爆発的な炎で消防署員ら4人死亡、報告書公表されず…県警「漏らさぬように」

爆発的な炎で消防署員ら4人死亡、報告書公表されず…県警「漏らさぬように」

家庭用品メーカー「レック」の工場倉庫で発生した火災(2020年7月)

 昨年7月、静岡県吉田町川尻の家庭用品メーカー「レック」の工場倉庫で消防署員と警察官の計4人が死亡した火災を巡り、県警が今年6月に非公表を求めたことを受けて、広域消防を担う静岡市の事故調査委員会がまとめた報告書が現在も公表されない状態が続いている。「このままでは教訓が十分生かされない」との指摘もあり、現場からは公表を望む声も出ている。

 火災は昨年7月5日未明に発生した。内部に進入した市消防局吉田消防署員3人と牧之原署員1人が、爆発的な炎に巻き込まれて死亡し、県警が業務上失火容疑などで調べている。

 市は火災後、死傷者の発生原因や再発防止策を検討するため、事故調査委員会を設置した。大学教授や総務省消防庁の専門家ら7人が参加し、120ページを超える報告書をまとめた。

 県警は6月、市に示した捜査関係事項照会書の中で、「捜査に必要」として、報告書を含む関連書類一式を「みだりに漏らさないように」と非公表にすることを求めた。

 市は「全国の消防本部と教訓を共有する」と公表を予定していたが、要請を受けて方針を転換。「捜査が終われば速やかに公表したい」と説明している。

 市消防局の関係者によると、報告書の内容は現場の消防署員らに一切共有されていない。局内では「捜査のために作ったのではない」といった批判的な声も上がっているという。事故調査委員会の委員長を務めた東京理科大の関沢愛教授は、「公表時期は市の判断によるもので、コメントできる立場にない」としている。

 県警は非公表を求めた意図について、「捜査に関わることなので答えられない」とする。工場火災を巡る捜査は、化学物質などに関する専門的な検討も必要となるため時間がかかることが多く、報告書の公表時期は見通せない状況だ。

 新潟大の鈴木正朝教授(情報法)は「捜査機関が報告書の公表の差し止めを求めるのは奇異だ」と指摘。その上で「公表を止める強制力はなく、非公開とするなら捜査への影響について合理的に説明する必要がある。非公表が長期にわたれば、再発防止という目的が達成されない」と語った。

 レック側が設置した事故調査委員会は今春、調査の結果を公表し、考えられる出火原因として電気系統のトラブルや化学的な反応を挙げ、再発防止策として安全設備の充実などを提言している。

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