GMARCH合格高校トップ30 「公立復活」を裏付ける神奈川・埼玉の躍進校は?

GMARCH合格高校トップ30 「公立復活」を裏付ける神奈川・埼玉の躍進校は?

コロナ禍で志願者数が大幅に減少した私大受験

 コロナ禍の影響を大きく受けた大学入試も、一般選抜がおおむね終了した。

 今年の入試は国公立大、私立大とも志願者減となった。国公立大が3.2%減だったのに対して、私立大は現在のところおよそ12%と大きく減少している。戦後最大といっていいほどの減少だ。

 中でも私立大では志願者が減少した有名大学が多かった。GMARCH(学習院大、明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)でも、志願者が増えたのは学習院大と立教大だけだった。

「浪人生の減少」が私大志願者数に直結

 減少の理由は、はっきりしている。文部科学省の進める今年度から始まった入試改革とコロナウイルスの感染拡大で、特に浪人生の減少が目についたことが要因だ。

 今年度からの入試改革に敏感に反応し、昨年の受験生は入試改革への不安から昨年のうちにほとんどが大学に進学してしまった。そのため、今年は浪人生が2割ほど減った。高校卒業者は昨年に比べて2.6%減だから、浪人生の減少が大きいことがわかる。

 浪人生は併願校数が多いため、浪人生が減少すると私立大志願者数は減少する。ただ、今年はそれだけでなく、現役生でも併願校数を減らしたと見られる。コロナウイルスが感染拡大している大都市圏の大学の受験を避け、地元志向が強まったこともある。

 さらには、オープンキャンパスや大学の説明会がコロナ禍で対面では開催されず、大学情報が限られたこともあり、併願校を増やせなかったこともあるようだ。また、年明けに入試が行われるのかどうかの不安から、昨年内に合格が決まる学校推薦型選抜、総合型選抜を安全志向から活用した受験生も多かった。

 その一方で、受験生だけでなく大学も一般選抜が実施できるかどうかの不安があった。そのため、年内の選抜で合格者を多めに出した大学も少なくなかったようだ。年内の試験では、志願者が大きく増えたわけではなく、大学が多めに合格者を出して入学者を確保したと見られる。その結果、一般選抜の志願者減につながったようだ。

躍進の神奈川公立はすべて「進学重点校」

 志願者減少が目立った今年のGMARCHだが、合計の志願者数は40万人を切り、昨年に比べて3万7866人、8.8%減だった。私立大全体の志願者減の12%よりは減り方が緩やかだが、大きく減少していることに変わりはない。しかも、この6校の発表した当初合格者が昨年より5000人ほど多く、志願者が減って合格者が増えたため、今年は入りやすい入試となった。

 そのGMARCHの合格者数トップは神奈川の厚木で565人だ。昨年の14位から躍進した。2位は昨年の5位からアップした神奈川の湘南、3位は昨年の13位から伸びた埼玉の開智、4位は昨年の31位から躍進した埼玉の公立一貫校の浦和・市立、5位が昨年トップだった神奈川の川和、6位は山手学院で、ここまでが合格者数500人を超えている。7位が千葉トップの船橋・県立、8位が東京トップの青山だった。

 厚木、湘南は神奈川県から「学力向上進学重点校」に指定され、6位の川和はこの4月から新しく指定されるなど、いずれも大学進学に力を入れている。神奈川の重点校は5校で、9位の横浜翠嵐、11位の柏陽をあわせ、すべてランキング上位に入り、GMARCHに高い実績を残している。神奈川の公立校では、次は27位の多摩だから、重点校との差は大きい。

共通テスト利用で「狙い目」になった大学

 次に大学別のトップ校を見ていこう。学習院大は10位(GMARCH合計)の大宮開成の42人がトップ。学習院大は今年から共通テストに参加し、初めて共通テスト利用入試を実施した。その分、人気を集めて志願者が増えた。今年はコロナ禍で大学に受験に行かなくて済む共通テスト利用入試が感染予防の面からも人気を集めた。

 明治大トップは湘南の237人、青山学院大は厚木の92人だった。青山学院大は個別学部日程試験を、経済学部を除き共通テストの成績と大学独自試験で合否を決める国公立大のような方式に変えた。そのため、志願者が3割減って狙い目だった。

 立教大は26位の頌栄女子学院の136人がトップだ。昨年同時期の立教大合格者数は53人の33位だったから大躍進となった。

 もともと頌栄女子学院は早稲田、慶應、上智に強く、今年も上智大の合格者数はトップだ。キリスト教系の女子校で、高校募集を行わない完全中高一貫校。早くから帰国子女受け入れに力を入れてきたことでも知られ、グローバル教育にも長年力を入れてきた学校だ。

英語対策が不要になって人気アップの立教大

 また、立教大は入試改革を行い、大学独自の英語の試験は文学部の一部に残っただけで、それ以外は民間英語試験か大学入学共通テストの英語の成績に代えた。大学独自の英語の試験がなくなり、英語対策がいらなくなり受験生の負担が軽くなった。

 さらに、試験日をたくさん用意して、何度も受けられるようにした改革が受験生の人気を集め、全体で志願者が増えた。中央大は24位の立川の129人、法政大は浦和・市立の125人がトップだった。

 難関大合格者数で強さを発揮する私立中高だが、GMARCHでは公立校に押されていることがわかる。地方自治体の改革の成果が出てきたと言えよう。この公立校の復活が明らかになってきている。この勢いは早慶や東大などでも発揮されるのか注目したいところだ。

●文/安田賢治(大学通信常務取締役)

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