コロナ禍にこそ重要な「国民を元気にしたい」という本田宗一郎の考え

コロナ禍にこそ重要な「国民を元気にしたい」という本田宗一郎の考え

本田宗一郎氏なら、コロナ禍でどんな取り組みをするか?(写真/Getty Images)

 新型コロナウイルスの感染拡大により、停滞感や閉塞感が漂っている日本社会。もしも、昭和を代表する名経営者の本田宗一郎氏が生きていたら、このコロナ禍をどう乗り切っただろうか……。雑誌『経済界』編集局長の関慎夫氏が、本田氏の功績を振り返り、この状況を打ち破るための方法を提言する。

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 新型コロナの感染防止策として、自転車が売れています。満員電車に乗らず、他人と距離を取って移動できるからで、それはバイクも同じこと。

 もし本田宗一郎が現場にいたら、ホンダの原点でもあるバイクをより進化させ、コロナ禍の“密”を避けるニューノーマルとして、「自動運転バイク」の開発に取り組むのではないでしょうか。

 バイクはもともと左手でクラッチを操作してギアを替える乗り物でしたが、ホンダのスーパーカブがクラッチ操作を不要にした。自動運転というと四輪車ばかりが想定されていますが、本田宗一郎なら、誰も手がけていないバイクの開発に乗り出すでしょう。

 さらに本田宗一郎は、飛行機開発の夢も持っていました。その夢の実現のため、ホンダは小型ビジネスジェットに取り組み、「ホンダジェット」を開発しました。それを念頭に置くと、「空飛ぶ自動車」の開発も本格化させるのではないかと思います。

 コロナ時代の“密”を避ける移動手段として、短距離ならバイクでいい。しかし、長距離の移動となると、新幹線や飛行機に感染リスクがないとはいえません。だからこそ空飛ぶ自動車を開発して、長距離移動の新たな手段を提供しようというのです。

 一見、突拍子もない開発で、実現するには技術的に難しいことも多いが、本田宗一郎の根底には「国民を元気にしたい」という考えがあったと思います。コロナにあえぐ今なら、よりその想いは強くなり、精力的に活動したでしょう。

 他にもホンダができることとして、F1への参加があります。ホンダは2020年10月、F1からの撤退を発表しましたが、本田宗一郎は改めて参加を表明し、レースで勝利して日本国民を元気づける。

 ホンダは1959年、世界で最も伝統あるオートバイレース「マン島TT」に初参戦し、大健闘。メーカーチーム賞も受賞しました。この挑戦が、ホンダを「世界のホンダ」と知らしめることになった。

 F1も日本でブームになり、ホンダの順位に日本中が一喜一憂しました。

 ホンダがF1あるいは電気自動車のFE(フォーミュラE)に参戦し、日本の技術力を見せつけることで、コロナの閉塞感を打ち破る。本田宗一郎はそこを狙っていくはずです。

※週刊ポスト2021年2月26日・3月5日号

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