日本人観光客を受け入れ始めたヨーロッパ、アジア人差別はもうない? 現地での意識に変化は

日本人観光客を受け入れ始めたヨーロッパ、アジア人差別はもうない? 現地での意識に変化は

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 新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、新規感染者数が減少したヨーロッパ各国は観光客を受け入れ始めた。コロナ禍以前は日本人の旅行先として人気だったヨーロッパだが、旅行に行きたい気持ちがある一方で、アジア人差別を不安視している日本人も多いようだ。

 ヨーロッパではコロナ禍を巻き起こしたとしてアジア人差別が横行し、道で襲われるなどの被害が多発していた。特にフランスではレストランでアジア人だと分かると奥の席に案内されたり、順番を待っているにもかかわらず欧米人を優先させアジア人をなかなか席に通さないなど、アジア人差別が顕著だったといえるだろう。もともとフランスではアジア人に対する差別が見受けられていたがコロナ禍でさらに拍車がかかり、ツイッターなどでは「コロナをはやらせたアジア人を見たら暴力を振るおう」というようなツイートが出回って実際に殴られたというアジア人の被害者も多くいた。

 ?>>感染を疑い恋人を殺した男や、外で騒ぐ若者を射殺した男も コロナ禍の影響で起きた殺人事件<<???

 このような事件は日本でも広く報道されていたが、いまだに恐怖を感じている日本人は多いようだ。SNSを見ると日本人からは、ヨーロッパに旅行することに対し「コロナが落ち着いてもヨーロッパへの旅行は怖い。まだきっとアジア人差別があるはず」「ワクチンを打ってコロナに対しては安心できても差別が怖くてヨーロッパには行けない。今もコロナによるアジア人差別が蔓延していると噂で聞いた」「パリに旅行したいけどアジア人差別が落ち着くのはコロナが収まってから2〜3年後だと思う」などの声が挙がっている。

 しかし実際のところはどうなのだろうか。2020年11月頃、アジア人に暴力を振るおうというツイートが横行していたフランスでは現在、アジア人差別はコロナ禍以前と同じ程度に戻ったという。その背景にはアジア人に対する暴力を誘導したツイートをした5人が起訴され、5月26日に5人のうち4人に有罪判決が言い渡されたことも関係しているだろう(残りの1人は無罪)。起訴された5人は19歳から25歳の若者で、フランスの有名大学に通っていた学生らであったことから、このニュースはフランスを中心にヨーロッパで広く報道されていた。これもあり差別が罪であるということが改めて認識されたようだ。

 フランス在住の日本人は、ヘイトツイートが蔓延していたときは外出はなるべく控え、どうしても外出しなければならない時は下を向いてアジア人だとバレないようにしていたというが、現在はコロナ禍以前のように普通に外出しているという。アジア人差別を感じられる場面がないわけではなく、コロナ禍が原因かは不明なもののスーパーなどではアジア人だと分かると、他の欧米人と比べてレジ担当の店員に明らかに嫌な顔をされることもあるという。しかし「暴力を振るわれるほどの恐怖はもうない」と話す。

 またほかの国ではフランスほどもともとアジア人に対する差別がなかったこともあり、コロナ禍にかかわらず、レストランなどで差別的な行為を受けることはほぼないという。ドイツ在住のあるドイツ人は、コロナ禍でもアジア人差別をした人を見たことはないとし、「もうコロナは落ち着いているし、今も日本人の観光客を見ても別になんとも思わない」と話していた。またイタリア在住の日本人は、地域にもよるが、コロナ禍でアジア人差別がイタリアで目立ってはいなかったことを明かしつつ「イタリアの観光業は日本人観光客を含めたアジア人によって潤っていたからむしろ歓迎されると思う」と伝えていた。

 実際、すでにヨーロッパに旅行した人も出てきており、差別は感じられなかったという声も多い。ドイツからフランスに旅行したという在独日本人家族は差別には遭わなかったといい、「市民の間ではもうコロナ自体が落ち着いているという雰囲気もあって、アジア人差別も忘れられていたかのようだった。差別を覚悟で行ったから逆に拍子抜けした」そうだ。一方で、日本からドイツに旅行したという日本人は差別を感じなかったとした上で「アジア人旅行客はまだほとんどいなくて目立ってしまい、変な目で見られていた気はする」と多少の違和感があったことを明かしていた。

 コロナ禍によってあらわになったアジア人差別。コロナが収束しても差別を恐れて旅行をしばらく避けようと考えている日本人は少なくはないだろう。しかし日本人が思っているほどヨーロッパではアジア人差別はないのかもしれない。

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