【独自】子ども迎える選択肢、里親・養子縁組もあります…不妊夫婦への情報提供に指針

【独自】子ども迎える選択肢、里親・養子縁組もあります…不妊夫婦への情報提供に指針

(写真:読売新聞)

 厚生労働省は来春から、不妊治療を行う夫婦に、子どもを迎える別の選択肢として里親・特別養子縁組の情報提供を強化する。不妊治療が公的医療保険の対象になる来年4月に向け、医療機関が夫婦に説明するための指針を作成する。治療をしても必ずしも出産に結びつかない実態から、子どもを育てる他の方法を示すとともに、虐待や貧困で親と暮らせない子どもの福祉を推進する狙いがある。

 指針では、情報提供は、治療開始前が望ましいと位置付ける。希望に応じて説明を複数回行うことを推奨するほか、不妊に悩む夫婦の心情に配慮した説明方法なども示す。治療の途中や行き詰まってからでは、諦めるよう促されたと誤解される恐れがあるためだ。

 また、児童相談所や民間あっせん団体との連携や、不妊治療を断念して養子を迎えた親に話を聞く機会の提供も、指針に盛り込むことを検討している。

 不妊治療を受ける人は年々増え、体外受精の実施件数は年間約46万件に達する。来春の保険適用でさらに増加が見込まれるが、治療しても子どもを授からない夫婦も多い。日本産科婦人科学会によると、1回の治療で出産した割合は、30歳代半ばまでは約20%で、40歳では10%に下がる。

 治療期間が長期化し、心身の負担が課題になる中、不妊の夫婦に、治療の中止や別の選択肢を示す必要性が指摘されてきた。だが、医療機関の取り組みは進まず、厚労省は今回、情報提供の強化に踏み切った。

 課題もある。里親・特別養子縁組は、児童養護施設などで暮らす子どもを家庭環境で養育するのが目的で、不妊治療がうまくいかなかった場合の代替手段ではない。そうした説明や、不妊治療を諦めた夫婦へのケアを担う人材が不足している。

 里親や養子縁組に対する社会の理解も乏しい。親と暮らせない子どもは約4万5000人に上る。そのうち里親の家庭などで暮らす子どもの割合は22%にとどまり、米国82%、英国73%に比べて低い水準だ。

 里親・特別養子縁組に詳しい林浩康・日本女子大教授(社会福祉学)は、「適切な情報提供の強化により、家庭環境が必要な子どもと、子どもを望む不妊の夫婦を結びつけられる可能性があり、意義は大きい」と話している。

 ◆里親・特別養子縁組=虐待や貧困などで親元から保護された子どもを家庭環境で養育する制度。里親は、行政から依頼を受け、18歳まで養育する。特別養子縁組の場合、裁判所の許可を得て、血縁のない夫婦が原則15歳未満の子どもを法律上の実子とする。

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