内部崩壊間近!? 自民党「安倍の次」を狙う面々

内部崩壊間近!? 自民党「安倍の次」を狙う面々

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 加計学園問題で窮地に立たされる安倍政権。水面下では新たな玉座をめぐる“覇権争い”がスタートしていた――。

 6月9日に開かれた閣議の直後のことだ。加計学園の獣医学部新設問題で「総理のご意向」と記載された文書をめぐり、松野博一文科相が突如、「文書が本当に存在するかどうか、再調査を行う」と表明した。

 6日後の15日には、再び松野文科相から、「14個の文書が省内で確認された。申し訳ない」と発表がなされる。それまで、政権が怪文書として扱い、存在を否定してきた文書が、壮大なブーメランとして返ってきたわけだ。

 安倍首相率いる“史上最強政権”が「メモは存在しない」の強硬姿勢を改めた理由――それは、今月23日に告示され、7月2日に投開票される東京都議会議員選挙対策だったといわれる。「小池百合子都知事が、6月1日付で自民党に離党届を提出したことで、“自民党VS小池党(都民ファーストの会)”の対決姿勢が鮮明になりました。最新の世論調査では、国民の約7割が加計問題などで、政府の対応に不満を持っていると出ています。機を見るに敏な小池知事のことですから、“説明責任を果たす政治”といったことを、都議選で訴えかけるはずです」(全国紙政治部デスク)

 都議選のちょうど1か月前に実施された朝日新聞の世論調査によれば、「都議選で投票する政党」の第1位は、都民ファーストの会と自民党が同率(約27%)で首位。これを見た自民党首脳は、顔が青ざめたという。都議選の結果は、都議会自民党の地盤沈下にとどまらないからだ。

「確実に中央政界に波及します。東京を地盤とする衆参の議員は、自分の地元で自民党の都議が敗退した場合、選挙の地盤が揺らぐ恐れがあります。小池さんは早ければ次期衆院選で国政に進出するといわれていますので、“都議選を落とすと国政選挙も危うい”のです」(永田町関係者)

 政治ジャーナリストの角谷浩一氏も「自民党が都議選で敗れると、党内で“安倍降ろし”の声が出る可能性がある」と指摘する。「安倍政権に不満を抱きつつも、民進党には政権を委ねられないと思っている有権者が、“安倍政権とは別の自民党政権ならいいんじゃないか”――そう思い始めているのです」(角谷氏)

 特に自民党が警戒しているのは、安倍首相に近いとされる元TBS記者から暴行を受けたとして、被害女性が検察審査会に審査を申し立てた問題だ。元記者には逮捕状が出たものの、刑事部長(当時)が事件を揉み消した疑いも持たれている。

「“かけ蕎麦(加計学園問題)”や“もり蕎麦(森友学園問題)”ならまだしも、この疑惑に火がついたら、安倍政権は日本中の女性を敵に回すことになります。そうなったら致命傷。とても、解散だの、総選挙だのと言ってはいられません。政党政治家にとって一番大事なのは、選挙に当選すること。(議員)バッジがつけられないと分かったら、平気で安倍首相の首をすげ替えますよ」(政治評論家の本澤二郎氏)

 こうした苦境を脱するために、官邸は国会の会期延長を断念、加計問題にも区切りをつけるため、文書の存在を認めてみせたのだ。「賛否が分かれていたテロ等準備罪法にも審議の時間を取らず、衆参とも強行採決で“駆け込み成立”させました。これには、党内からも批判の声が上がっていますが、すべては都議選前に国会を終了させ、加計学園問題絡みの追及をかわすためです」(夕刊紙記者)

 “落ち目の三度笠”を叩くのは、永田町の常道。盤石に見えた安倍政権がガタつき始めた今、党内では血生臭い暗闘が開始されたという。驚くべきは、安倍政権の中枢を担ってきた麻生太郎財務相(兼副総理)に離反の動きがあることだ。「麻生さんは、加計学園の獣医学部新設問題では、“獣医師の質の低下を招く”と発言し、安倍官邸と対立しています。麻生氏には新設反対派である獣医師議連会長としての立場もあるのでしょうが、他の“含み”もあるといわれています。彼は、安倍さんが2度目の総理就任した際、“何かあったら俺が引き継ぐ”と約束していたといわれており、再登板に意欲を燃やしていたのです」(自民党関係者)

 しかし、安倍首相は来年9月の総裁選で3選を果たし、東京五輪後の2020年までの長期政権で首相の職を全うする意気込み。「御年76歳の麻生さんにはもう時間がありません。森友、加計の問題が長引いたのは、麻生さんの“働きかけ”があったとも噂されています。安倍さんを火ダルマにして、政権禅譲を狙っているのでしょう」(前同)

 都議選投開票日の翌日、麻生派は、山東派と谷垣グループから離脱した天元会を吸収合併する。結果、最大派閥である細田派(96人)に次ぐ、60人規模の党内第2勢力となる予定だ。「その後も谷垣グループや岸田派を切り崩し、巨大派閥を作ろうとしています。数の力を背景に、安倍首相に引導を渡して内閣総辞職へ持っていくためです。そうなると、任期満了で衆院解散になる来年12月まで、“中継ぎ”で首相に再登板できます」(同)

 麻生財務相は、短い期間ながら総理総裁の座に返り咲く魂胆だという。

 麻生財務相と同じく、安倍政権を支える重要閣僚の一人、岸田文雄外相も動き始めている。安倍首相は4月に開かれた岸田派のパーティで、「岸田さんにはもっと上(首相)を目指してほしいが、もうしばらく我慢してほしい」と岸田外相への禅譲をほのめかしている。

 事実、岸田外相は、次の総理総裁の最有力候補といわれるが、「宏池会(岸田派)が今年で結成60周年の節目を迎えたこともあり、派閥メンバーからは“首相のイエスマンではなく、はっきりとポスト安倍を意識した動きをするべき”との声が上がっています。また、加計学園騒動後は、“このまま安倍政権に協力し続けると、共倒れになる恐れもある”との不安も出てきました。ここらが“決断の時”でしょう」(前出のデスク)

 こうしたムードを受けて、岸田外相も踏み込んだ発言をするようになってきた。安倍首相が憲法9条を改正し、「自衛隊の存在をしっかりと位置づける」と表明したことに対して、岸田派の研修会で挨拶し、「当面、憲法第9条自体は改正することを考えない。これが私たちの立場ではないか」と主張したのだ。

「これは安倍政権そのものに対する“ノー”の意思表示だと言えます。過去の例からも、タカ派的な政権の後はリベラルな政権が誕生しています。その意味で、岸田氏には十分チャンスがあるはず」(前出の本澤氏)

 8月に噂される内閣改造だが、その際の新しい閣僚名簿に岸田氏の名はないとの情報も。“安倍首相のイエスマン”が、いよいよ牙を剥くときかもしれない。今夏の改造で、もう一人、閣僚名簿から名前が消えそうなのが、同じく安倍政権の重鎮・菅義偉官房長官だ。

「本人は党の幹事長を強く希望しているそうです。4年半、安倍政権の女房役を務め、安倍首相や閣僚の失言を鎮める役回りにうんざりしている面もあるんでしょう。ただ、菅さんには、麻生さんや岸田さんとは違って、総理になるという野心はありません。安倍政権よりも、次の政権での立ち位置を確保しようというのが、幹事長を希望する理由です」(自民党関係者)

 麻生、岸田という重要閣僚のみならず、女房役まで微妙な動きを始めた安倍政権。内部崩壊が静かに進行しているという話は、事実のようだ。そうなると、「本来は安倍首相とは水と油の関係」(前同)という二階俊博幹事長の動向も気になってくる。

「安倍総理は二階さんの影響力を無視できず、幹事長のポストを与え、うまく飼い慣らしている状況です。最近では二階さんも安倍首相の信頼を得て、韓国の文在寅大統領に首相の親書を手渡すなど、存在感を示しています。菅さん同様、二階さんには首相になる気はありませんが、キングメーカーとして影響力を残そうとしている」(同)

 前述した通り、次の内閣改造・党人事では、菅官房長官の幹事長就任が有力視されているが、そうなると、幹事長の二階氏が党の副総裁へ繰り上がる“玉突き人事”が検討されているという。「その二階さんに急接近しているのが、安倍首相の家庭教師を務めたこともある平沢勝栄さん。次の内閣改造で悲願の初入閣を果たしたい彼は、党内の空気をうまく嗅ぎ分けているんです」(同)

 ここまでの面々は、麻生財務相が総理のリリーフ登板を狙い、岸田外相はトップ獲りに向けて動き出しそうな気配。菅官房長官と二階幹事長にはその気なしなので、これは逆に言えば、露骨に“反安倍”の狼煙を上げているわけではないということ。しかし、ここから先の面々は別。明確に反目に回るという。

 2012年の自民党総裁選に出馬した石原伸晃経済財政担当相も、次の総裁へ再度意欲を燃やす一人だ。「ただし、そうなっても泡沫候補扱いでしょうね。先だって二階派に入った平沢さんは、もともと石原派だった。しかし、大臣ポストを狙い、落ち目の石原派を見限って二階派入りしたわけですから」(同)

 石原氏の求心力低下は目を覆うばかりなのだが、当人はヤル気なのだという。では、堂々やりあって安倍首相の首を狙える猛者はいるのだろうか。「野田聖子元郵政相と、石破茂元地方創生相でしょうね。野田さんは派閥には所属していませんが、岸田派の古賀誠名誉会長らの支援を受け、来年9月の総裁選へ向けて調整を続けています。15年の総裁選では、安倍首相の対抗馬として立候補が取り沙汰されましたが、推薦人の切り崩しにあい、断念しています。万が一、岸田外相が安倍首相の圧力に屈して出馬を見送った場合、岸田派の一部は野田さん擁立に動くはずです」(別の自民党関係者)

 野田氏は、小池都知事とも蜜月関係にある。野田氏は、去年の都知事選に出馬した小池氏を「私はまったく向いていないが、彼女には(都知事としての)資質があると思う」と持ち上げ、その後、衆院東京10区補選では、小池知事が推す若狭勝氏の応援にも駆けつけている。「岸田派有志に加え、小池さんの援護もあれば、野田さんが総裁選の“台風の目”になるかもしれません」(前同)

 最後は、安倍首相の最大のライバルにして不倶戴天の敵である石破氏の動向だ。「森友騒動では“昭恵夫人を国会に呼ぶべき”など、安倍首相の神経を逆なでする発言を連発し、対決姿勢を鮮明にしています。12年の総裁選で地方票を固め、安倍総理を苦しめたことに自信を持っているんです。来年9月の総裁選でも地方票では勝てると踏み、現在、精力的に地方行脚を繰り返しています。弱点である議員票を固めるため、自派閥の水月会や派閥横断型の勉強会(さわらび会)の勢力拡大も図っていますから、本気も本気です」(前出の夕刊紙記者)

 官邸が警戒しているのは、石破氏がかつて“参院のドン”といわれた青木幹雄元参院議員会長に接近していることだという。「経世会の流れを汲む額賀派は、かつて自民党を支配した巨大派閥でしたが、今や、党内政治では完全に蚊帳の外。影響力はほとんどありません。同派のOBで現在も派閥に影響力を残す青木氏を通じて額賀派の協力を得られれば、石破さんは強くなる。もし、石破派と合併がなれば、一気に麻生派を抜いて党内の第2派閥に躍り出ます」(前同)

 石破氏にとっても、今回の戦いが政治生命を賭けた正念場となるはずだ。「安定していた安倍政権も自民党も、どこかざわついている状態です。これほど傲慢な政権が長続きするはずがありません。“安倍降ろし”の動きが本格化したら、3選は果たせないでしょうね」(本澤氏)

 “史上最強”政権の命運や、いかに……!?

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