我慢の生活逆戻り、飲食店ため息「不安でしかない」…東京「まん延防止」

都のまん延防止要請にため息

 1都3県に出されていた緊急事態宣言が解除されてから2週間余り。東京都ではリバウンド(感染再拡大)が収まらず、宣言に準じた対策が可能となる「まん延防止等重点措置」の適用を要請する事態となった。我慢の生活に逆戻りすることになる飲食店や大学生からため息が漏れた。

■■人の流れ抑える

 「感染者の増加に厳重な警戒が必要だ。変異ウイルスも考慮すれば医療提供体制の逼迫(ひっぱく)が危惧される」。東京都の小池百合子知事は8日に開かれた新型コロナウイルスのモニタリング(監視)会議で、感染の再拡大に強い懸念を示した。

 都内の感染者は3月21日の宣言終了前から増加傾向にある。今月7日には新規感染者が555人と約2か月ぶりに500人を超えた。小池知事は会議後、「重要なのは、いかに人流(人の流れ)を抑制するかだ」と強調。変異ウイルスが拡大する大都市圏をはじめとする都外への外出や出張を自粛し、都外から新入生が集まる都内の大学には、オンライン授業の実施を要請した。小池知事は「感染状況次第では、緊急事態宣言の発出など更なる対策も検討するよう政府に要請した」と危機感を強めている。

■■事前に備え

 重点措置の適用で、都内の飲食店は、現在午後9時までの営業時間を午後8時に繰り上げるよう要請され、感染対策の強化も求められる見通しだ。

 「不安でしかない」。東京・渋谷駅近くにある飲食店店長(43)はこう胸の内を明かした。

 同店では宣言解除後、リバウンドに備えて二酸化炭素(CO2)の濃度を測定できるセンサーを店内の2か所に設置した。渋谷区などから無償で配布されたもので、人が吐く息に含まれるCO2の濃度を測定することで「密集」や「密閉」の状況把握ができる。濃度は1000ppm以下が目安で、店長は「店内の空気の状況が可視化できるようになったので、頻繁に換気をするようになった」と話す。

 ただ、経営は厳しい状況が続いている。宣言中は、都の要請に応じて営業時間を午後8時に短縮したが、客足はさっぱり。宣言の解除で午後9時まで延ばしたが、客は戻っていないという。店長は「借金をしたり、協力金をもらったりして何とか営業しているが、先が見えない」と声を落とした。

■上京大学生 ため息

■■「親しい友人が…」

 新生活を始めたばかりの大学生からも不安の声があがった。

 大阪府から上京して都内の私立大学に入学したばかりの大学生(18)は「思い描いた大学生活とは違うだろうと覚悟していたけれど……不安は増すばかり」と打ち明けた。大学の同級生とはガイダンスで数人と会っただけで、「これから友達をつくろうと思っていたけれど、授業がオンラインになったり、サークル活動ができなかったりすると、相談できる親しい友人がいなくなってしまう」と話した。

 さいたま市浦和区の自宅から都内の大学に通う大学生(19)は「やっと新しい友達ができたのに、また出かけられなくなるのは悲しい」と肩を落とした。昨春の入学後はオンライン授業が続き、キャンパスに週1回行くようになったのは秋以降。通学の電車内でも感染しないか不安を感じるという。都のオンライン授業の要請に対し、「コロナが収束するまでは仕方ないので、家で一人の時間を過ごそうと思う」と話した。

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■小池知事が呼びかけた感染対策のポイント

▽都県境を越える外出や、変異ウイルスが広がる大都市圏との往来の自粛

▽マスク着用の徹底

▽大学で新入生らにPCR検査を実施、オンライン授業導入

▽テレワークや時差通勤の徹底、都外への出張自粛

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