政治家・官僚の特権か コロナ禍でも疑惑逃亡即入院、御用達病院も

山田真貴子・前内閣広報官が緊急入院で参考人招致見送り コロナ禍の入院に特権と指摘

記事まとめ

  • 山田真貴子・前内閣広報官の参考人質疑が予定されていたが、緊急入院で見送られた
  • コロナ禍の中、入院させてもらえるのは『特権』の一つと指摘されている
  • 政治家や高級官僚の『御用達』は虎の門病院などで、VIP患者のための個室があるという

政治家・官僚の特権か コロナ禍でも疑惑逃亡即入院、御用達病院も

政治家・官僚の特権か コロナ禍でも疑惑逃亡即入院、御用達病院も

吉川貴盛・元農水相も疑惑発覚直後に緊急入院(時事通信フォト)

“不要不急の緊急入院”ではないのか――コロナで病床逼迫が続くなか、政治家も官僚も、疑惑が燃え上がった途端に、“病床”に就いている。

 接待問題の山田真貴子・前内閣広報官は3月1日午後の衆院予算委員会で2回目の参考人質疑が予定されていたが、前日に緊急入院。加藤勝信・官房長官は「体調不良で2週間程度の入院加療を要する」との診断を受けて本人から辞表が出され、1日午前の持ち回り閣議で辞任を了解したと説明した。コロナ対応と全く違う、官邸の“迅速すぎる対応”である。

 その結果、参考人招致は見送られ、「7万円ステーキ接待」の真相解明は藪の中だ。

 大臣在任中に大手鶏卵業者から大臣室で現金を受け取った鶏卵汚職の吉川貴盛・元農水相も昨年12月の疑惑発覚直後に緊急入院。「先週不整脈となり急遽その病院に入院。しばらく検査の上、治療に専念しなければならない」と事務所が議員辞職を発表した。東京地検特捜部は入院中ということで身柄拘束はせず、収賄罪で在宅起訴(1月15日)となった。

 スキャンダルが発覚すると入院で国民から逃げ回るのは政治家や官僚の常套手段、いや、こんな時期に入院させてもらえるのは「特権」の一つだと言っていい。

 入院の理由の多くが「不眠」や「不安」だ。吉川氏と同じく大臣室で業者から現金を受け取り、口利き疑惑で特捜部の捜査を受けた甘利明・元経済再生相は、辞任表明会見(2016年1月28日)の後、「睡眠障害で自宅療養が必要」との診断書を提出して4か月にわたって国会を欠席し続けた。

 メディアは「医師の娘が勤務している病院に入院か」などと入院先を探し回ったが、不起訴後の同年8月1日に突然国会に現われると、晴れ晴れとした表情で「私の件は決着した」と言い放って国民を唖然とさせた。

 同僚議員との“不倫路チュー写真”が報じられた中川郁子・元農水政務官は、辞任を否定して都内の病院に入院。こともあろうに入院中に喫煙していたことまで報じられ、「不眠、不安が続いていたことから病院のルールに深く思いをいたすことなく喫煙してしまった」と謝罪する羽目に。

 雲隠れ入院中はどんな心境なのか。

 接待問題を追及する立憲民主党の辻元清美・代議士は山田氏について、「問題が発覚した時に最初に総理も辞任を認めていれば、入院に至らなかったのではないか」と同情的なコメントをしたが、実は、同じ立場に立たされたことがある。

 かつて辻元氏は秘書給与ピンハネ事件で議員辞職し、参考人招致が決まると松戸の医院の「3週間の入院加療が必要」という診断書を国会に提出して延期させた。

 退院後の国会招致(2002年4月25日)で自民党議員から「松戸の医院に入院していたのか」と質問されるとこう答えた。

「私は、辞職後、体調を壊しまして、複数の病院に入院をいたしました。そして、お世話になりました。しかし、いろいろな報道関係の取材などもございまして、その(病院の)名前はちょっと差し控えさせていただきたいと思います」

 すると自民党議員はこう理解を示した。

「わかりました。マスコミの取材が大変なので医院を変えざるを得なかったということは、理解できるところでございます」

 与野党ともに“明日は我が身”と疑惑隠し入院を黙認し合ってきたことがわかる。

VIP用の個室がある

 政治家や高級官僚の“御用達”とされるのは、大平正芳・元首相が入院した国家公務員共済の虎の門病院、脳梗塞で倒れた小渕恵三・元首相が緊急入院した順天堂医院、安倍晋三・前首相が検査を受けていた慶大病院などが知られている。いずれも“VIP患者”のための個室があり、出入りが厳重にチェックされるなど取材は困難で、情報管理も厳重だ。政治評論家の小林吉弥氏が語る。

「政治家や官僚が進退窮まると病院に逃げ込むのは昭和40年代の佐藤内閣の後半には始まっていた。ベテラン議員になるとそれなりに病院とのパイプがあるが、基本的にはセキュリティがしっかりした大病院ということになる。逃げ込む場所だから料金が高くても情報が漏れないことが一番重要なわけです」

 コロナ禍のなか、政治家や官僚の“逃亡先”として、貴重な病室が使われていいはずがない。

※週刊ポスト2021年3月19・26日号

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