ヤクザ、年末の恒例行事「餅つき」 大々的に開催し権勢を誇示

暴力団のお正月を解説 六代目山口組は2019年まで「餅つき」大々的に開催し権勢を誇示

記事まとめ

  • 暴力団取材に精通する鈴木智彦氏と溝口敦氏が、「ヤクザの正月」を徹底解説
  • 神戸山口組から分裂した絆會、山健組はすでに「事始め」を済ませたという
  • 六代目山口組は、2019年まで年末の恒例行事として餅つきを大々的に開催していた

ヤクザ、年末の恒例行事「餅つき」 大々的に開催し権勢を誇示

ヤクザ、年末の恒例行事「餅つき」 大々的に開催し権勢を誇示

年末年始におけるヤクザの恒例行事とは…(イメージ)

 正月を祝うのは一般の人々だけでなくヤクザも同じだが、過ごし方には独自の様式がある。暴力団取材に精通するジャーナリスト、鈴木智彦氏(フリーライター)と溝口敦氏(ノンフィクション作家)が徹底解説する。

鈴木:山口組分裂抗争が新型コロナの影響もあって膠着状態にあるなか、神戸山口組から分裂した絆會(旧任侠山口組)、山健組はすでに「事始め」を済ませ、六代目山口組もやる予定だそうです。

溝口:事始めは12月13日にやることが多いヤクザの恒例行事で、「なんで年末なのに事始めなんだ」とも言われるんだけど、もともと正月の準備を始める行事としてあるもので、京都の祇園など芸事の世界には今でも残っています。

鈴木:正月はかき入れ時で多忙になるから、一足先に正月を迎えておこうってことですよね。ヤクザの場合は、「親分、今年はお世話になりました。来年も宜しくお願いします」と組長に挨拶する。

溝口:そしてお礼金も包むと。組織にとっては金集めの場でもある。

鈴木:本来は餅だったんですよね。餅が餅代になって、お金を包むようになった。たとえコロナ禍でも事始めをやらないと組織の勢いが衰えていると思われてしまうから、面子のためにも集まるわけです。

溝口:昔はスポンサー筋の経営者なんかも来ていたみたいですが。

鈴木:地域の顔役や政治家なんかも来ていました。

溝口:あと、六代目山口組は年末の恒例行事として餅つきをやっています。

鈴木:2019年までは、やっていました。

溝口:他団体の組長を呼んで、メディアのカメラやご近所さんも本部の中に入れて、大々的にやることで権勢を誇示する。司忍組長がイタリアンマフィアのようなファッションで出てきて、一部他団体から顰蹙を買っていました。

鈴木:メディアへの牽制にもなりますよね。名刺を出さなきゃいけないし、お金も渡される。もらったら首に鈴つけられるのと一緒だから、私は行ったことはないですが。

溝口:私もない。が、そういうふうにコントロールする手段に使われているのは間違いない。

鈴木:ただ、今は特定抗争指定を受けて、警戒区域内では5人以上集まれないから開催が難しい。新型コロナでも5人以上の会食がダメと言われていて、奇遇にも人数限度が同じなんです。

【プロフィール】
溝口敦(みぞぐち・あつし)/ノンフィクション作家。1942年、東京生まれ。早稲田大学政経学部卒業。『食肉の帝王』で2004年に講談社ノンフィクション賞を受賞。主な著書に『暴力団』『山口組三国志 織田絆誠という男』など。

鈴木智彦(すずき・ともひこ)/フリーライター。1966年、北海道生まれ。日本大学芸術学部写真学科除籍。ヤクザ専門誌『実話時代』編集部に入社。『実話時代BULL』編集長を務めた後、フリーに。主な著書に『サカナとヤクザ』『ヤクザときどきピアノ』など。

※週刊ポスト2021年1月1・8日号

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