英語で伝えるおもてなし、日本酒・ワインを武器に…立教大学観光学部

英語で伝えるおもてなし、日本酒・ワインを武器に…立教大学観光学部

立教大学 日本酒・日本ワインを英語で解説できる人材を養成する「英語による日本酒・ワイン講座」

 「ヨーグルトのような香りがする」「そうだね、よくわかったね」―東京六大学野球2017年春季リーグ戦で優勝した立教大学野球部の祝賀パレードが行われた6月12日同日、立教大学新座キャンパス内の「こかげ」では16人の学生が酒杯を傾けていた。しかし、机の上には資料やペンが並び、その顔は真剣そのもの。実は彼ら、祝賀会ではなく、学問にいそしんでいるのだ。

◆おもてなしとビジネスのかけ橋に

 立教大学観光学部の庄司貴行教授は5月、ゼミナールの追加講座として「英語による日本酒・ワイン講座」を開講した。目的は日本酒や日本ワインを英語で説明できる人材を養成すること。NPO法人や企業の協力を受け、観光産業の現場が抱える課題を実感する場を設けた。

どんな風味、香りだろう…そしてどのように伝えようか。真剣に学ぶ学生ら
 庄司教授によると、訪日外国人旅行者が急増する地域では、観光客の要求にあった食事、宿泊、観光などを提案したいが、英語が不自由なためコミュニケーションに悩んでいるという者が少なくないという。そこで、正規のゼミとは別に、日本酒や日本ワインを題材に“おもてなし”とビジネスの橋渡しを学ぶ場を用意した。課外授業扱いのため単位は認められないが、この日集まった16人の成人学生は、普段の授業と変わらない真摯な態度で授業に臨んでいた。

◆英語は道具、大切なのはその中身

 第6回目にあたる12日の講義は、日本酒をテーマに開講。講義を共催するNPO法人、料飲専門家団体連合会(FBO)が講師を派遣し、オリジナル教材を用いた本格的なテイスティングやグループワークが実施された。

大津講師、庄司教授も含め全員が一丸となった講義。活発な意見交換が見られた
 講師を務めたのは、自らも立教大学OGである日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会所属の大津稚子氏。当日、学生たちはFBOが提唱する4タイプ分析に基づき、日本酒の味や香り、舌触りなどを英語で表現するグループワークに挑戦。大津氏は「ラベルから読み取れる情報もあるよ」「このお酒は色が特徴的。イギリスで飲まれるスコッチというお酒に似ているよね」など、海外からの訪日客の気持ちに寄り添った表現や考え方、伝え方を伝授した。

 庄司ゼミは大学3年次にTOEIC700点以上を取得していることを入ゼミの条件に掲げており、学生らの英語スキルには大津氏も太鼓判を押す。「みなさん英語は大丈夫だと思うので、あとは何を、どのように表現するかだよね。やってみよう」と、学生らを励ました。

6月12日は、4種の日本酒を教材として扱った
 講座を通し得るものは、何も“SAKE”に関する知識だけではない。庄司教授は、「彼らには“武器”を授けたつもりです」と語る。英語能力が求められて久しい世の中だが、肝心なのは「英語で何を伝えるか、その中身」にある。「相手が何を求めていて、何をしたくて、どのようなことが知りたいのか。彼らはこれから、インターンシップや就職など、社会と多く接するようになる。ゼミや講座で得た武器を、インターンシップ先の企業や旅館、施設などで存分に生かしてほしい。将来的には日本の底力を支える人になってくれれば」と、学生らの飛躍に期待を寄せた。

◆講座は全8回、実践的な学びを体現

 講座に参加する観光学部3年次の金城瑠華さんは、「いままでワインやお酒(日本酒)を美味しいとは思えなかったけど、講座を通して美味しさに気づけた」と語る。同3年次の北野育穂さんは、「あまり興味を持とうとしていなかったお酒の作り方に触れることができて、奥が深いなあと思えるようになりました」とコメント。もともと興味があり、「さまざまなお酒に触れることができて楽しい」とするのは同3年次の永田晃聖さん。観光学という学問の観点から、日本の観光資源や地域資源を読み解く探究心が刺激されているようだ。

 庄司ゼミの学生らは7月3日、立教大学の提携校などから「短期日本語プログラム」を通じ来日している留学生に向け、レセプションパーティの場で日本酒や日本ワインについて紹介する予定。講義の内容を生かし日本ならではの資源をうまくアピールできるか、庄司教授や大学からの期待がかかっている。

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