「ガースーです」蔑称を嬉々として使う菅首相らネットに迎合して失敗する政治家たち

「ガースーです」蔑称を嬉々として使う菅首相らネットに迎合して失敗する政治家たち

菅政権は支持率急落している(写真/時事通信社)

 11日、「ニコニコ生放送」に出演した菅義偉首相は「皆さん、こんにちは。ガースーです」とネット上(特に5ちゃんねる)での自身の呼称を使い挨拶。コロナ関連を含め、真面目なテーマを扱うだけに「ふざけている」や「すべった」といった反応が多かった。ネット上で「ガースー」は揶揄するときや蔑称として使われており、それを嬉々として使うとは…。政治家がネットの空気感におもねるとロクなことはない、と述べるのはネットニュース編集者の中川淳一郎氏。同氏が過去の「ネットウケ狙いをして失敗した政治家」について振り返る。

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 もしかしたら秘書を含めた参謀の誰かが「総理! 総理はネットでは『ガースー』の愛称で呼ばれているんですよ! 今日はネット番組ですから、『皆さん、こんにちは。ガースーです』と挨拶すればウケますよ!」なんて進言したのかもしれません。

 しかし、私は「普段ネットにそれほど慣れないていないのなら、無理してネットにおもねる必要はない。むしろ『用法が違う』などと突っ込まれて痛々しくなる」と感じています。5ちゃんねるの場合、独特の作法があり、素人がその作法を上辺だけなぞって安易に用語を使うとやけどする。

「ガースー」については、基本的には「愛称」というよりは「茶化し」であり「蔑称」として使われてきました。菅氏については他にも「スダレ」という呼び方があります。いわゆる「スダレハゲ」ってやつですね。さすがに「皆さん、こんにちは。スダレです」は言わなかったかと思いますが、むしろ「ガースー」よりはよりヒドい呼称である「スダレ」で挨拶した方がその後の評価は高まったかもしれません。

 知名度の高い政治家はそれなりにあだ名がつくものですが、あまりに失礼だったり卑猥なものを除き、5ちゃんねるを中心に使われたことがあるあだ名を見てみましょう。古いものも混じっています。

 二階俊博氏:2F、二F
 麻生太郎氏:ローゼン閣下、ローゼン麻生
 石破茂氏:アンパンマン、焦げパンマン
 小泉進次郎氏:ポエム大臣、セクシー進次郎
 山尾志桜里氏:ガソリーヌ
 森喜朗氏:森元
 小西博之氏:国会のクイズ王
 小渕優子氏:ドリル優子、トリンドリル優子
 志位和夫氏:C
 鳩山由紀夫氏:ルーピー、ポッポ、ぽっぽ
 福島瑞穂氏:みずぽたん
 河野太郎氏:ブロック太郎
 福田康夫氏:フフン、あなたとは違うんです

 この中で志位氏はツイッターで「志位」でも「C」でも構わないと述べたところ、多数の人が「C」とコメント欄で書くように。これは比較的好意的な捉えられ方をされ、翌日、同氏は「昨日のツイッターで『志位』でも『C』でも結構ですと書いたら、『C』の書き込みがずいぶん増えました。『Cさん』といわれるのも、うれCものです。ニックネームですからね」とツイート。

 これも好意的なコメントが多かったものの、「C」には「China」や「Coomunist」の意味がある、と指摘する意見も出ました。元々揶揄する意味合いで使っていた言葉を本人が喜々として使うと、アンチの側が戸惑うという現象も発生します。

 上記のような呼び名を本人が挨拶で使うというのは、ウケる可能性はあるものの、壮絶に滑ることもあるので注意が必要です。あと、ネット上の声を「世論」だと勘違いしてしまうと痛い目に遭うことも。

 私がよく覚えているのが、安倍晋三氏が2回目の首相の座に返り咲いた直後の2012年12月、どうやら参謀から「韓国及び親韓派の日本人を叩くとネットで支持される」と吹き込まれたきらいがある。秘書がフェイスブックにこう書きました。

〈本日19:30〜よりNHKスペシャル「どうする日本 新政権に問う」が放送されます。我が自民党からは石破茂幹事長が出演予定ですが、他の出演者がスゴイ!「帰国した5名の拉致被害者は直ちに北朝鮮へ帰すべきだ!」という発言で有名な藤原帰一教授。常に安倍晋三を批判し続けもはや精神科医よりも安倍批難が本職になりつつある香山リカさん。反安倍のクリンナップです。〉

 これには即座に藤原氏本人から「そのような発言をしたことも、書いたこともありません」とツイッターで否定され、上記文言は削除されました。

 相変わらず政治家は「ネットの文化にすり寄れば若者にウケるはず」的な思考を持っていることが今回のガースー騒動では露見しましたが、一つお伝えしたいのは、5ちゃんねるに積極的に書きこんでいる人、多分中高年が相当多いはずですよ。

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