名前は市外局番の「044」…甘く複雑「クセになる街」表現した香水、人気じわり

 「川崎」を表現した香水が、じわりと人気を呼んでいる。市木のツバキや特産の梨、工場地帯の鉄――。川崎市にまつわる香りが絶妙に溶け合い、濃厚な甘さの中に、街の力強さや複雑さを思わせる。開発を手がけた市在住のフレグランスコーディネーター妹尾龍哉さん(31)は「川崎を香りの街にしたい」と意気込んでいる。(松崎美保)

 ベースはマリー・アントワネットが愛したバイオレットリーフ精油。さらに50種の香料をそれぞれ組み合わせ、工事現場や古い民家の木材を想起させる「川崎ウッディー」や、鉄をイメージした「アルデヒド」、特産「長十郎梨」、市花「ツツジ」など6種の独自の香料を作り、一つにまとめ上げた。名前は市外局番そのままに「044」とした。

 生まれも育ちも川崎区の妹尾さんは、母親が自宅でエステ店を開いて化粧品や香水が身近にあったため、「将来は香水を作る人になりたい」と子供の頃から思っていた。香水業界に進む方法を知らずいったんは断念したが、24歳の時に好きなアーティストがライブ会場でオリジナル香水を売っていたのを見て思いが再燃。インターネットで調べて横浜市内のベテラン調香師に弟子入りした。約4年の修業をへて、川崎区内で2018年に雑貨店「メルヴェイユ」を開店し、現在はJR川崎駅近くの地下街・川崎アゼリアで営業している。

 調香を学ぶ中で、地元川崎は地形的に細長く、自然豊かな北部は木や土っぽさ、南部の工業地帯は鉄やガスと、地域でにおいが違うことに気づいた。「香りは最も記憶に残る。香りで街を表すことで、川崎のブランド化に役立つ」と商品化を思い立った。約2年かけて市内を歩いて各地域の特徴的な香りを探し、構想を練った。

 目指したのは、クセになる香り。「いまだに怖い、汚いなどマイナスイメージがつきまとうけど、実は先進的かつ安全で人情味のある、住むとクセになる街」だからだ。市制施行(1924年)の時期の名香を調べ、今も根強い人気を誇るシャネルの「No.5」や、ゲランの「シャリマー」を参考に120品も試作した。

 市のロゴマークの青、緑、赤の3本線を施されたボトルは妻の美花子さん(29)がデザイン。30ミリ・リットルで税込み5720円に設定し、昨年11月に発売した。「落ち着く香り」「使いやすく、いつでも川崎を感じられる」などと既に400本以上売れ、店で断トツの売り上げ。土産や記念品としても好評で、11月から市のふるさと納税の返礼品に加わる予定だ。

 市制施行100年の24年に向けて新作を打ち出す方針で、「横浜や相模原など他の街の香りも作りたい」と意欲を見せている。問い合わせはメルヴェイユ(044・223・7367)。

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