私大入試「志願者数トップ20」 早稲田ほか軒並み激減の中で人気を集めた大学は?

私大入試「志願者数トップ20」 早稲田ほか軒並み激減の中で人気を集めた大学は?

コロナ禍で行われた今年の大学入試(時事通信フォト)

 今年の大学入試は、新型コロナの影響を大きく受けた。各大学とも感染予防に最大限の注意を払いながらの入試実施となった。今のところ入試でのクラスターは発生しておらず、ひと安心というところだ。しかし、受験生にとってみれば、慣れないマスクをしての受験は大変だったと思われる。

 今年の私立大学の一般選抜入試だが、志願者数が激減する事態となった。その大きな理由のひとつが浪人生の減少だ。

共通テストで「浪人生」が2割減った理由

 共通テストの志願者数は全体で4%減だったが、そのうち浪人生は2割減だった。浪人生は併願校数が多いため、浪人生の減少が私立大志願者数減少に直結する。今年度から始まった大学入試改革に不安を覚え、昨年のうちに大学に進学してしまった受験生が多かったため、浪人生が減少したと考えられる。

 私立大志願者数は、現在のところ昨年に比べて1割ほど減っている。少子化による高校卒業生数の減少は約2.6%だから、それよりはるかに大きい。

 一般選抜を受けずに合格を勝ち取っている受験生も多かったと見られる。コロナ禍によって、年明けに入試が実施されるかどうかも不安な状態だったこともあり、年内の総合型選抜(旧・AO入試)、学校推薦型選抜(旧・推薦入試)で合格を決めた受験生も多かった。

早稲田大は49年ぶりに「志願者10万人」割れ

 そのシワ寄せが一般選抜の志願者減につながった面もある。昨年はトップの近畿大の志願者数が14万5350人で、2位の日本大以下、早稲田大、立命館大、法政大、千葉工業大、明治大、東洋大の順に、8位までが10万人を超える人気だった。8校が10万人を超えるのは史上初めてのことだった。

 ところが、今年は現在のところ近畿大だけが10万人を突破しており、8年連続志願者日本一に王手をかけている。2位の明治大、3位の千葉工業大は今後、出願を受け付ける方式があり10万人を超える可能性がある一方で、早稲田大はじつに49年ぶりに志願者10万人を割り込み、9万1659人にとどまった。

 大手私立大は軒並み志願者減だが、その理由としては、やはりコロナ禍がある。感染拡大する大都市圏の大学への進学を敬遠する地方の受験生が多かった。地元の大学を目指す受験生が増え、大都市の大手私立大の志願者が減ったのだ。

 さらに、4月以降の大学教育がどうなるかという不安な面も志願者数に影響したと見られる。昨年入学した1年生はコロナの感染拡大、緊急事態宣言の発令で急遽、オンライン授業中心になった。

 キャンパスを訪れる機会もほとんどない学生が多かった。学生はクラブ・サークル活動や、アルバイトもできず、1年生は友人もできない状況だった。小中高などでは授業を再開しているが、大学だけがオンライン授業中心だ。

 この4月以降もオンライン授業中心なら、家を離れて大学進学する意味があまりない。だから地元の大学に進学しようという意識が高まった。

「日東駒専」で唯一志願者増になりそうな大学は?

 そこで気になるのが4月からのコロナ禍への対応だ。

 入試までに「4月から原則、対面授業」と公表した主な大手大学は、駒澤大、上智大、明治大、明治学院大、京都産業大、龍谷大、関西大、関西学院大、甲南大など。このうち上智大は志願者が昨年より増え、まだ出願を受け付けている龍谷大もすでに昨年を超えている。

 出願受け付け中の関西学院大、駒澤大、明治大、明治学院大は昨年並みの志願者数になっているが、なかでも駒澤大は昨年を上回る可能性が高い。日東駒専(日本大、東洋大、駒澤大、専修大)と呼ばれるグループでは、唯一志願者増となりそうだ。

 もちろん、コロナ禍への対応だけではなく、各大学の改革もプラスに作用した。2020年度からの大学入試改革にあわせ、私立大でも入試改革を実施した大学が多かった。

 たとえば、千葉工業大の志願者数は昨年を上回りそうだが、これは共通テスト利用入試の受験料を無料にしたことが大きい。コロナ禍による不況を考慮して受験料を無料にし、共通テスト利用入試の志願者が1万人以上増加している。

 上智大はセンター試験に参加していなかったものの共通テストに初参加し、共通テスト利用入試が人気を集めた。関西学院大は神戸三田キャンパスの理工学部を理、工、生命環境、建築の4学部に改革したことも志願者増の理由だ。

 逆に京都産業大は昨年早い段階で学生が集団でコロナ感染症に罹患したことを公表し、批判を受けたことがマイナスになったと見られる。まさに風評被害に遭い、その分、感染対策には力を入れていたが、今年は狙い目となった。この結果を見ると、やはり受験生は対面授業を受けたいということだろう。

昨年の志願者数を上回る大手私大「4校」の名

 大手私大100校ほどを見ると、現段階で昨年の志願者を上回っているのは上智大、龍谷大の他に立教大、学習院大の2校だ。

 立教大は文学部の一部の方式を除き、英語を民間英語試験のスコアか共通テストの英語の成績に代え、大学独自の英語試験を廃止した。さらに試験日を連続して複数回設け、自分の併願プランにあわせて日程を選べる方式で人気を集めた。

 今年の私立大入試はコロナ禍の中で実施され、受験生は翻弄された。入試改革元年ということもあり、受験生の苦労は並大抵ではなかったと思われる。さて、来年はどうなるのか。コロナの感染拡大がどうなるのかと同じように不透明といえよう。

●文/安田賢治(大学通信常務取締役)

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