飲酒していないのにアルコール中毒の疑い? 膀胱でアルコールが作られていた女性に驚きの声

飲酒していないのにアルコール中毒の疑い? 膀胱でアルコールが作られていた女性に驚きの声

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 健康診断の項目には必ずある尿検査。尿から分かる病気は実に多いが、海外には尿検査によって驚くべき事実が判明した人がいる。

 海外ニュースサイト『USA TODAYl』と『Insider』は2月25日、61歳の女性が膀胱内でアルコールが作られる自動醸造症候群(別名:腸内発酵症候群)と診断されたと報じた。

 記事によると、アメリカ・ピッツバーグに住む女性は、過去の飲酒が原因で肝硬変を患っており、肝臓移植を求めて病院を訪れたという。女性に尿検査を実施したところ、アルコールの陽性反応が出たという。肝移植のためには酒を断つことが前提である。女性は飲酒していないと主張するも、再検査の結果も同じであった。医師らは女性のアルコール中毒を疑い、肝臓移植を否認。アルコール依存症の治療を勧めたという。

 女性は話を信じてもらえなかったため、専門医のいるピッツバーグ大学メディカルセンターを訪れたようだ。専門医が調べた結果、女性の主張が正しかったことがわかったという。女性は飲酒をしていないにもかかわらず、膀胱内のイースト菌が作用して、摂取した食品の糖分からアルコールが作られていたという。これはビールを醸造する過程と同じで、自動醸造症候群(別名:腸内発酵症候群)と呼ばれている。

 女性を担当した医師によると、女性は特にこれといった症状もなく、血液検査でアルコールは検出されなかったという。女性は糖尿病患者で、尿内の糖分が健康な人よりもかなり多かったという。その結果、膀胱内がアルコールを作り出す最適な環境になったと考えられているそうだ。
 女性にはイースト菌を減らす抗真菌療法が行われたが、あまり効果がなかったそうだ。一通りの治療を受けた後、女性はアルコール中毒の疑いが晴れて、肝臓移植に向けて前進しているという。

 このニュースが世界に広がると、ネット上では「体内にビール工場があるとは驚いた。彼女は金のなる木だ」「海外ドラマに出てきそうな話だ」「最初の病院の対応が酷い。医者はもっと患者の話に耳を傾けるべき」「運転は危険だな。飲んでいないのに飲酒運転を疑われてしまう」「お酒の飲みすぎで自分の肝臓を破壊。糖尿病もあるとは女性の不摂生にも問題がある。自業自得」など様々な意見が上がった。

 膀胱で発症した自動醸造症候群について、過去にも患者が確認されているそうだが、学術雑誌に研究記事が発表されたのは今回が初めてのケースだという。アメリカ国立医学図書館に寄せられた報告書によると、自動醸造症候群が最初に確認されたのは1972年の日本で、以後58件程が日本で報告されているという。アメリカでも数件程度報告されており、患者数から言えば、まれな病気と言えるだろう。

 自動醸造症候群は腸で発生することが多く、極端な食事制限や、抗菌薬の使用、または小腸の切除を行った人がかかりやすいという。前記が引き金となって腸内の細菌バランスが崩れ、腸管内のイースト菌が増加した結果、摂取した食品の糖がアルコールに変換されるという。腸内で作られたアルコールが再度吸収されると、お酒に酔ったような状態となり、倦怠感、げっぷ、二日酔いなどの症状が出るという。

 アメリカでは、運転中の飲酒検査にて、飲酒をしていないのにもかかわらずアルコール陽性反応が出て、この病気が発覚したケースが報告されている。こうした自動醸造症候群の症状は、抗真菌療法やプロバイオティクス療法によって、改善されるという。

 医学が発達した現代でも、人体とはまだまだ謎の多い存在のようだ。

記事内の引用について
She didn't drink, but her urine was full of alcohol. Turns out, her bladder was its own brewery.
(USATODAYより )
https://www.usatoday.com/story/news/nation/2020/02/25/auto-brewery-syndrome-woman-didnt-drink-but-urine-full-alcohol/4866137002/
A woman was denied a transplant because she had alcohol in her system despite saying she doesn't drink. It turned out she had 'auto-brewery syndrome.'(Insiderより)
https://www.insider.com/rare-case-of-urinary-auto-brewery-syndrome-diabetes-bladder-alcohol-2020-2
Drunk Without Drinking: A Case of Auto-Brewery Syndrome(アメリカ国立医学図書館より)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6831150/
The case study of one patient with gut fermentation Syndrome: case report and review of the literature(International Journal of Clinical and Experimental Mediceneより)
https://pdfs.semanticscholar.org/7d49/250d4b29c86c4fe914b57b749a7662f8728a.pdf

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