105キロで交差点進入の逃走車と衝突、同乗の交際相手が死亡…大学生「現実受け入れられず」

105キロで交差点進入の逃走車と衝突、同乗の交際相手が死亡…大学生「現実受け入れられず」

女子大学生が亡くなった事故の現場には、花束が供えられていた(14日午前、福井市で)

 福井市内で昨年11月、酒気を帯びた状態でパトカーの追跡から乗用車で逃走中に軽乗用車と衝突し、2人を死傷させたとして、自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致死傷)と道路交通法違反(酒気帯び運転など)に問われた福井市、坂田達磨被告(47)の裁判員裁判の第2回公判が14日、地裁(河村宜信裁判長)であった。軽乗用車を運転中に重傷を負った男子大学生(21)が被害者参加制度を利用。同乗していて死亡した女子大学生(当時18歳)への思いを書面で吐露した。(山内浩平)

 起訴状などによると、坂田被告は昨年11月27日未明、酒を飲んで乗用車を運転し、パトカーの追跡から逃走中、福井市内の交差点に時速約105キロで進入して軽乗用車に衝突。女子大学生は死亡し、男子大学生は重傷を負った。

 14日の公判で、男子大学生の意見陳述書を代理人が読み上げた。

 「アルバイト先で出会った。大学も同じで、明るく元気なところにひかれた。2人で食事に行ったときも話しやすかった。春にはどこかに行こうと約束していた」。男子大学生は昨年9月に交際を始めた女子大学生のことを書いた。

 事故は2か月後だった。「どこからかひょっこり現れるのではないかと思い、現実を受け入れられなかった。何であんな時間に外にいたのか、違う道を通らなかったのかと思った」と苦悩を記した。

 今年1月に女子大学生の父親から「娘の分まで頑張ってほしい」と声をかけられ、「心の底から救われたような気がして、必死に頑張ろうと思った」。今後については、「事故を減らすため、彼女の命を無駄にしないために、(自動車の)エアバッグの設計や開発に携わることに決めた」とつづった。

 坂田被告はその後の被告人質問で、「尊い命を奪い、大きなけがをさせてしまい、申し訳ない」と謝罪。「とんでもないことをしてしまった。被害者のことをずっと思い続けたい」と述べた。

■父親「娘の無念を晴らしたい」

 亡くなった女子大学生の父親も、同じ制度を利用して13日の初公判で証言台に立った。「娘はやりたいことがあったはずなのにできなかった。無念を晴らしたい」との思いで、裁判に参加したという。

 父親は検察側の質問に答える形で心情を語った。化粧品開発の仕事に就くことを夢見て、県外から福井大に進み、一人暮らしを始めた娘と最後に会ったのは昨年11月。「娘は寒がりなのでこたつを買って持って行ってやろうと。大学生活やサークル、アルバイトの話をした」と振り返った。

 事故当時について「生きていてほしいと思いながら福井へ向かったが、病院に着いたら亡くなっていた。衝突の瞬間、怖かっただろう。どれだけ痛かったのか」と述べた。

 「心の整理ができておらず、受け入れられない。来年1月に成人式を迎える。振り袖を予約していたが、キャンセルした。いつも家族を笑わせてくれる子だった。帰ってきて笑わせてほしい」と切々と訴えた。

 ◆被害者参加制度=被害者や遺族が刑事裁判に参加できる制度で、2008年12月に導入。被告や証人に質問したり、独自に求刑意見を述べたりすることができ、弁護士に委託することもできる。殺人や傷害致死、危険運転致死傷などの事件で適用される。

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