「コロナ8割おじさん」こと西浦教授が満喫した「大好きなスガとの対面」

「コロナ8割おじさん」こと西浦教授が満喫した「大好きなスガとの対面」

接触を8割減らすという提言は感染防止には大いに役立った(時事)

 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって、2020年はこれまで注目されることが少なかった感染症の専門家にスポットライトが当たる1年となった。なかでも強い印象を残したのが、厚生労働省のクラスター対策班でデータ分析にあたり、「8割おじさん」と呼ばれた西浦博・京都大学大学院医学研究科教授だ。

 感染症の数理モデルの専門家として、流行の拡大を止めるために人の接触の「8割減」が必要だと提言。4月には、人と人との接触を減らすなどの対策を全く取らない場合、国内で約85万人が重篤になり、そのうち約半分の42万人が死亡する恐れがあるという衝撃的な試算を公表して注目された。

「当時の菅義偉・官房長官(現首相)は試算公表の翌日の会見で、『厚労省の公式見解ではない』と言い放ち、西浦氏は批判の矢面に立たされた。第3波が到来したいまでも国内の死者は約2700人(12月15日時点)だから、“試算は大げさすぎだった”とする批判です。ただ、数字はあくまで何も対策しなかった場合の最悪の被害想定ですし、西浦氏は著書などで、試算は厚労省での内部調整を経てメディアに説明したものだと明かしている。本来は政治や行政が担うべき注意喚起の責任を背負わされた格好だった」(厚労省関係者)

 西浦氏は自著で、〈人に恐れを抱かせて国を扇動したと批判されるなら、どうすればよかったのだろうと思います。本当に自分が言うべきだったのかというのもあるし、なにが足りなかったのだろうかと。〉〈脅迫状が届き、生まれて初めて殺害予告を受けました。〉といった苦悩や葛藤を明かしている(『理論疫学者・西浦博の挑戦 新型コロナからいのちを守れ!』より。中央公論新社、作家・川端裕人氏との共著)。

「西浦氏は、メディアを通じたコミュニケーションでどうすれば情報が正確に伝えられるのかをずいぶんと悩んだといいます。それだけに、一時期と比べてメディアへの露出は慎重に判断していると聞く。ただ、その西浦氏が“スガさんの番組”については快く出演依頼を引き受けたようだ」(同前)

 西浦氏が出演した番組の“スガさん”とは、被害想定の試算を「公式見解ではない」と切って捨てた菅首相ではなく、シンガーソングライターのスガシカオのこと。スガがナビゲーターを務めるJ-WAVEの『Mercedes-Benz THE EXPERIENCE』にゲストとして出演したのだ。

 同番組は、ミュージシャンやお笑い芸人、タレントや俳優をゲストに迎えることが多く、感染症の専門家である大学教授が出演するのは異例のことだった。西浦氏は、11月22日のオンエア回に登場。スガが「何でこんな番組に来ていただけたんですか」と笑いながら問いかけると西浦氏は、「大学生の頃からスガマニア(注・スガシカオのファンの意)をずっと自称しているんです。1998年ぐらいから、ずっと歌詞をフォローしていまして……」と長年にわたる“スガ愛”を明かし、番組内で流す曲にはスガシカオの『Hop Step Dive』をリクエスト。

 同曲の魅力についても西浦氏は、「スガマニアとしてはですね、この詞がすごいんです。ひとつひとつの曲にハマるんですけど、すごく仲がいい男同士の友達と飲みに行って本音で話をしているような感じです」と熱弁。番組中では他にも、国際協力に貢献したいという思いから感染症対策の専門家を志したという自身の来歴や海外への留学経験などについて語るとともに、「昔、好きだった女の子がドリカム(DREAMS COME TRUE)のCDを貸してくれた」「とんねるずよりダウンタウン派」といったエピソードも披露。スガとの対面を心から楽しんでいたことが窺えた。

 西浦氏に改めて番組出演に至った思いを聞くべく取材を申し込むと、「申し訳ありませんが、当方は流行データ分析の本分で大変忙しくしており、また、一般的内容に関する露出を意図的に避けさせていただいております」と返信があった。

 菅政権の甘すぎる感染対策で第3波が急拡大してしまった今こそ、スガマニアの箴言が政権にも響くのではないか。

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