桜木町で「バスケがしたいです」…震災直後に連想した大会、今では大槌の一大イベント

桜木町で「バスケがしたいです」…震災直後に連想した大会、今では大槌の一大イベント

2019年6月に開催された「桜木杯」には、町内外から多くの人が参加した(矢野アキ子さん提供)

 東日本大震災で被災した岩手県大槌町が、バスケットボールファンが集う町として注目されている。人気バスケ漫画を通じて、地元住民と復興支援のボランティアがつながり、「町に活気を取り戻そう」と始めた3人制バスケ大会は10年目に。これまで町内外の2700人以上が参加した。25日には、専用の屋外コートがオープンする。

 大会を企画するのは、町内で鮮魚店を営む河合秀保さん(44)と、広島県福山市の総菜製造業矢野アキ子さん(53)ら。

 きっかけは、矢野さんが2011年の震災の2か月後、がれき撤去のボランティアで訪れた同町桜木町地区の地名だった。愛読するバスケ漫画「スラムダンク」の主人公の桜木花道を連想し、「桜木町にバスケコートを造って大会を開いたらおもしろそう」と考えた。

 「某有名マンガを題材に、町おこしをしたいのですが、どう思われますか」。地区の全約360戸にアンケートを配った。すぐに返事をくれたのが、地元のバスケクラブのリーダーを務める河合さんだった。「『スラムダンク』だとすぐにわかりました! ぜひ一緒に」。津波で家を失い、復興について考える余裕もなかったが、「またバスケができるかも」とわくわくした。

 2人は意気投合して、スポンサー企業を探すなどし、12年5月に町内の体育館で「桜木杯」と名付けた大会を開いた。以降、大会は26回続いている。今では参加チームをインターネットで募集すると、約20枠が1日で埋まる人気ぶり。大会当日は全国から100人以上が集まる一大イベントになった。

 コート整備に向けて、大会の収益金などを積み立ててきた。16年から町と協議を重ね、昨年末、津波で壊滅した旧町役場庁舎の跡に近い町有地を借りられることになった。整備費1000万円のうち、不足分をネットで募り、500万円以上が寄せられた。

 河合さんたちが屋外にこだわったのは、震災後、子供たちの遊び場が少なくなったと感じたからだ。住宅跡にできた公園は小さなものばかり。子供たちに外で思いっきり遊んでほしいと、ハーフ2面のコートは無料開放するつもりだ。

 「誰もがバスケを楽しめる町の新たな中心地にしたい。このコートから将来の桜木花道が出てくれたらうれしいね」。河合さんは夢を膨らませる。

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