留学生帰国時、6割の大学が技術持ち出し禁止の注意喚起せず…リスク意識の低さ明らかに

留学生帰国時、6割の大学が技術持ち出し禁止の注意喚起せず…リスク意識の低さ明らかに

(写真:読売新聞)

 日本で学んだ留学生の帰国時、軍事転用可能な技術の持ち出しを禁じる注意喚起を行っていない大学が6割に上ることが、文部科学省と経済産業省の合同調査でわかった。国は留学生による技術流出対策を強化しているが、大学のリスク意識の低さが明らかになった。

 大量破壊兵器などの開発につながる技術の持ち出しは「外国為替及び外国貿易法」(外為法)で規制されている。経産省の指針では、〈1〉規制技術を持ち出さないよう、入学時に誓約書の取得や注意喚起を行う〈2〉卒業時に持ち出し有無の確認と注意喚起を行う――ことなどを推奨している。注意喚起の方法は、個別に説明する、文書で周知するなど、各大学に委ねられている。

 調査は、両省が4月、国立大と、理系や情報系学部をもつ公立大、私立大の計327校に実施し、320校が回答した。帰国時の注意喚起の有無を聞いたところ、国立の41・9%(36校)、公立の71・8%(28校)、私立の66・7%(130校)が未実施と回答。全体では約61%が未実施だった。

 国は注意喚起を通じ、規制技術の持ち出しを抑止する効果を見込んでいる。注意喚起をしていなかった都内の私立大の職員は「必要とは分かっていたが、安全保障上のリスクが指摘されるようになったのは最近で、準備が追いついていなかった。今後は改めたい」と話した。文科省は「取り組みは年々進んでいるが、徹底を図りたい」とする。

 日本にいる外国人留学生(昨年5月1日現在)は27万9597人で、半数近くを中国出身者が占める。米国は中国が留学生を使って技術獲得を狙っているとして警戒を強めている。技術流出問題に詳しい明星大の細川昌彦教授は「規制技術が流出した場合、危機意識が高い米国などとの共同研究の枠組みから日本が外される恐れがあることを認識すべきだ」と指摘している。

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