ。つまり無理目の高値で頑張り続けると、タイミングを逃しやすい。

 専任媒介契約という形式で仲介を依頼した不動産会社は、2週間に1回の割合で状況を報告してくれる。案内の有無や問い合わせの回数などだ。その状況を見て、価格は柔軟に変化させるべきだ。

 問い合わせがほとんどなければ、価格を下げるべきだろう。毎週のように案内があるのに売れない場合は、価格ではなく物件の中身の何かが問題なのだ。対応策を考えたほうがいい。例えば、水回りに問題がありそうならリフォームの見積もりを用意するといった工夫である。こういうことは親切な不動産業者なら提案してくれるはずだ。

 マンションは買うよりも売る方が難しい。これはどんな物件にも言えることだ。2021年の早めに売るためには、今からしっかりと準備をすべきだ。この機会を逃すと、大きな後悔が待っているかもしれない。

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