街の防犯カメラ、設置始めた頃は住民も不安だったが…犯罪減少で理解も拡大「安心感につながる」

 今や、事件捜査や犯罪抑止に欠かせない存在となっている防犯カメラ。京都の市街地でも、京都市が2011年度から進めている「防犯カメラ設置促進補助事業」で計2000台以上が設置され、ひったくりなどの犯罪減少につながっている。一方、鉄道車内での事件が相次ぐ中、京都市営地下鉄の車内にはカメラが設置されておらず、安全対策が急がれる。(大川哲拓)

■一定程度の効果

 補助事業は、民家の軒先や電柱に防犯カメラを設置した自治連合会などの地域団体に、費用の9割以内(1台あたり上限20万円)を助成する制度。防犯活動などに取り組む地域に根ざした団体で、道路や公園が映る場所に付けることなどを支給条件にしている。

 市によると、防犯カメラが新設された地区では、ひったくりや空き巣などの発生件数の減少幅が他の地域よりも大きいという。犯罪の発生頻度を色の濃淡で示した市作成の地図を見ると、補助事業で防犯カメラが設置された地域の周辺では、色が薄くなっていることが分かる。

 市くらし安全推進課の担当者は「防犯カメラの抑止効果が一定程度表れている」と分析する。

■事件捜査にも一役

 京都市下京区の河原町通に近い有隣学区。昔ながらの町家やマンションが立ち並ぶこの地域でも、補助制度を利用し、これまでに約20台が設置された。「最近、目立った事件もなく、治安の向上に役立っていると思います」。有隣自治連合会会長の山田章一さん(74)も効果を実感する。

 設置を始めた頃は、「プライベートな場所も映ってしまうのではないか」などと、地域住民から不安の声もあったが、今は批判の声がほぼなく、理解が広がっているように感じるという。山田さんも町内会を通じ、10月に補助制度を利用して、道路に面した自宅の軒先に設置。さっそく、近隣で発生した事件の捜査で、警察に映像を提供した。

 山田さんは「町内会だけで費用を捻出するのは難しく、とても助かる。住民の安心感につながるだけでなく、捜査にも協力できて一石二鳥だ」と笑顔を見せる。

■地下鉄内は

 一方、京都市交通局によると、市営地下鉄の車両内に防犯カメラを付ける予定はないという。来春、運用を開始する新型車両への設置も検討していたが、コスト面や乗客のプライバシーなどを考慮して見送った。市交通局の担当者は「現状では、車内巡視を強化するなど、ソフト面で犯罪を防ぐ努力をしていきたい」と話す。

 ただ、京都府外の地下鉄などでは、数年前から車両内に防犯カメラを設置する動きが広がっている。

 東京メトロでは、18年から順次設置し、今年10月までに全車両の約4割で完了した。大阪メトロでも、御堂筋線の新型車両などに約1000台を新設。25年度末までに、御堂筋線と中央線の全車両に付ける方針という。

 仙台市地下鉄では、24年度以降に順次設置する予定。10月に東京都内の京王線で起きた殺人未遂事件を受け、車内の様子をリアルタイムで確認できる性能のあるカメラなど、機種についても幅広く検討している。

 京都府警と京都市も、今年10月に策定した防犯に関する連携協定の運動方針で、バスや地下鉄の安全対策強化を盛り込んでいる。府警市警察部の担当者は「観光客の多い京都が狙われないように、市とも協力して、具体的な対策を進めていきたい」と力を込める。

 福田充・日本大教授(危機管理学)の話「車両内の防犯カメラは犯罪抑止に有効と考えるが、同時に乗客のプライバシー保護の問題も社会全体で議論する必要がある。凶悪事件については、防犯カメラだけで防ぐのは困難で、発生時に乗客を迅速に避難させる方法などを検討しておく必要がある」

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