国内で唯一現存の「一式双発高等練習機」、80年ぶり故郷に

国内で唯一現存の「一式双発高等練習機」、80年ぶり故郷に

現役当時の一式双発高等練習機(立飛ホールディングス提供)

 国内で現存する唯一の機体が約80年ぶりに“帰還”した――。第2次世界大戦中に「立川飛行機」が製造した旧日本陸軍機の「一式双発高等練習機」が、25〜28日に東京都立川市の立飛リアルエステート南地区5号棟で展示される。保存状態も良く、重要航空遺産の認定を受けている機体が一般公開される貴重な機会だ。(斎藤茂郎)

 すべて金属製の同機は全長約12メートル、翼幅約18メートル。「キ五十四」と呼ばれ、搭乗員の技術向上のための練習機として、操縦・航法のほかに射撃や写真撮影など幅広い訓練に活用されていた。

 現在機体を所有する不動産賃貸業「立飛ホールディングス」(立川市)によると、同機の開発は1939年に始まり、同社の前身である立川飛行機が終戦までに1342機を生産した。車輪を翼下に引き込むなど、立川飛行機では初の技術が導入されたという。

 今回展示するのは、43年9月27日に秋田県の能代飛行場を離陸後、青森県八戸市へ向かう途中でエンジントラブルに見舞われ、両県にまたがる十和田湖に不時着して水没した機体だ。

 90年代に湖に沈んでいることが記録から判明し、2010年に湖底の地形調査で発見。青森県航空協会の有志らの手で12年に引き揚げられ、県立三沢航空科学館で展示されてきた。同協会が機体を所有していたが、同館の改修を機に、立飛ホールディングスに寄贈された。

 長期間水中にあり、紫外線や塩分にさらされずにいたため保存状態が良く、16年には「日本航空協会」(東京都)から重要航空遺産の認定を受けた。輸送や展示作業を担った飛行機開発会社「オリンポス」(東京都青梅市)の四戸哲社長は「これが海中なら形が残っていなかっただろう。墜落した機体でこれだけきれいに残っているのはほかにない。当時の技術が良い状態でわかり、歴史的価値は高い」と話す。

 今回の展示では、引き揚げ時に胴体が破断してしまったことを生かし、機体内部を断面から見ることができるようにした。また、全体の組み立てを行わず、部品を機体構造に合わせて並べることで、来場者は様々な角度から見ることができるほか、パネル展示や動画の上映も行う。

 立飛ホールディングス広報部の上保達雄副部長は「この機体は立川飛行機を中心に、この地が科学技術の最先端を誇っていた証しでもある。展示を通じてその歴史に触れてほしい」と話している。

 入場無料で午前10時〜午後4時。高松町三丁目の交差点前の門が会場入り口。問い合わせは立飛ホールディングス広報部(042・536・1111)。

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