「アタック25」9月終了、タレント起用の波に勝てず…若年層狙う番組に

 1960〜80年代を中心にテレビで人気を集めた視聴者参加型のクイズ番組が、一時代の終わりを迎える。各局の番組がほぼ姿を消し、代表的な長寿番組だった朝日放送テレビ(大阪市)の「パネルクイズ アタック25」が終了する。背景には何があるのか。(真崎隆文)

■視聴率は堅調

 「アタック25」は日曜昼の全国ネット。俳優・児玉清さん(2011年死去)の司会で1975年4月に始まり、現在は俳優・谷原章介さんが3代目を務める。赤、緑、白、青の席に着いた4人の解答者が問題に答え、正解者がオセロゲームのようにパネルを奪い合う形式が人気を集めたが、9月の終了が決まった。

 視聴率は5〜6%台と堅調に推移するものの、朝日放送テレビの関係者によると40、50代以上の視聴者が多い。同局の山本晋也社長は今月14日の記者会見で、若い世代にもっと見てもらえるよう番組編成を見直したことを、終了の理由に挙げた。

 山本社長が危惧するのは、NHK放送文化研究所が5年ごとに行う国民生活時間調査だ。今年発表のデータで、平日にテレビを15分以上視聴する人の割合が16〜19歳で47%(前回比24ポイント減)と低迷するなど、“若者のテレビ離れ”が顕著に表れ、対応を迫られた。

 業界で「F1」と呼ばれる20〜34歳の女性は購買欲が高く、広告にも影響があるとされる。「アタック25」の後継番組は若年層を狙い、男性アイドルグループのバラエティーを据える。

■昭和に隆盛

 そもそも視聴者参加型のクイズ番組が勢いを持ち始めたのは、1960年代だった。当時は、家族そろってテレビを見るのが日常の風景だった。

 ゴンドラに乗って早押しクイズに挑む毎日放送制作の「アップダウンクイズ」などがスタート。70〜80年代に隆盛を誇り、アメリカ大陸を横断しながら知力を競う日本テレビ系の「アメリカ横断ウルトラクイズ」などが人気を博した。「アタック25」が番組最高視聴率24・2%(関西地区)を記録したのも79年1月だ。

 立命館大の飯田豊准教授(メディア論)は「当時はハプニング性を追求する“素人の時代”で、芸能人が見せないような反応を面白がっていた。クイズ番組は世代を問わず、家族全員で見られる魅力があった。海外旅行や賞金などの懸賞が、視聴者の射幸心をあおった側面もあったのではないか」と分析する。

 だが、その後はタレント起用型が増加し、バラエティー色を強めていく。飯田准教授は「素人の一喜一憂では物足りなくなり、生活水準が上がるにつれ、懸賞目当ての出演も盛り上がりに欠けたのだろう」とみる。

■エンタメ追求

 視聴者参加型のクイズ番組の多くはレギュラー放送を終了し、近年は、現役東大生が明晰(めいせき)な頭脳でクイズに挑む知的要素を強めた番組が増えている。こうした潮流について飯田准教授は、制作費の高騰や過度な演出を避けながらエンターテインメント性を追求した結果と指摘する。

 日曜の昼下がりのお茶の間に浸透していた「アタック25」。放送局側にも長寿番組への愛惜があるようだ。朝日放送テレビの山本社長は「アタックが世の中から消えるわけではなく、地上波ではない展開があるかも」と含みを持たせた。

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