2021年総選挙予測 自民公明の大物苦戦で「自公協力」に亀裂も

2021年総選挙予測 自民公明の大物苦戦で「自公協力」に亀裂も

自民は惨敗もありうる(時事通信フォト)

 政治への失望がこの国を覆っている。国民は菅義偉・首相のコロナ感染対応に期待を裏切られ、新年を迎えても不安をかき立てられるばかりだ。そんな中、日本は総選挙の年を迎えた。衆議院は10月に任期満了を迎え、それまでに総選挙が行われる。4年ぶりに有権者の1票で政治を変えるチャンスが巡ってくるのだ。

 本誌・週刊ポストは選挙情勢分析に定評のある政治ジャーナリスト・野上忠興氏の協力を得て、小選挙区、比例代表を合わせた全選挙区の情勢を独自に分析し、当落予測を行なった。すると結果は、自民党は40議席減らして過半数ギリギリの242議席、公明党は1議席減、野党は立憲民主党が20議席以上増やして137議席、共産党も5議席増、日本維新の会は21議席に倍増となった。

 ここでは、各選挙区のポイントを見ていこう。

「1区現象」が再び発生

 与党が大敗する時には、各都道府県の1区で自民がドミノ的に野党に議席を奪われる現象が起きる。都市部の無党派層が自民批判に動くからだ。今回もその兆しがある。

「前回自民党は35府県の1区で勝利したが、このうち20選挙区で接戦になっており、すでに8選挙区では野党が逆転の情勢です」(野上氏)

スキャンダル議員は“討ち死に”

 続発する政界不祥事に対する有権者の視線は一段と厳しい。

 自民党系ではカジノ汚職の秋元司氏(東京15区)、選挙区内でカニやメロンを配っていた菅原一秀・元経産相(東京9区)は大苦戦。北海道2区では鶏卵汚職の事情聴取前に議員辞職した吉川貴盛・元農水相の後任を決める補欠選挙が4月に行なわれるが、自民党の議席維持は絶望的。総選挙でも連敗の可能性が高い。

公明党大物苦戦で自公協力に亀裂

 広島では河井克行・案里夫妻の選挙買収事件の影響が深刻だ。河井氏の3区には公明党から斉藤鉄夫・副代表が出馬し、初の小選挙区議席を狙う。だが、自民党県連は県議を擁立する構えで自公対決の可能性もある。たとえ自公が斉藤氏に候補を一本化しても情勢は厳しい。

「自民の広島県連は斉藤支援に動かないでしょう。公明党は比例との重複立候補を認めていないため、事実上、党ナンバー2の副代表落選の危機です。そうなれば公明党は各地の自公協力の手を抜き、全小選挙区で自民候補が票を減らす状況になりかねない」(野上氏)

自民党大物落選続出か

 自民大物の落選続出も予想される。現職閣僚で当落線上にあるのは平井卓也・デジタル改革相、萩生田光一・文科相、上川陽子・法相、派閥領袖では石原伸晃・元幹事長なども、野党が候補の一本化を行なえば途端に苦戦に陥りそうだ。長老組では82歳の伊吹文明・元衆院議長、80歳の竹本直一・元IT担当相も“老害批判”にさらされ安泰ではない。

“下剋上”現象

 自民大物同士の“共食い”選挙区として注目されるのが山口3区。二階派会長代行の河村建夫・元官房長官の地元に、岸田派のニューリーダー林芳正・元文科相が参院から鞍替え出馬する構えだ。

「総理・総裁を目指し衆院に鞍替えしたい林氏は後戻りできない。どちらも政治家生命をかけた戦いになるが、情勢は、山口県9人目の首相候補として地元の期待が高い林氏が優勢です」(野上氏)

 他にも静岡5区(吉川赳氏VS細野豪志氏)、新潟2区(細田健一氏VS鷲尾英一郎氏)で野党から自民に鞍替えした議員が自民現職と戦う分裂選挙となりそうだが、立憲民主の新人が“漁夫の利”を得る可能性もある。

選挙情勢分析/野上忠興(政治ジャーナリスト)

※週刊ポスト2021年1月15・22日号

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